
カイ&エリこと、山本 海さんと絵理さんが挑んだいアトランティックチャレンジ2025年大会は、ついに終幕を迎えた。早くも、次回フランス大会へフォーカスするカイ&エリ。大会主催であり、創設者のランス・リーから授与された、バントリーベイギグ(全長38フィート、全幅2mの木造船)の設計図。次回はジャパンチームを引いての参戦を決意する。
連載の最後にあたり、今一度、2人が目指したチャレンジについて触れてみよう。
“I can’t change the direction of the wind, but I can adjust my sails to always reach my destination”
「風向きは変えられないが、セールを調整し、いつでも船を目的地に向かわせることができる」
この言葉を掲げ、若者にシーマンシップを伝える団体「アトランティックチャレンジ」。2年に一度、各国のチームが集まりシーマンシップを競う大会が開かれるという。日本にも学びの場所と、世界につながるチームを作りたい。カイ&エリこと、スピリット・オブ・セイラーズの山本 海と絵理が、日本人として初めて参加してきた。(編集部)
◆メインカット
photo by Kai Yamamoto | 大会初日に行われたボンファイヤー。巨大な炎を囲むキャンプファイヤーのようなイベントだった
海と船を通して若者が国際的な交流する風景は、港全体を明るく元気に照らす
優勝盾を高々と揚げるベルギーチーム。僕らインターナショナルチームは6位という結果に
シーマンシップ国際大会を終えて
今回の旅で、僕はセーラーがよく耳にするシーマンシップとはなんだろうということを考えていた。今まで「シーマンシップを競う」という概念はなかったし、この旅を通じて「海を渡るための具体的な方法論と知恵の集合」ということを感じることができた。
問題や解決しなければならないことに対してシーマンシップは一つの答えが簡単に出るものではないけれど、たくさんの集合した知恵から学び、最も適切だと思うものを選んで実行するということは人が生きていく上で、常に必要だ。特に若者には、これから迎えるたくさんの人生の課題を解決する方法として、きっと良い影響をもたらすだろう。そのためにはまず、僕ら現役のセーラーが自身のシーマンシップを磨き、若きセーラーにそれを伝えていくことが大切なのだと感じた。
そしてその思いを胸に、世界と日本をシーマンシップで結ぶ活動をこれからも続けていきたい。
インターナショナルチームのフラッグを囲んで。3週間にわたる世界のシーマンシップに挑戦する旅。世代と国境を超えて同じ目標に向かって船を走らせたこの経験は、シーマンシップとは何か、そしてやはり世界は海でつながっているのだと強く感じさせてくれる旅となった
BREAK TIME
ベルファストの街を巡る
競技の合間の休憩時間。ベルファストの街を探索した
船で渡った、港の向かいにあるロブスターレストラン。巨大なロブスターにびっくり!
バッグから漁師用ハンドクリームまで海の小物が並ぶ、おしゃれな土産店
ビアバーでテイスティング。量がテイスティングではない(笑)
ご愛読ありがとうございました
第1話を読む
和船帽子の陽気なダグラスさんとの出会い/カイ&エリが挑戦・シーマンシップ大会1-1
(文・写真=山本 海/スピリット・オブ・セイラーズ 写真=ディラン・ラッズ、山本 海、山本絵理/スピリット・オブ・セイラーズ)
※本記事は月刊『Kazi』2025年6月号に掲載されたものを再編纂しています。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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山本 海
Kai Yamamoto
セイルトレーニング帆船〈海星〉勤務後、国内外の数々の帆船で活躍。2015年スピリット・オブ・セイラーズを設立。ISPA公認スクールを開講(沖縄、三重など)。「DIY無人島航海計画」を主催。マリンジャーナリストとしても、活躍中。現在、マリーナ河芸やシーガルヨットクラブを拠点に活動中。 https://spiritofsailors.com