無人島での過酷なトレーニングを終え、若者たちは湖畔の焚き火を囲み語り合う/カイ&エリが挑戦・シーマンシップ大会4-3

2025.09.16

難所を越え、セーリングとローイングを駆使して駆け抜けた、メイン州の無人島・グリーンアイランド一周計画。 カイ&エリこと、山本 海さんと絵理さんはこの航海で大きな気付きを得た。18世紀、フランス海軍の軍艦に積まれていた大型ボート、バントリーベイギグによるトレーニングもいよいよ終幕。本番であるシーマンシップを競う国際大会へ向けて、湖畔で羽を休める若者たち。それぞれの心に燃える闘志を語り合う。(編集部)

◆メインカット

photo by Kai Yamamoto | 落ちる日を眺めながら、自然と話題は自分たちの未来についてに。それぞれの不安や期待、環境の違いなど、SNSやスマホでは語り合えない本物の言葉と対話がそこにはあった

 


Gathering Around the Fire

日が落ちたグリーンズアイランド。ビーチの焚き火を囲み、いろいろなことを話した・・・。

 


仲間と旅をして、火を起こし、食事の支度をする。短くても僕らが忘れてしまった冒険がこの時間に詰まっている

 


僕も含めて島の生活では日記をつける人が多い。10年後に読み返したら、きっと宝物になるに違いない

 

無人島一周を終えて

夜、僕らは火を起こしキャンプの前のビーチで焚き火をしながら島での経験を語りあった。もうすぐ島を離れシーマンシップの大会が開かれる街に移動するのだ。僕らは遅くまでたくさん話した。海のこと、船のこと、世界のこと、環境のこと、戦争のこと、友人、家族、それぞれの文化や言葉について。

地球のあちこちから集まった僕らがいろんなものを分けあったり、作ったり、考えたり、時にはぶつかったりしながら小さな島で過ごしてる。まるで地球が小さくなったみたいだ。

ここで過ごした2 週間は僕らのチームにとって大きな思い出となるだけでなく、自分のことを自分でできる自信をつけさせてくれた。そして自分自身のことができる人間が集まり、助け合うことで船を動かし、海を渡り、地球を旅した者がセーラーなのだと教えてくれた。

次回から、いよいよ僕らインターナショナルチームのシーマンシップが試される大会についてご紹介します。慣れない街での大会、世界中から集まるライバルたち、世界のシーマンシップにチャレンジする旅、いよいよ終盤へ向かいます。

 

グリーンズアイランドのBBQスタイル


尖らせた木の枝にソーセージを刺す。原始的で楽しい

 


ナイフで枝先を削る絵理さん 

 


トウモロコシは皮ごとガンガン焼いていく

 


大量のスイカ。ほぼ食べ放題

 


今日も更けていくグリーンズアイランドの岸辺。夢の世界のようだ

 


夜になるとはじまる音楽。ギターやバイオリンを奏でる参加者たち

 


もうすぐ始まる大会に向けて、ワクワクする気持ちと無人島でのトレーニングが終わる寂しさを全員で共有していた。無人島で得た僕らのシーマンシップは、どこまで世界から集まるライバルたちに通用するのだろう。共に過ごしたUSAチームとも次に海で出会うときはライバル同士だ

 


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和船帽子の陽気なダグラスさんとの出会い/カイ&エリが挑戦・シーマンシップ大会1-1

 

(文・写真=山本 海/スピリット・オブ・セイラーズ 写真=山本絵理/スピリット・オブ・セイラーズ)

 

※本記事は月刊『Kazi』2025年5月号に掲載されたものを再編纂しています。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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山本 海
Kai Yamamoto
セイルトレーニング帆船〈海星〉勤務後、国内外の数々の帆船で活躍。2015年スピリット・オブ・セイラーズを設立。ISPA公認スクールを開講(沖縄、三重など)。「DIY無人島航海計画」を主催。マリンジャーナリストとしても、活躍中。現在、マリーナ河芸やシーガルヨットクラブを拠点に活動中。 https://spiritofsailors.com


 

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