年会費のいらないレンタルボート/館山・高尾商会でコウイカねらい

2023.11.27

月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。

今回は、月刊『BoatCLUB』2023年5月号に掲載された「エギングでコウイカをねらうゾ」を一部再編集したダイジェスト版をお届けします。

※取材は2023年2月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。


エギングにこだわる

みなさまこんにちは、Mr.ツリックです。

今回の釣行先は久々の千葉県・館山であります。館山は久々ですが、訪問したボート店は前回に引き続いての初訪問。とはいえ、最近新しく開業した店ではなく、このあたりでは有名な高尾商会さん。たんにワタクシメが来店する機会に恵まれなかっただけですナ。初めてのボート店ではありますが、何度もエントリーしたことがある館山湾なのでなんとかなるでしょう。

ねらいはコウイカ。晩秋から早春が旬の東京湾を代表する釣りものですナ。沖釣りではシャコを装着したテンヤ釣りが昔からの釣り方。今ではウキスッテとの併用が主流ですかネ。また、関西方面ではキビナゴを装着できるウキスッテに中オモリを付けた仕掛けもある。

でも、オイラはエギングで勝負したい。ガラにもなくディープエギングとかやってみたかったのですネ。それに近年はエギングでしかコウイカを釣っていないのだ。よって、エギングでコウイカなんぞ簡単にゲットできると妄想していたのですヨ。

もしも、エギングでダメならヤマシタのもぐもぐサーチにキビナゴを付けて、関西風の釣り方に変えるつもりであったが、肝心のキビナゴを持ってくるのを忘れた。まぁ最悪、シシュウカブラ用のサンマエサがあるので、それをくくり付ければ問題なかろう。

それでもダメなら、コウイカはサッサとあきらめてシシュウカブラの出番だ。運がよければヒラメとか釣れるかも。最低でも、ホウボウかカサゴあたりはヒットしてくれるであろう。

それに今回は、シシュウカブラの春の新色を用意してきたのだ。ピンクに黄色にグリーンのパステルカラーをミックスさせた、とても春らしいお色となっております。

 

エントリーは9時ののんびりモード。もやい綱を持つ店主の後ろに見えるのがマイカー。こんなボートの近くにクルマを止められるボート店はほかに思い浮かばない

 

久々に乗るプレジャースタイルのボート。ヤマハYF-21CCです。21フィートで船外機は90馬力。2人で乗るのはもったいないナ。3~4人で利用すれば金銭面でラクチンですナ

 

前を真っすぐ見て意気揚々と出港するのはいいけれど、背後の景色を見て場所を確認しておかないと、帰港するときにまごつくゾ、と思っていたら案の定だった

 

風とウネリが強くて本命ポイントで釣ることができない。しかたなく、岬の風裏でしばらくお茶をにごす。しかし、予報の10時を過ぎてもいっこうに風が落ちない

 

沈黙の海

ところが、館山の魚はまったく反応してくれなかった。エサを付けてもエサがなくならない。しかも、新作に気を取られて、今まで使っていたノーマルバージョンのハデハデなシシュウカブラは用意していなかったのだ。

そしてなにより、困ったことはエギングがノーヒットで終わってしまったという最悪の事態。今回もまた本命釣果ナシ。悲しすぎますナ。

う~ん、今回は忘れ物が多いのと準備不足でいろいろ反省だなぁ。前回、この連載を書いているときに、ふとレンタルボートの釣りは、こまごまと装備品の多いカートップと違って忘れ物率が低いからラクチンだけれど、そのぶんハナシのネタが少ないなぁ、なんてコトを考えていたばかりである。

もう一つ、天候に関してもレンタルでは、チョイトでも天候に不安があると、前日の夕方には翌日の休業が決まるため無駄足がない。一方、可搬艇では、この程度の天気予報ならなんとかなるのでは、と現地に行ってみるものの、海を眺めて終了ってことはよくある話だ。

ま、いまさらいろいろ言っても始まらないので、ハナシをコウイカに戻します。

コウイカを釣っていると似たような形のカミナリイカ、シリヤケイカにモンゴウイカが交じる。ちなみに、モンゴウイカというのは大型のカミナリイカのこと。目玉のような斑紋が特徴。あと、スーパーなどでモンゴウイカとして冷凍で売っている肉厚のイカはまた別物だ。

