魚をおいしくする津本式②/神経締め

2021.11.09

自分で釣った魚はそれだけでおいしいけれど、仕立てることでもっともっとおいしくなる。2019年11月号の特集「魚のうまみを引き出すひと手間」では「究極の魚仕立て法 話題の“津本式”を大解剖」として、話題の津本式を紹介した。ここではその内容を一部抜粋して、津本式で魚をおいしくする方法を解説します。

 

津本式とは?
耐圧ホースや専用アイテムを用いて、魚を適切に締めたり、血を抜いたりして、長期熟成に適した状態にするためのテクニックのこと。宮崎県在住で、魚の販売などに携わる津本光弘さんが考案した。
津本式は、大きく分けて、「締め」「血抜き」「熟成」から構成されており、なかでもホースを用いる血抜きは、「究極の血抜き」と名付けられ、これをするだけでも、食味は大きく変わるという。

 

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神経締め

神経締めは、ワイヤを使ったものが一般的だが、津本式ノズルを使って、神経の通る穴に水を送り込んで、神経締めする方法もある。

ワイヤやノズルを入れるのは、背骨の上側に通っている穴。頭部の眉間に穴を開けてワイヤを通していく方法もあるが、尾側からのほうが簡単。尾の骨の部分を断ち切って、骨の断面図を見てみると、神経が通っている穴の位置はとてもわかりやすいからだ。

ノズルで締める場合は、送水を複数回に分けて、様子を見ながら締めていくといい。このとき、神経が脳締めした穴から出てくることがあるが、出ても出なくても問題ない。どうしても神経を出したい人は、一度ワイヤを使うか、少し大きめの径のノズルを使うと出やすくなるそうだ。

神経締めの主な目的は、死後硬直を遅らせること。死後硬直は、魚体内で筋肉の収縮などに関わるATP(アデノシン三リン酸)が枯渇することで始まるが、神経締めをすることで、魚体内にATPを多く残しておくことができるようになる。

「体内にATPが多く残されている状態で長期熟成することによって、ATPが分解され、うまみ成分であるイノシン酸が生成されると考えられています」(津本さん)

ATPは呼吸とともに生成され、筋肉を動かすときに消費される。そのため、釣り上げてから、ATPが枯渇する前に締めると、うまみが増すというわけだ。

津本さんが考える、神経締めの理想のタイミングは、脳締めから30分以内。脳締め後、およそ15分で魚はけいれんし始め、そこでATPが枯渇する可能性があるからだ。

そうなると、船上で脳締めだけした魚は、家に持ち帰った時点では、神経締めをするには遅いことになるが、神経の通る穴を清掃するという点では、無意味ではないとのこと。

魚をよりおいしく食べたいなら、船上で神経締めまでするか、マリーナなどの神経締めができる場所まで魚を生かして運ぶ、ということが必要となりそうだ。

 

神経締めの手順

①背骨を断ち切る。刃を入れる位置の目安は、魚体のサイズによっても異なるが、尻ビレの最後部あたり

 

②津本さんは尾を完全には落とさないが、家庭で消費する分であれば、尾ビレを切り落としてしまっても問題ない

 

③神経の通る穴にノズルの先端を差し込み、プシュッ、プシュッと複数回に分けて、水を送り込んでいく

 

④神経と脳はつながっているので、脳締めをした穴から水が出てくる。写真では、白く泡立っているのが送り込んだ水だ

 

⑤ノズルで水を送り込むと、白いひも状の神経が飛び出てくることがあるが、出ても出なくても味に変わりはない

 

重要!

神経の穴はココだ
写真上が魚体の上に当たる。包丁の刃先が当たっている場所が神経の通る穴だ。その下が背骨で、さらにその下が動脈

 

 

(文=BoatCLUB編集部/幸野庸平)

 

津本光弘(つもと・みつひろ)
1973年生まれ。大阪府大阪市出身で、現在は宮崎県在住。バス釣りがメインだが、友人のフネでボートフィッシングに出かけることも
https://tsumotoshiki.com/

 


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