
離島で暮らすセーラーが訪れる離島ってどこなんだろう? そんな素朴な疑問を宮古島に暮らす池本孝徳さんに投げてみる。その答えは・・・。若き日に暮らした宮古島へIターンした池本さん。伝統和船「サバニ」を日々磨き、そしてキールボートでは仲間とゆったりとした時間を過ごす。海辺暮らしの日々を紡ぐ連載、池本さん編の4回目です。



〈うるま〉のクルージングライフ
宮古島に暮らす池本孝徳さん(以下、池さん)のコースタルデイズ。宮古島の平良(ひらら)エリアに係留された〈うるま〉(ハイテック30モディファイ)。船長の知念秀夫さん(愛称、秀坊)が祖父の代から受け継いでいる、ここ布干堂(ぬのほしどう)桟橋が係留スペースだ。
「ハイテック30は、木原俊男デザイン、なかよし造船。ハイグレース33とか、なかよし295とかね。〈神風エキスプレス〉、〈アリカ〉、〈コテルテル2〉……。そう、〈シンドバッド〉、〈月光〉も木原さんがデザインしてきたんだよ」
池さんのヨットとヨット界に関する知識は計り知れず、質問すればなんでも答えてくれる様子はまさに、池ペディア。私は舵社に入る前から池さんを知るが、分からないことはとりあえず池さんへということで随分ご迷惑をかけた。1、2回目の記事でも触れたが池さんの次女、碧(みどり)さんからのプレゼントであり、池さんができるだけ伝統に則ってリグを組んだ1人乗りサバニについて紹介した。1人乗りのサバニは宮古島の方言で「たうか(1人)ぬーい(乗り)」(詳しくは1~3話へ)。
今回は、池さんのキールボートライフについて。平日は、夕方から宴会艇へ。休日はぶらりとクルージング。ほとんどがレーサーなので、セーリングはきちんとする。時間があれば、宮古島西方35マイルほどの水納島(みんなじま)や多良間島(たらまじま)が定番コース。1〜2泊の航海計画を立てる。しかし毎度、「人がたくさん来たらやだからさ、あんまり舵オンラインに紹介しないでよ(笑)」って池さんに言われるけれど、たぶん大丈夫。自艇で宮古島へやってくるセーラーが稀ですから。
ヨットの朝の過ごし方
なんて、離島に住むセーラーが訪れる離島の話を早朝のデッキでビール片手にゆったり。トイレは隣りのパイナガマビーチの公衆トイレへ。シャワーがてら海に飛び込んで泳ぐ。公衆トイレには2分100円の温水シャワーもある。歯も磨いて〈うるま〉のデッキへ戻り、やっぱりビール。「どうする? 昨日はサバニに乗ったから、今日は宮古そばでも食べにいくか」と池さん。いいですね〜。島ぞうりを引きずりながら、平良の坂道を上がっていく。
何日〈うるま〉に泊めていただいたろう。いろんな方がやってきて飲んで、サバニに乗って、ぶらりと散歩してどこかのビーチで泳いで。池さんの暮らしがうらやましいです。「俺だってさ、毎日フネに泊まってるわけじゃないよ。家があるんだからさ(笑)。でもさ、こうして中村くんが来てくれてここ数日楽しかったよ」。
取材は、ついハードになりがちだが、池さんのところにくるとすっかりルーズになってしまう。
「今度来たらさ、サバニのはっさ(マスト)のまたがい(ハリヤードブロック)をテリハボク(照葉木)製に替えとくからさ、試してみてよ」
人生の折り返し地点。池さんの暮らしを見るたびに、その生きざまを自分ごとに投影してしまう。その答えを探すため、また必ず池さんに会いに、宮古島へ来ますね。
(次回①-5へ続く)









池本孝徳さん Takanori Ikemoto
20 代、宮古島でダイビングとヨットに明け暮れる。本土へ渡り、『ヨッティング』誌を経て、『Kazi』誌を発行する舵社で営業を務めて2013 年退社。宮古島へ戻り、海辺のスローライフを送る。大浦漁港のスロープにて。
海辺暮らしのこぼれ話 text by Takanori Ikemoto
宮古島の卓越風は圧倒的に北東風。特に冬は大陸高気圧の南のへり、つまり横縞の等圧線となり今朝(2月7日)も北北東36ktが吹いていた。我が〈うるま〉は、ゆえあって風上側に横着けしているため、横風をモロに受ける。アンカーはチェーン、ロープともに安心だがフェアリーダーとの擦れチェックが欠かせない。台風時には対岸からもロープを取って艇を岸壁から離す。船底塗装時にはクレーン車で建設用足場を組んだ船台に乗せ、鉄パイプをクランプで連結し、補強する。船溜まりでこんな手間も楽しんでいる。
(文・写真=中村剛司/舵オンライン編集部)
本記事は月刊『Kazi』2026年2月号からの抜粋






















