KAZI online KAZI online
ヨット
紹介 レース ハウツー
ボート
紹介 エンジン ハウツー
ライフスタイル
ファッション グルメ 時計 クルマ 客船クルーズ リゾート
池間サバニの各部名称を知る。セール編/宮古島(沖縄県)池本孝徳さん/海辺暮らしの日々 COASTAL DAYS ①-6  番外編
※無断複製・転載禁止 ©2026 KAZI CO., LTD.
ヨット ハウツー ライフスタイル リゾート

池間サバニの各部名称を知る。セール編/宮古島(沖縄県)池本孝徳さん/海辺暮らしの日々 COASTAL DAYS ①-6 番外編

沖縄県の中でも方言がそれ違うように、サバニの名称も地域、島ごとに違う。沖縄本島の方言は「うちなーぐち」、宮古島は「みゃーくふつ」。前回に続き、池本孝徳さんのサバニを元に、池間島での言い方をメインとし、伊良部島の佐良浜の言葉は文頭に「佐」を、本島と糸満の言葉は「糸」と区別し解説する。今回はセール編です。

目次+
  1. 池間島と糸満での呼び名の違い
  2. 「ほ」の各部を見る
  3. 「またがい」へのこだわり
  4. 「みんなー」ハリヤードの仕組
  5. 「しぼり」「ぶくろ」「なかじゃん」とは?
  6. 池本さんの研究ノートを見る
  7. 「っざく」の各部を見る
  8. 池本さんの研究は続く
  9. 池本孝徳さん Takanori Ikemoto
ヨット ライフスタイル ハウツー リゾート
池間サバニの各部名称を知る。船体編/宮古島(沖縄県)池本孝徳さん/海辺暮らしの日々 COASTAL DAYS ①-5 番外編
沖縄本島の方言は「うちなーぐち」、宮古島は「みゃーくふつ」。サバニも同様にエリアごとに用語が違う。今回は、池本孝徳さんのサバニを元に、池間島での言い方をメインとし、伊良部島の佐良浜の言葉は文頭に「佐」を、本島と糸満の言葉は「糸」と区別し解説する。まずは船体編にて。
2026.09.03

沖縄の伝統和船「サバニ」。沖縄県の中でも方言がそれ違うように、サバニの名称も地域、島ごとに違う。沖縄本島の方言は「うちなーぐち」、宮古島は「みゃーくふつ」。前回に続き、宮古島で素敵なコースタルライフをおくる池本孝徳さんのサバニを元に、池間島での言い方をメインとし、伊良部島の佐良浜の言葉は文頭に「佐」を、本島と糸満の言葉は「糸」と区別し解説する。今回はセール編です。

池間島と糸満での呼び名の違い

前回のサバニ用語解説では船体を中心に解説した。今回はセール周辺の呼び方を解説する。

サバニの櫂(かい)は糸満では「えーく」と呼ぶが池間島では「っざく」と呼ぶ、とは前回も書いたが、かように言い方はかなり違う。セールのことは糸満では「ふー」と呼ぶが、池間島では逆に現代と同じく「ほ」と呼ぶ。マストは糸満が「はしら」、池間島が「はっさ」。また、各種バテンについても言い方がそれぞれ違うが、糸満でのガフバテン/トップバテン、ボトムバテンなどの名称は文献から拾うことができなかった。今度、糸満の有名なサバニ大工、大城 清さんにお会いすることができたらぜひとも聞いてみたい一件である。

「ほ」の各部を見る

「ほ(セール)」の各部名称も地域によって違うのである。

[マストトップのハリヤードブロック] 池間島:またがい(股がい)

[マスト] 池間島:はっさ(柱)、糸満:はしら(柱)

[ハリヤード] 池間島:みんなー(身縄)、糸満:みなー(身縄)

[ガフバテン/トップバテン] 池間島:うわーびじゃん(上帆桁)、糸満:不明

[バテンバレル] 池間島:ほじゃんなー(帆桟縄)、糸満:ふーざーんなー

[バテン]池間島:ほじゃん(帆桟)、糸満:ふーざん(帆桟)

[メインシート様] 池間島:てんなー(手縄)、糸満:てぃえんなー(手縄) ※材質は「さばなー」。木綿の縄を豚の血で染めたもの

[セール] 池間島:ほ(帆)、佐良浜:ふー(帆)、糸満:ふー(帆)

[ボトムバテンまたはブーム] 池間島:したじゃん(下帆桁)、糸満:不明

[クサビ] 池間島:かーい(楔)、糸満:しかーさ(楔)

木綿の布を木綿糸で手縫いした自作の「ほ[ セール]」。本来は空気の漏れを防ぐため、マングローブの実を煎じて砥の粉と混ぜて塗る。しゃりんばい(車輪梅)や豚の血」、で染める

「またがい」へのこだわり

池本さんが特にこだわったのが、「またがい」、マストトップのハリヤード・ターニングブロック部。現代のヨットでは金属製のブロック(滑車)または、高強度特殊樹脂やカーボンファイバーが使用される。

