貸しボート釣行記/②富士屋釣りボート店でアオリイカ

2022.09.13

月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。

今回は、『BoatCLUB』2021年7月号に掲載された「富浦湾でアオリイカねらいダ」を一部再編集したダイジェスト版をお届けします。

※取材は2021年4月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。


 

メンドーだけどエサ釣り

みなさまこんにちは、Mr.ツリックです。

さて、今回のターゲットはアオリイカ。食べてヨシ! 釣ってヨシ! で人気の釣りモノですナ。人気が高い理由としては、やはりエギングという釣り方にありますかネ。エサを使わずエギでスポーティーにシャレオツに釣ろうってんデスナ。

ですが、オラはあえてメンドーくさいエサ釣りをする。釣り方を簡単に説明すれば、ウキ仕掛けの泳がせ釣りだ。エサの確保から始め、アオリイカの遊泳層に合わせてウキ下の長さを調整して、エサをポイントへ誘導し、ウキから目を離さず監視してアタリがあったらしっかり合わせる。あ~、書いているだけでメンドイですな。でも、やってみればハマるのは確実ですゾ。

 

オラの背後に駐車場があり、クルマを止めて荷物を持って階段を下り海岸へ。階段下の砂浜にあるテーブルが受付だ

 

ボート店に着いたのが早く、6時の出港までだいぶ時間があったので、リールだけは付けておく。それ以外は、海上でセットする

 

エサは釣ったシロギス

エサに関しては、生きエサのアジやイワシをあらかじめ購入する手段もあるが、東京近郊では販売している店が少ないし、イケスのない狭いボートに持ち込むのも大変である。なので、オラはシロギスを釣って、それをエサにする。サイズは20~23センチくらいが、いろいろな意味で使いやすい。小さいシロギスはイカカンナ(イカ用イカリ型のフック)の抵抗に耐え切れず、すぐに弱ってしまうから大きいほどよい。アオリイカに対するアピール度も高いしネ。しかし、昨今では25センチオーバーのジャンボギスなんてめったにお目にかかれないので、良型とか尺ギスをエサにするのは気が引けるよねぇ。

釣り方はアンカリングになりますが、ウキが流れるのでそれなりに広範囲を探ることは可能。同時進行でシロギスが釣れて、元気なエサをその場で調達できれば好都合なのだが、なかなかそう簡単にはいかないのが現実だ。そりゃ、頭の上をアオリイカがウヨウヨ泳いでいたら、シロギスは砂の中に緊急避難してエサを食う余裕なんてないですナ。なので、アオリイカの気配があればシロギスは釣れないし、シロギスが順調に釣れている場所ではアオリイカの反応はないって感じですかね。ということで、まずはエサをある程度確保してから本命ポイントへ移動するのがセオリーだ。

釣り場は、千葉県・内房の富浦湾にしました。ここは、経験上アオリイカとシロギスが近い場所で釣れるから移動がラクチンなのでありますヨ。

 

エサ釣り用のシロギス仕掛け。アオリイカが釣れなくてもお土産は確保できる

 

ウキ釣り用の泳がせ仕掛けと円錐形の発泡ウキ。マニアックである

 

まさかの1投目で!?

そんなワケで今回は、編集Y男と2馬力ボートでアオリイカにチャレンジする。6時スタートだからとりあえず、朝マヅメねらいで一気に本命ポイントまでボートを走らせた。

ボートに乗る前からタックルをセットしていたY男は、ポイントに着くなりエギをキャスト。するとあろうことか、なんとY男が1投目に本命ゲット。しかも推定700グラムのまずまずサイズだ。もしかしたら、今日はアオリ祭りになるかもしれないゾ。場所は、イカダと丸根(まんね)の中間あたりで、ボート釣りエリアの限界ラインギリギリ。水深は9メートル。

そこで、ウキ下を8.7メートルに設定する。予想では海底から約50センチ上をエサが泳ぐ感じですナ。仕掛けは、ウキは円錐形の発泡ウキ5~8号に5号のオモリを載せて、その下にイカ用の泳がせ仕掛けを装着。もちろん遊動式仕掛けなのでロッドはガイドの大きなものならなんでもイイ。オラは短いバスロッドを使った。あと、PE1号を巻いたスピニングリールには、先イトとしてフロロカーボンの2号を20メートル巻いてある。つまり、この範囲でウキをセットできるので、水深20メートルまでカバー可能なのだ。

