世界大会に参加する全6チームの木造船、バントリーベイギグを紹介/カイ&エリが挑戦・シーマンシップ大会5-3

2025.10.31

カイ&エリこと、山本 海さんと絵理さんが参加する、シーマンシップの大会「アトランティックチャレンジ」。いよいよ開幕したこの世界大会に参加する各チームを紹介する。それは、ノルウェー、アイルランド、ベルギー、アメリカ、カナダ、そしてカイ&エリが参加しるインターナショナルチームの6チームである。それぞれ個性的な人材と、参加艇である各チームのバントリーベイギグ(全長38フィート、全幅2mの木造船)を見てみよう。(編集部)

◆メインカット
photo by Kai Yamamoto | 競技の間にはゆったりした時間も(笑)。休息をしっかりとることも重要なのである

 

 

ある日のランチ

 

 

各チームを観察!

大会中、僕は各チームの船をかなり観察した。そうすると、設計図は確かに基本としてあるが、各チームの船の材料、シェイプ、艤装に関してはかなり自由な裁量が与えられているようで、いろいろ工夫がされていた。

今回一番良い成績を残したベルギーチームはヘッドセールタックが伸縮式で、トリム可能になっていて、セーリング競技では常に上位に位置していた。カナダのチームはティラーも使えるようになっており、船は重く、頑丈に造られている。キールも深いのか、切り上り性能がよかった。

アイルランドの船はビルジポンプが取り付けてあり、ポンプアウトが簡単にできるようになっていた。僕らの乗っている〈ロイヤリティー〉はほかの船と比べてかなり華奢に感じ、船自体も軽くできている印象だった。その利点はセーリング競技で発揮されるのだが、とにかくセーリングに特化した船を造ろうと、規定の数値から出ない範囲で水線長を長くし、できるだけセーリング性能を高めたそうだ。

おかげでよく走るが、失速すると一気に風下に落とされてしまう、結構尖った性能になってしまっているような印象があるが、僕らインターナショナルチームはこの船でなんとセーリング&オールのレースで1位を取ることができたのだ。

 

参加チーム紹介

NORWAY
ノルウェーチーム

 

IRELAND
アイルランドチーム

 

BELGIUM
ベルギーチーム

 


UNITED STATES OF AMERICA
USAチーム

 


CANADA QUEBEC
カナダケベックチーム

 


INTERNATIONAL
インターナショナルチーム

 

種目のひとつ、CAPTAIN'S GIGとは?

これも不思議な競技、キャプテンズギグ。ある意味、シーマンシップの極致とも言える。チームは正装し、美しく、正しく船長を迎える。優雅さや正確さを競う、様式美を追求する儀式に近い競技である

 

キャプテンズギグの競技中、接舷シーン。私語は厳禁。厳かに執り行われる

 


僕らのチームは髪に花飾りをつけた

 


次話を読む
公開をお待ちください

第1話を読む
和船帽子の陽気なダグラスさんとの出会い/カイ&エリが挑戦・シーマンシップ大会1-1

 

(文・写真=山本 海/スピリット・オブ・セイラーズ 写真=ディラン・ラッズ、山本 海、山本絵理/スピリット・オブ・セイラーズ)

 

※本記事は月刊『Kazi』2025年6月号に掲載されたものを再編纂しています。バックナンバーおよび電子版をぜひ
月刊『Kazi』2025年6月号を購入する!


山本 海
Kai Yamamoto
セイルトレーニング帆船〈海星〉勤務後、国内外の数々の帆船で活躍。2015年スピリット・オブ・セイラーズを設立。ISPA公認スクールを開講(沖縄、三重など)。「DIY無人島航海計画」を主催。マリンジャーナリストとしても、活躍中。現在、マリーナ河芸やシーガルヨットクラブを拠点に活動中。 https://spiritofsailors.com


 

plb_online.jpg

トピックス

トピックス の記事をもっと読む