「『はっさ(柱)』の頂部、『みんなー(身縄)[ハリヤード]』をターンさせるブロックは写真左の金物が多いが、昔は写真右の『またがい(股がい)』を使った。材質はテリハボク(照葉木。やらぶ、やろうぎとも)の枝。『はっさ』を立てる時など、『みんなー』と一緒にぎゅっと握り、常にピンと張っている状態にし、Yから脱線せぬよう注意」(池本さん)

「みんなー」ハリヤードの仕組

「みんなー」は、乗艇位置から揚げ下げするので、ここにだけ現代的なカムクリートを設置した。緊急時にすぐセールダウンするためだが、「できれば着けたくない」と池本さんは言う。ここだけ現代的な艤装が残ってしまっているのである。伝統をとるか、安全をとるか・・・。難しい問題だ。

「かんだん[マストパートナー]」に着けたカムクリート
かんだん付近の全体図

「しぼり」「ぶくろ」「なかじゃん」とは?

「しぼり」とは

サバニの帆はピークからフットまで一枚の平坦な布で、ラフコードやリーチコードを絞って強制的に湾曲させ、それがドラフトになる

「ぶくろ」とは

「ほじゃん」と「ほじゃん」の間のパネルの名称。ドラフトを作るシームは無い。「ひとふくろ、ふたふくろ」と数える

「なかじゃん」とは

「うわーびじゃん」と「したじゃん」の間の「ほじゃん」それぞれの名称。「ひとさん、ふたさん」と数える

池本さんの研究ノートを見る

池本さん手書きのメモが書かれたノート。参考資料のコピーの上にびっしりと糸満、池間島、佐良浜の言葉の違いが書かれている

「っざく」の各部を見る

軽いほうが漕ぎやすく、舵を取るには浮力に抗う重さも必要。ざくぎーがよい重量。[柄。長さ2.5尺(75.8cm)][パドル幅、表/裏]

「っざく」三種。材質は左からざくぎー(マルバチシャノキ)、スギ、レッドシダー。ざくぎーは重く舵櫂に向いている。スギは軽い

池本さんの研究は続く

宮古島で暮らす池本さんのコースタルライフ。全6回の連載となったが、ラスト2回は少々マニアックな、あ、いや失礼、実に文化人類学的な伝統和船サバニの名称の地域差という難題に取り組んだものとなった。

この連載が月刊『Kazi』誌に掲載されたのは2026年2月号(1/5発売)。現在(2026年8月)の池本さんは、さらにもう一艇のサバニを手に入れてさらに文献を調べ、より当時の状態に近い艤装を再現する日々を送っているという。

つい先日の上京時には千葉県の浦安市郷土博物館へ赴き、やはり伝統和船である「べか船」の艤装について深く勉強したようだ。池本さんの探求は続くのでありました。

(池本さん編最終回)

池本孝徳さん Takanori Ikemoto

20 代、宮古島でダイビングとヨットに明け暮れる。本土へ渡り、『ヨッティング』誌を経て、『Kazi』誌を発行する舵社で営業を務めて2013 年退社。宮古島へ戻り、海辺のスローライフを送る。大浦漁港のスロープにて。

(文・写真=中村剛司/舵オンライン編集部) 

本記事は月刊『Kazi』2026年2月号からの抜粋

全6記事

宮古島/池本孝徳さん COASTAL DAYS 海辺暮らしの日々①

若き頃に過ごした宮古島へUターンした池本孝徳さん。舵オンラインを運営する舵社などで営業を務めて2013 年退社。宮古島での暮らしを始めた。ベースの砂山ビーチ近くの一軒家ではマンゴーやパイナップルを育て、次女の碧(みどり)さんからプレゼントされた沖縄の伝統和船「サバニ」に乗り、休日は仲間と共同で所有するセーリングクルーザー〈うるま〉(ハイテック30モディファイ)で宮古群島沖を走る日々・・・。三線の拍子のようにゆっくりと流れる時間とは。

