速報! クライマー、単独大西洋横断レースをも制す|日本人セーラー、中山寛樹さん、ミニトランザット2025を完走!

2025.11.19

高原奈穂さんに続き、単独大西洋横断ヨットレース「ミニトランザット2025」に挑戦していた日本人セーラー中山寛樹さんが、2025年11月13日0時45分58秒、48位(全57艇)でフィニッシュ。カリブ海グアドループ・サンフランソワへ到着した。フィニッシュ地から届いた、中山さんのホットなレポートを速報でお伝えします。

中山さんは、1983 年富山県出身の42 歳。22歳から冒険を始め、登山家としては2019年にホングー(ネパール)未踏峰へ登頂。2023年からセーリング活動を開始し、わずか2 年でミニトランザットへ挑んだ。

高原さんと中山さんの詳細な参戦記は、月刊『Kazi』2月号(2026年1月5日発売予定)に掲載します(編集部)。

◆メインカット | photo by torea_films | グアドループ・サンフランソワのフィニッシュラインを切る中山さん

 

 

 

 

支援、応援してくれたみなさんに感謝

ミニトランザット、単独大西洋横断完走しました。
レース結果はメタメタ。本当に残念というのが正直な気持ちです。 これまでにない酷い走りとコース選択ミスに前半は自己嫌悪の日々でとても辛かった。
どうにかキャッチアップしようと頑張りましたが、中盤、終盤でポートサイドのバックステイを1本ずつ失ってからはメンタルを切り替えてマストを失わないように、この旅を楽しむようにしました。

毎日数メートルの小さな船内で200kgの荷物や水を右へ左へ19日間。
満天の星、弾丸のように飛んでくるトビウオ、濃厚なイカの一夜干し、迫りくるスコール。
ハロウィンを祝い、ご飯を炊き、X JAPANやB’zを歌い、おしりの皮が擦りむけても、頭が痒くてしかたなくても、孤独やわけもなく訪れる不安を受け流す術を身に付け、そんな生活は割と僕にはあっていると思った。
高所登山の、サミットプッシュ前の、ベースキャンプの、あの息の詰まる感じとちょっと似ているかも。

でも登山と違うのは、ヨットレースは手の抜きどころがいくらでもあって、グッと自分を律しながら気を抜かないようにしていないと「遅い=安全」と思ってしまうところ。
19日目に島を見てコロンブスやアメリゴ・ヴェスプッチを想い、フィニッシュラインを眼の前に見たときに、初めてちょっと泣きそうになった。

出迎えてくれた仲間たち、駆けつけ一杯のTi' punch。へべれけになりながらこのプロジェクトは終わったのだなと実感しました。

スタート前に戻れるなら戻ってやり直したい。だけど、僕の人生で最初の大西洋横断はこれ一回きりで、この感動は二度と訪れないのだと、そう思えたならどんなにメタメタでも愛おしいレースになるのです。

スポンサー各社さま、ご支援いただいたみなさま、応援してくれた仲間たち、妻と娘に感謝です。
よわよわセーラーですが、また次の旅へ、次のクラスへ、次のレースへ進んでいけたら幸せです。
世界一周レースの130日は、どんな冒険になるのだろうか・・・。

 

(文=中山寛樹 写真=トレア・フィルムス|text  by Hiroki Nakayama, photo by torea_films)
※関連記事は月刊『Kazi』2026年2月号に掲載予定。バックナンバーおよび電子版をぜひ


 

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