亀城根でアカハタ、カサゴなどのロックフィッシュを釣る/長井・仮屋ボート

2024.04.17

今回は、孤高の釣り人Mr.ツリックが、神奈川県横須賀市の相模湾側、長井にある仮屋ボートさんを訪問。超有名ポイントの亀城根に行ける、ほぼ唯一といってもいい貸しボート屋さんです。珍しく、ねらい通りの魚が爆釣の回になりました。(舵オンライン編集部)

 


アカハタ大好きY男

みなさま、こんにちはMr.ツリックです。

いきなりですが、この連載のカメラマン兼編集担当であるY男は、アカハタに夢中。釣行当日は、アカハタとカサゴがほぼ同じ率でヒットしており、しかも、双方ともレンタルボートエリアではなかなかお目にかかれないグッドなサイズばかりだったが、カサゴよりアカハタが釣れると大喜び。販売価格で比較するとカサゴはアカハタの2倍以上するのだがネ。

たしかに、いざヒットとなれば、大口をあけ水の抵抗で重たいだけのカサゴに対して、アカハタはそれなりのファイトは見せてくれる。ただ、食味に関していわせてもらえれば、アカハタはハタ属の仲間にしては肉質が水っぽい感じがする。いっぽうのカサゴは歩留まりの悪さと食べにくさを差っ引いても、一枚も二枚も上手だと思う。それでもなお、Y男は食味よりも釣り味が優先するのは当然、と言わんばかりのアカハタ推しなのである。

 

左に見える小屋が受付で、道路側に駐車スペースがあり、反対側は目の前がスロープになっている。トイレははす向かいの公園のトイレを利用

 

お約束の乗船名簿に記帳。携帯電話はレンタルボートにとって必須のアイテムである。よって、防水対策は万全に。防水パックとフロートがあると安心だ

 

仮屋ボートのエンジン船ラインアップは、3人乗りから7人乗りまでの5艇。ただし、レスキュー艇を確保するためすべてのフネを貸し出すことはない

 

満潮時なら護岸からの乗下船はさほど困難ではない。ただ、帰着時が干潮の場合はボートに乗ったまま、スロープ上まで巻き上げ機で引き上げてくれる

 

メバルについて

いつものように、訪問場所の昔話から始めようかと思いますが、今回はその前に、ほかにチャレンジしようとしていたドジョウメバルについて少し。ご存じだとは思いますが、キツネメバルとかタヌキメバルと呼ばれるメバルはいますが、ドジョウメバルはメバルの名前ではありません。ドジョウをエサにした釣り方のことです。ほかにも、生きているイワシをエサにすればイワシメバルといいます。まぁ、どちらも昔の釣り方ですナ。ただ、レンタルボートで生きイワシをキープするのは難しいので、入手しやすく運搬も楽なドジョウで勝負しようとたくらんでいたワケであります。

ドジョウエサの利点はほかにもあって、死んで死後硬直状態になってもエサとして使えるのです。詳しく書くと長くなるので省きますが、とにかくオキアミやイソメにはなかなか興味を示さないメバルも生きエサならヒット率は格段に上がる。スジエビやモエビなどの生きエビもいいけれど、首都圏では値段が高すぎる。関西のように生きた小エビをコマセに使えるくらい安価だといいのだけれどなぁ。

また、メバルのことを春告げ魚とも呼び、春先が旬といわれますが、オイラの経験では夏から晩秋の時季が一番おいしいと思うのであります。なので、この時季にメバルで勝負をしたかったのです。でもまぁ、お楽しみはこの次ということで。ちなみに、1~3月のメバルは産卵のため、群れで浅場に接岸するので釣りやすくなっているだけ。卵胎生のメバルを産卵期に釣るのは気が引けるのですヨ。

 

亀城根近くの走ケ根に移動してきたが、根があまりにも険しくて、2本バリのシシュウカブラでは根掛かり連発。しかたなくただの1本バリ仕掛けに変更

 

Y男のワームに本命のアカハタがヒット。わが輩より先に釣るとはけしからんが、キレイなアカハタですナ。30センチ前後がこの日のレギュラーサイズだった

 

長井の思い出

さて、ハナシは変わりますが、オイラにとってこの日出艇した長井エリアといったら第二の故郷みたいなモンです。なんつったって、母校がすぐそばですから。

今回、お世話になった仮屋ボートは長井港で営業している。昔はこの辺を屋形湾って呼んでいた気がする。今から30年ほど前になりますか、先代の時代によくこのボート屋さんに通っていた。そのころは手漕ぎボートのレンタルしかなくて、ねらいは根際のジャンボシロギスとカワハギでしたナ。