それから、アンモナイトと同じ祖先をもつイカ類は、元となった貝殻がしっかりと甲として残っているのがコウイカ類。沖縄方面にはコブシメもいるナ。逆に貝殻が極限まで薄くなったのがヤリイカなどのツツイカ類。アオリイカはコウイカに似ているがツツイカ類ですゾ。ま、こんなハナシはみなさまならとっくにご存じでしょうけれど、書きたかったんですヨ。

 

800グラムはありそうな立派なトラフグ。ちゃんとエギを食いにきています。フグはエギを食いたかった、オイラはそのフグを食いたい。あ~ぁ、さばいたあとのゴミ問題さえクリアできれば

 

シーズン終盤の釣り

さて、釣行したのは2月の終わり。ということは晩秋から早春がコウイカの旬ならばシーズンの終盤ギリギリだ。個体数が減っている代わりにヒットすれば大物が期待できるかもネ。しかし、月刊誌なのにシーズン終盤に取材するなんて、セオリーを無視してまで獲物をゲットしたい魂胆がみえみえですナ。そもそも、寿命1年のコウイカ。産卵期が2~4月だから、この号が発売されるころには〝トキシラズ〟が残っているかいないかだ。でもまぁ、夏すぎには釣れるサイズに育っているので、それまでお待ちくださいませ。

なお、当日しつこく攻めた白根は大房岬の南側にある根です。この辺は、近くに雀島もありロケーションは最高なのですヨ。コウイカをねらうなら根まわりの水深30メートルあたり。ディープエギングにチャレンジするにはうってつけのシチュエーションである。

ひとつ思い出したけれど、当日レンタルしたボートにはタモが置いてあった。一応、折りたたみのネットは持参していたけれど、トラフグがヒットしたときにはボートのタモでランディングした。

そのときに思ったのはネットの径が小さすぎるし柄の長さも50センチ程度と短く、トラフグがやっと収まる大きさだった。もしも、コウイカがヒットしてそのタモを使っていたら頭からスミだらけになっていたのかもしれない。それは当然、Y男の役目だ。そうなれば、ネタも増えるし絵的にも完璧だったでしょうネ。残念。

みなさまなら、スミ噴射の対処法はごく普通に把握しているコトでしょう。カメラマンには必ず白いおなかのほうを向けましょう。そして、甲の部分を軽くデコピンしてあげましょう。十中八九よい絵が撮れるハズです。

ちなみに、4~5月に館山湾でボート釣りをするなら、ワタクシ的にはマゴチねらいがイチオシ。手軽なワームもいいけれど、やっぱ生きエサ釣りのドキドキワクワクはたまらない。うまくフッキングできれば釣った感はマックス。また、シロギスやメゴチ(ネズッポ科の魚の総称)を釣ってエサにすれば、万が一マゴチに恵まれなくてもお土産は確保できる。

流すポイントは湾内の水深8メートル前後。海底は平たんでタナが取りやすくラク~にのんびり釣ることができるゾ。

ということで、次号も館山で釣りたいなぁ。このところ疑似餌とコマセ釣りが続いたので、のんびりした釣りがいいなぁ。

 


今年の春の新色。春らしく桃・黄・緑のパステルカラーでまとめてみました。しかし、館山の魚はお気に召さなかったようで。エサを付けても見向きもされませんでした

 

Y男といえばこの魚。どこの釣り場に行けども必ずといっていいほどコイツを釣り上げる。二人してエギング不発。よって、また料理撮影用のイカを買いに行かねば

 

今回の釣行マップ(千葉県館山市)

海釣図V」(マップル・オンより転載)

 

須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)

 

今回お世話になった貸しボート店

今回借りたヤマハYF-21CCのほかにヤマハYF-23がある。貸しボート店というよりレンタルボート店といったほうが具合はよさそうだが、入会金や年会費は不要。ヤマハマリンクラブ・シースタイルのホームマリーナでもあり、クラブ艇にはSR-Xがラインアップ。

 

高尾商会
[住 所]千葉県館山市船形1044
[連絡先]0470-27-2170
[料 金]7,800円~
[定休日]第1土曜


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