月刊『Kazi』
マリン合同企業説明会
関連記事
ヨットライフスタイルハウツーリゾート
娘から届いた伝統和船サバニに込められたもの/宮古島(沖縄県)池本孝徳さん/海辺暮らしの日々 COASTAL DAYS①-2
宮古島で暮らす池本孝徳さんのコースタルデイズ=海辺暮らしの紹介、2回目。次女の碧(みどり)さんが父のために購入した伝統和船「サバニ」。たうかぬーい(1人乗り)サバニで走る宮古島の海。池間サバニである池本さんの愛艇との暮らしとは。そんな、池本さんの暮らしを全6回でお届けします。その2をどうぞ
2026.08.13
ヨットライフスタイル紹介
入り江に響く子どもたちの笑い声、デイセーラー〈アレリオン〉を艤装して出航だ!/アレリオン エキスプレス28②
油壺ボートサービス(以下、ABS)の代表、日髙芳子さんと夫の博人さんが所有する名艇、アレリオン エキスプレス28の艇紹介その2。米ブリストル出身のデザイナー、ナサニエル・ヘレショフが設計したアレリオンの歴史をひも解くとともに、日髙さんたちのお孫さんが笑顔でセーリングする様子をお伝えします。
2026.10.06
ヨットレース
青の煌めきあおもり国スポ(第80回 国民スポーツ大会)・セーリング競技 Day1&2フォトギャラリー|80枚掲載!
初日~2日目、穏やかなマリーナに「煌めく」各都道府県チームの雄姿を、写真と共に一挙にお届けする。
2026.09.05
ヨットボートヨット&ボート入門ハウツーハウツー
本当に3日で取れた! 知識ゼロから2級小型船舶操縦士免許を取って始まった、週末クルージングライフ
ボート免許は案外手の届きやすい資格です。自分に合ったスタイルで一歩を踏み出し、みんなの笑顔が広がる最高のクルージングライフを始めてみませんか。ここでは、「2級」のボート免許取得について、知識ゼロの状態から、わずか3日間の挑戦で最高のクルージングライフを始めるためのステップを分かりやすく解説していきます。
2026.07.20
ヨットライフスタイルレース
日本のお家芸470級、ワールド日本開催7年ぶり! 470級世界選手権2026が江の島で開幕!
470ワールドついに開幕!ディンギー(ヨット)の熱き戦い「470級世界選手権2026(470ワールド)」がついに開幕!日程は2026年8月10日(月)から8月17日(月)までの8日間にわたり、神奈川県藤沢市の江の島ヨットハーバー開催される。
2026.08.12
ヨットレース
海洋写真家・添畑 薫の作品群②/真夏のトラサガ、相模湾を駆け抜けたレーサーたち! フォトギャラリー公開!
トラサガ・・・。それは、相模湾を大横断する関東のビッグイベント、トランスサガミヨットレースの愛称である。伊豆の下田港沖から小網代湾口を目指す約48マイル。
2026.08.26
フィッシングライフスタイル
本場の素朴で滋味深い、トゴットメバルのアクアパッツァ
日本でよく目にする、貝類がふんだんに入った豪華なものではなく、素朴な魚の水煮である本来のアクアパッツァを作りました。魚本来の味が際立つ一品だ。尾頭付きで見栄えもGOOD!シンプルだが味わい深いトゴットメバルのアクアパッツァずいぶんと長い間、この『BoatCLUB』で料理を紹介してきましたが、今までアクアパッツァは一度も作ったことがないハズ。
2026.04.10
ヨットクルージングライフスタイル
アンカリング中、波に揺られながら聴きたい沖縄の歌、ベスト3。/灼熱の沖縄航、宮古島編(5)
全4回に渡って紹介した、相澤規勝オーナーの、セーリングカタマラン〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)による沖縄航。慶良間(けらま)諸島のケラマブルーの世界から、宮古島のミヤコブルーの世界をつなぐ、神秘のセーリング。
2025.12.18
ヨットヨット&ボート入門レースハウツーヨット入門クルージング入門
微風域のセールトリム3:ジブ全コントロールロープ解説/セールトリム完全解説/ジブとメインの最適解⑥
前回の⑤に続き、今回はジブの全コントロールロープについて、プロセーラーの荒川海彦さんに解説していただく。微風時のジブリーチは、モデル艇ではスプレッダーの先端から5〜10cmほど。適切なツイストをメイクしよう! 今回も前回と同じく、ジブの各コントロールロープについて、極端に引きすぎた状態と出し過ぎた状態を示した。それぞれのコントロールローブがジブのどの部分に効いているのか、深く理解してほしい。ジブのベストトリムについては、前々回の④を参照のこと。
2026.10.09
ヨットライフスタイルレース
“本格派レガッタ”の矜持|逗子レガッタ2026写真集
9月…
2026.09.20
ヨットレース
強風予報の中、オフショアセーラー13艇が横浜に向けてスタート!|DMG MORI オーシャンチャレンジ2026
蒲郡から横浜を目指す外洋ヨットレース「DMGMORIオーシャンチャレンジ」が、5月8日にスタートした。スタートは13:00に予定されていたが、8日午前中にレース委員会から通告が発表され、スタート時刻は2時間後ろ倒しの15:00に。
2026.05.09
ライフスタイルトピックスファッション
[終了しました]SINA COVAの限定トートバッグが当たる!|KAZI SeaDream Club 入会プレゼント
「KAZI SeaDream Club」の発足にあたり、入会していただいた方へのプレゼントの一つとして、あのマリンファッションブランド「SINA COVA(シナコバ)」のトートバッグを用意しました。
2026.07.13

KAZI SeaDream Club 発足。

海を愛する人のための特別なメンバーシップ。入会金・年会費は無料です。

KAZI SeaDream Club 発足。に入会する
すでに会員の方は こちらからログイン
PAGE TOP