当然、今回の舞台になった亀城根は手漕ぎボートで行ける距離ではない。しかし、そこまで行かなくとも、長井港の周囲は複雑な岩礁の連続でそれなりに楽しい釣りができたものです。そういえば、仮屋ボートがある護岸と突堤は、昔とはチト形状と向きが変わっておりますナ。

それから、隣接する小田和湾もかつては人気のレンタルボートエリアだった。佐島側に軒を並べる多くの船宿がそれぞれ手漕ぎボートのレンタルもしていて、初夏から晩秋にかけて、シロギス、ハゼ、マコガレイ、マゴチなどをねらうボートアングラーで湾内はごった返していた。夏ハゼなら束釣りもあたりまえだったなぁ。しかし、今では少数の船宿だけが手漕ぎボートのレンタルをしているようだ。

コレを書いていてイロイロ思い出してきた。実は、学生時代に航海士(今は海技士)の資格を取るために、半年ほど週末はフネに泊まり込み、長井周辺をプカプカして乗船履歴を稼いでいた。なので、この近辺ではかなり釣りをしたハズだが、アカハタは釣った記憶がない。釣れなかったのではなく、いなかったと思う。これも温暖化の影響で南の魚が北上してきたからなのか。でも、北の魚のソイなんかも今はこの辺でもたまに釣れるけれども昔はいなかったなぁ。

 

玉オモリに1本バリの仕掛けに変更しても根掛かりが止まらない。しかたなくY男からワームと仕掛けを強奪してなんとか釣り上げたカサゴ

 

海面から抜き上げた瞬間の写真では小さく見えたカサゴもこの通りのまぁまぁサイズ。釣りたてのカサゴの刺身は身がしまっていて最高なのですヨ

 

ゲットした魚を撮影するたびに仕掛けが違っているほどの消耗戦だ。このときは潮が速くて底ダチが取れなかったのでシンカーを追加している

 

フィーバータイムが終わり、潮のスピードが落ち着いてきたのでシシュウカブラにもどす。エサはホタルイカ。でっかいイサキでもヒットしないかとひそかに願う

 

オレンジ色の丸っこいのが姿を現したので、ハオコゼかと思って一瞬ビビッたが、よく見たらオニカサゴ(イズカサゴ)だった。まぁ、どちらにしたってアンタッチャブルだ

 

久しぶりの豊漁

ともあれ、今回はねらった魚が釣れてなによりでした。後半は釣り過ぎないように気を使うほどだったゾ。アカハタ、カサゴ以外にもう一種類の魚が欲しくて粘っていたら、チビオニカサゴが釣れた。「10年後にまた釣れてねー」とリリースしたが、果たして10年後にワシは釣りをしているのだろうか。若いころには考えも及ばないことが気になる。そういうお年ごろなのであります。

あと、今回借りたボートには魚群探知機が設置されていなかったので、持参したわが輩のポータブル魚群探知機をフネに持ち込んだが出番ナシでした。アプリの「海釣図V」の水深を頼りに仕掛けを下ろすだけで釣れていたからネ。

 

亀城礁の灯標。亀城根は昔からの超一級人気エリアだ。根の周囲は好釣り場の連続。西のハズレの水深70メートルポイントとか行ってみたいなぁ

 

うねりが派手にブレイクする亀城礁の最浅部。滑走中いきなりこんなのに出合ったらビビる。灯標から少し離れた場所に出没するので、みなさまもご注意くだされ

 

白と紺の旗(A旗)を掲げているのは潜り漁の船。このフネを見かけたら絶対に近寄らないようにしよう。長井では6月から10月末までが漁期になっている

 

今回の釣行マップ(神奈川県横須賀市)

海釣図V」(マップル・オンより転載)

 

須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)

 

今回お世話になった貸しボート店

ウェブサイトなどはなく、電話で予約するのみの貸しボート店。手漕ぎボートと船外機艇のラインアップがあり、今回は4人乗り(12,000円)を利用。駐車場代が1台につき200円かかる。相模湾の有力ポイントの亀城根に行ける、ほぼ唯一の貸しボート店ではなかろうか。

仮屋ボート
[住 所]神奈川県横須賀市長井3-46-1
[連絡先]070-1395-3311
[料 金]3,500円~
[定休日]年末年始

 

月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。

今回は、『BoatCLUB』2023年9月号に掲載された「アカハタ、カサゴが爆釣したゾ」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。

※取材は2023年6月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。


あわせて読みたい!

●自作の仕掛けでマダイをねらう/東伊豆の貸しボート・内田丸

●年会費のいらないレンタルボート/館山・高尾商会でコウイカねらい

●貸しボート店探訪記/⑧とみうらマリンボートでマゴチねらい

 


ボートフィッシング

ボートフィッシング の記事をもっと読む