ビギナー必見!/ミニボートでシロギス釣りへ

2021.10.06

ミニボートと呼ばれる、免許・船検不要の2馬力ボート。その特徴や便利な艤装をはじめ、2馬力ボートでのシロギス釣りの方法を、2艇の可搬型ボートを所有し、各地でボート釣りを楽しむ丸山 剛さんに解説いただいた。

以下は、月刊『ボート倶楽部』に掲載した記事を編集部で再編したもの。


 

2馬力ボートの定義

2003年11月29日の法改正によって、エンジンやバウモーターなどの推進機があるボートでも、条件を満たせば免許・船検不要で乗れるようになった。

ボート免許は、みなさんご存知の通り、スクールに通ったり、国家試験を受けたりして合格する必要がある。
船検とは、ざっというと船体と船外機を1セットとして登録すること。船舶検査証書にはボートの材質や長さ、製造番号、エンジンの形式、製造番号が明記される。すなわちクルマの車検と同じようなもので、勝手にエンジンを付け替えてもいけないのだ。

そのほかにも、ライフジャケットやアンカー、信号紅煙などの法定備品の搭載の義務付けもある。船舶検査証の有効期限は6年で、6年ごとに定期検査、中間の3年には中間検査を受けなければならない。

これらの面倒な手続きが一切要らないのが、ボート長が3メートル未満で、2馬力以下のエンジンボートである。ボート長というのは実際の長さではなく、登録長のこと。
この法改正のおかげで、手軽にエンジン付きボートでの釣りが楽しめるようになったのである。

 

通常の船型をしたボートの場合、登録長は全長に0.9を掛けた数字となる。ということは、3.33×0.9=2.997となり、全長が約3.33メートル以内のボートということになる

 

エンジンは、実際の法規では推進機の出力が1.5キロワット未満となっている。エンジンの出力が1馬力=0.7355キロワットなので、1.5キロワットを馬力に換算すると2.039馬力となり、2馬力エンジンの出力は規定内となる

 

ボートの材質は2種類

免許・船検不要のボートは、素材によって大きく2種類に分けられる。一般的なボート素材に使われているFRP製のボートと、インフレータブルボートだ。

FRP製のボートは、モールド(型)にガラス繊維と樹脂を積層したものでできている。海水や紫外線に強く、手入れが簡単であることから、ほとんどのボートがFRP製だ。

免許・船検不要サイズのFRP製ボートには、一体型と分割できるタイプのものがある。一体型のボートは、キャリアを車体の上に付けて、逆さまに乗せて運ぶことが多い。あるいはトレーラーに乗せて運ぶが、トレーラーはナンバーの取得と登録が必要になる。分割式のボートは2分割するものや3分割するタイプのものがあり、箱を重ねるように収納できるので、車内に積んで運ぶことも可能だ。

一方、インフレータブルボートは、素材の進化で、今では磨耗に強く頑丈な、PVC(ポリビニルコロライド)製やCMS(ハイパロンなどの合成ゴム)製のものが主流である。
空気を入れる気室が分かれているものがほとんどで、一つの気室に穴が開いてもすぐには沈まないようになっている。
収納すると小さくなるので保管場所も省スペースですむ。特に3.3メートル未満のものは重量が30キロを切るものが多く、クルマのトランクに船外機と一緒にスッポリ入ってしまうのだ。
手軽さはピカイチであるが、組み立てや収納に時間がかかるのが難点。

 

小生の免許・船検不要艇はアキレスのLF-297IBで、船外機はスズキのDF2を搭載している。長さが295ミリ、幅が148ミリと小型で、船体重量は26キロと、とても軽い。このモデルは、船底がロールアップとウッドフロア、エアフロアと三つのタイプがあるが、小生のモデルはエアフロアなので一番軽量なうえ、気室も4となり、より安心なのだ

 

インフレータブルボートは空気を入れる気質が分かれているので、一つずつ空気を入れていく。空気を入れるポンプには電動式足踏み式があるが、電動式は音が結構うるさいので、早朝の使用はやめておこう。このサイズのボートならば、足踏みポンプでもそれほど時間も労力もかからない

 