 

見事1投目でゲットしたアオリイカ。使用したのは、ダート系のエギ(3.5号)。ドーですこのドヤ顔

 

今回の釣行マップ

※「海釣図V」(マップル・オン)より転載

 

奥に見えるのが釣りイカダ。この日は休業で利用者なし

 

久々の感触だったのに

ウキ釣りタックルがセットできたら、シロギス釣りである。ところが、肝心のエサになるシロギスがまったく釣れず気配もない。メゴチですら釣れない。例年ならば、このあたりでもシロギスが釣れるハズなのだが・・・。湾内を見渡すと、沖に出ているのはイカねらいのボートばかりで、ずっと岸寄りで釣っているのがシロギス釣りのボートのようだ。

それでも、1尾くらいは釣れるだろうと粘ってみるが、一向になんの魚も釣れない。エサも取られないのだ。仕方ないので、浅場に移動してシロギス釣りに集中することにした。Y男のエギングもアレ以来沈黙しているし。あ~ぁ、セオリー通りにエサを釣ってから本命ポイントへ行くべきだったか。でも、それだと朝イチのアオリイカはゲットできていなかったしなぁ。

水深5メートルの浅場に来たら、すんなりと1投目から18センチほどのシロギスが釣れた。ソッコーで数尾のシロギスをキープして、再び沖へ移動。今度はイカダ寄りの水深10メートルでシロギスを泳がす。ウキがいい感じに15メートルほど流れると、ウキがピョコンと振動した。18センチのシロギスでは、発泡ウキを沈めるパワーはない。おや? 前アタリかなとウキを凝視していたら、案の定、静かに根掛かりのようにウキが波間に消えていった。キター! ロッドを大きくあおって合わせると、ずしん!! グイ~ン! 久しぶりのこの感触である。すぐにリーリングすれば・・・スカッ!?

まぁ、よくある話ですナ。この日の見せ場はこれにて終了。あとは初夏とは思えない寒さに昼まで耐えて、すごすご帰ったとサ。

さてさて、次回はなにを釣りましょうか。時季的にマゴチですかネ。それとも、猫またぎのマダイかな。どちらにせよ、またまたオデコ臭がかぐわしく漂う釣りになりそうじゃ。

 

エサにジャストなサイズのシロギスをゲット。これをキープしないと、今回の釣りが始まらない

 

弱らせないよう優しく鼻掛けにする。付け方は仕掛けによって異なる

 

この仕掛けはハナカンを移動できるので、もう少し短くしてカンナを胴体に付けるようにする。これでやっと泳がせ釣りができる

 

ラインの出がよく絡みの少ない大きなガイドのロッドが、この釣りには適している。ウキが15メートルほど流れるとウキがピョコンと振動したので、見ているとウキが消えた。素早く合わせるも掛からなかった・・・残念

 

釣果料理はコチラ

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=BoatCLUB編集部/幸野庸平)

 

須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを弟子に教えている。 

 

【今回お世話になった貸しボート店】

富士屋釣りボート店で、2馬力の船外機付きボートを借りた。イケス付きのよく整備されたボートだ。ほかには、手漕ぎボートを借りることができる。もちろん、スタッフが曳き船してくれるゾ。親切な店主がポイントなど教えてくれるから、初めての人でも安心だ。専用駐車場と近くにトイレがある。

富士屋釣りボート店
[住所]千葉県安房郡富浦町原岡1012
[連絡先]TEL: 0470-33-2324
[料金]4,500円~


あわせて読みたい!

●貸しボート釣行記/①みうらボートでアジ釣り

●絶品釣果料理①/あぶりシメアジとアジの黄金焼き

●9/5発売、月刊『BoatCLUB』10月号/ボートフィッシングSPECIAL

 


ボートフィッシング

ボートフィッシング の記事をもっと読む