
真夏の南風を受けて、相模湾を疾走?
トラサガ・・・。それは、相模湾を大横断する関東のビッグイベント、トランスサガミヨットレースの愛称である。伊豆の下田港沖から小網代湾口を目指す約48マイル。そのトラサガ2026年大会は様相が違った。
「真夏の南風を受けて、相模湾を疾走する。各艇、ジェネカーやスピネーカーに風をいっぱいに受けて、ダウンウインドを爆走する、最高にゴキゲンなレース」。それがトラサガを評するときに使われる常套句である。それが今年はまったく当てはまらない。
風位の予報はなんと北風。そのまま風は落ちていき、東に回ってそのあとはもう分からない。スタート直後は完全なクローズホールド。どこまで上り続けなければならないのか。そんな予報のなか、各レースチームはせめてよき潮流をつかもうと、思い思いの予想を立てレースに挑んだ。
そして特筆すべきは今回の公式カメラマン。なんと、世界的な海洋写真家、添畑 薫(そえはたかおる)さんが担当したのだ! 世界水準の作品にもぜひ注目してほしい。速報の後に、フォトギャラリーも展開するのでお楽しみに。


9:55、スタート予告信号
8月23日(日)、9:55。本部船からスタート予告信号が発せられた。IRCクラスA、B合わせて40艇、ORCクラスA、B合わせて18艇、エントリーした総勢58艇全艇が伊豆の下田港沖、多田戸浜海水浴場前に設置されたスタートラインに集結した。
このスタート位置は、海水浴に訪れた観光客の目の前でスタートし、セーリングイベントを一般の皆さんにも広く知ってもらおうという趣向で、22回大会となる本大会も同様の位置に設定された。
スタートから恵比寿島を狙うアップウインドコースまでは、各艇ほぼ一線。そこから徐々にラムラインに近い北側を攻める艇団と、伝統的なコースである伊豆大島北端へ突っかける艇団に分かれていく。
風が落ち始めたのは昼頃。風向も定まらない。時に270度、真西から吹いたと思えば、予報になかった真南の風も入る。各チームは、ジェネカーからコードゼロ、セールを多く持っている艇はウインドシーカーなどなど、炎天下でのセールチェンジに翻弄された。
全48マイルの航程を走るなか、残航25マイルを過ぎたころリタイア艇が出始める。
タイムリミットは0時・・・。しかし、チームによっては公共交通機関を使って帰宅するものもある。つまり終電に間に合わないゆえ、致し方なくリタイア・・・という無念を強いられたチームが出始めたのだ。



見事フィニッシュした3艇の猛者たち
そんな神経戦のなか、わずかな風をつかみ、最後の最後まであきらめなかった艇がある。それが、IRC Aグループ1位の〈ブルーピーター〉(J/111)、 2位の〈HARUKA 4〉(イタリア11.98)、IRC Bグループ1位の〈VOGUE〉(JND36)の3艇だ。この猛者たち3艇の不撓不屈の精神に、深く感服した。まじで尊敬する。
〈ブルーピーター〉のフィニッシュタイムは22:06:52、〈HARUKA 4〉は23:16:36、〈VOGUE〉は23:26:23。いずれもタイムリミットギリギリである。それぞれのオーナー、クルーに会うことがあったらぜひとも見事なフィニッシュに、万雷の拍手を贈ってほしい(できればビールをおごってほしい)。
多くの艇はリタイアとなったが、それぞれの真夏のビッグイベントを楽しんだ。
来年こそは“真夏の南風で爆走”してみたいなあ。まじで。
Trans-Sagami Yacht Race 2026 リザルト
IRC Aグループ
- 1位 ブルーピーター(J/111) Finish Time 22:06:52 所要時間 12:06:52
- 2位 HARUKA 4(イタリア11.98) Finish Time 23:16:36 所要時間 13:16:36
- ※以下、17艇RET
IRC Bグループ
- 1位 VOGUE(JND36) Finish Time 23:26:23 所要時間 13:26:23
- ※以下、2艇DNF、18艇RET
ORC Aグループ
- 全8艇RET
ORC Bグループ
- 9艇RET、1艇DNC
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(文=中村剛司/舵オンライン 写真=漆畑 薫/フォトウエーブ)
詳細記事は月刊『Kazi』11月号(10/5発売)に掲載予定


