積んでおきたい艤装アイテム

ボートは艤装を施すことで、より釣りをしやすくなるが、それ以前に必須となるのは安全面の艤装だ。

まずはフラッグの設置ミニボートは小さいために大型船から目視されにくい。そのためフラッグを高い位置に掲げる必要がある。小生はビーエムオージャパンの「フラッグポール」を使用している。ポール長が2.4メートルと長いが、グラスファイバー製で軽量かつ3分割できるので収納しやすい。

さらに、安全備品として必ず携帯するものを挙げておこう。ライフジャケット、救命浮環、バケツ、笛(ライフジャケットに付いてる場合も)、アンカーとアンカーロープ。これだけは必ず携行するようにしたい。

また、小生は、アンカーを使うときに、アンカーロープをワンタッチで固定できるカムクリートをバウに取り付けてある。これによって、アンカーロープの長さを簡単に調節することができるのだ。
膨らませたボートを移動させるには、リアドーリーが欠かせない。特に砂浜ではバルーンタイヤがおすすめで、空気をパンパンに入れるよりも、少し緩めに入れておいたほうが砂に潜りにくくなる。

次に釣り関係の艤装。ロッドスタンドロッドホルダー魚探の設置が主である。ロッドスタンドは使わないロッドを立てておくもの、使っているロッドを置きザオにするのがホルダーで、2種類必要だ。
小生の場合、ロッドスタンドは、トランサムボードにフラッグポールを介して取り付けてある。ロッドホルダーは、ビーエムオージャパンの「コンパクトレール」を使い、そこに設置している。さらに「つりピタレール取付パーツ600レール」を設置してあるので、さまざまなアタッチメントを取り付けることも可能だ。これを操船席の左とゲスト席の右の2カ所に設置。

魚探の振動子は、トランサムボードに、魚探本体は操船席左に設置したコンパクトレールにスライダーベースを介して取り付けてある。いずれも使いやすく、気に入っている。

 

長年考えて、たどり着いたトランサムボード部分の艤装。ビーエムオージャパンのアイテムと自作したアイテムを合わせて構築している

 

つりピタレールシステムを駆使して、操船席の左側とゲスト席の右側に釣り座を設けている。船首には、アンカーロープの調整に便利な、アキレス純正のカムクリートを設置

 

シロギスを求めて

今回訪れたのは、夏真っ盛りの三浦海岸である。三浦海岸のボート降ろし場所は、下浦海岸第3駐車場のトイレ付近にある二つのスロープ。西側のスロープのほうが、傾斜が緩いのでオススメだ。
駐車場でボートのセッティングが終わったら、ガソリンの量をチェックし、満タンにしておく。2馬力船外機のタンクは1リットル未満のものが多いので、途中で給油することが多い。必ず予備燃料は3~5リットル携行すること

砂浜からの出艇は船首からが基本だ。それでも波が立てば、海水がボート内に打ち込むことがある。波のサイクルを見極めて、迅速かつ確実にボートを沖に押し出して、乗り込む。乗り込んだらすぐにオールを漕いで少し沖に出たら、ドーリーを上げて、エンジンをスタートさせる。

エンジンをかけるとき、もし調子が悪いようなら引き返したほうが無難だ。少しでも不安があるならば戻る。この判断は出艇した場所から近いところでするようにしたい。

今回の釣りはシロギスを基本として、小メゴチや小シロギスが釣れたら、それを生きエサにして、フィッシュイーターのマゴチやヒラメをねらってみる作戦だ。

まず、シロギスがいそうなポイントを目指して走る。シロギスは砂底にいるので、そうしたポイントを陸上の地形や魚探のプロッター画面を見ながら見当をつけ、実際に魚探に写る海底の地形を見ながら判断していく。

最初のポイントは水深7メートルの砂底である。ボートのシロギス釣りは、流し釣りが基本だ。風がなければ、そのまま流して釣り、風があってボートが速く流されるようならパラシュートアンカーを使う。同じポイントで数が釣れるときは、そのポイントでアンカーを下ろしてしまうのも手だ。

キャストするときは、後ろを見て、引っ掛からないことを確認してから行うこと。仕掛けが着水する瞬間にスプールをサミングすることで仕掛けが振られ、片テンビンに絡みにくくなる。仕掛けが着底したら、少しずつイトを巻き取りながら、誘ってくる。

アタリが来てもビックリアワセは禁物。サオ先を曲げながら、仕掛けを引きずるようにスィープアワセをする。縦引きよりも横引きのほうが掛かりやすい。

仕掛けの回収方法は、サオを立てて、オモリを手で持てる位置で回収すると、オモリがぶら下がらず、エサ交換がしやすくなる。掛かったシロギスを回収するときも同じである。

 

出艇場所によっては、腰や胸までつかりながら出す場合もある。冬場にはウェダーが必須アイテムとなる

 

仕掛けはシロギス用片テンビンに市販のシロギス仕掛け。2馬力ボートの場合は、仕掛けの全長が短いものを使用したほうが取り回しが楽だ

 

この日はピンポイントで

この日は、シロギスはもとより、外道のアタリもない状態が続いた。シロギス釣りは潮の時合というのは、あまり関係がないので、いれば食ってくる。1~3回キャストしてアタリがなければポイント移動したほうがよいのだ。

移動するときに水深を変えるのも大切。海域によっては、水深のラインにシロギスがいる場合もあるからだ。この日は7メートルから始め、5メートル、10メートル、12メートルと水深のラインを変えてみたが、一向に釣れる気配がない。そこで、一気に移動することにした。

そして、ついに水深6.5メートルの根周りにある砂底でシロギスのアタリが。心地いいシロギス特有のヒキがサオ先に出ている。水面直下にシルバーに輝く魚体が見えた。釣れたのは18センチ程度のシロギスであった。釣れたところで、すかさず魚探にマーキングをする。そうすることで、そのポイントにすぐに戻れるからだ。

釣れるのは根が多いポイントで、それも少しずれるとゲストのオンパレードとなる。完全な砂地に行くと、まったくシロギスのアタリがなくなる、という感じのため、少しずつ拾っていくような釣りとなった。

昼近くなって、潮止まりの時間が近づくとアタリが遠のいていった。ボート釣りでは潮止まりが釣り終了の目安になる。次の潮が動き始めるまで、しばらく時間がかかるからだ。それでもアマダイやマダイ釣りでは、潮止まりから潮の動き始めまで釣るほうがよい。今回は上げの潮止まりから、下げの潮止まりまで釣ったので、終了することにした。

 

根が多いポイントの中の砂地でようやく釣れたシロギス。ポツポツとしか釣れないが、釣れてくるのはこのサイズばかりだった

 

根が多いポイントのため、少しずれると途端にゲストがたくさん釣れてくる。ショゴ(カンパチの若魚)や珍しいミノカサゴも釣れ上がった

 

帰着時も気をつける

接岸するときは、夏場は海で泳ぐ人に注意し、波長のタイミングを計って、一気に行う。小生のボートはドーリーがあるので、接岸前にドーリーを下ろし、エンジンの出力でボートを接岸させている。ボートが接岸したら、すかさずボートから降り(このとき体に付けたエンジン停止スイッチでエンジンが止まる)、ボートを波がこないところまで引き上げる。

後片づけは、ボートや釣り具を真水で洗って乾燥させてからクルマに積み込むため、こうした片付けだけでも1時間以上かかる。沖上がりの時間は、後片づけの時間も入れて考えておこう。

免許・船検不要のインフレータブルボートは、出艇から釣りをして、帰着後の後片づけと、一見面倒な気がするが、慣れてしまえばそれほど面倒でも難しくもない。最終的には、天候の判断と早上がりを心がけておけば、それほど危険な目に会うこともなく、2馬力ボートライフがエンジョイできるはずだ。

日本は海に囲まれた島国である。今は難しいかもしれないが、状況が落ち着いたら、クルマにボートを積んで、いろいろな土地で、さまざまな魚を釣って楽しんでもらいたい。

 

着艇して、ボートから降りたら、すぐに波の影響を受けないところまでボートを引っ張り上げる。そこでようやく一息つけるのだ

 

インフレータブルボートは湿気に弱いため、多少時間がかかっても乾かしてからしまいたい。雨の日などは、後日干したほうがいい

 

(文=丸山 剛 まとめ・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は、『ボート倶楽部』2021年10月号の特集より抜粋。記事内には、艤装の具体的なアイテム名なども明記されたうえで掲載されている。参考にしたい方は、本誌もご覧になっていただきたい。
バックナンバー電子版最新刊も、ぜひご覧ください。

 


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