パラオに向けて横浜からスタート|日本-パラオ親善ヨットレース

2024.03.10

横浜をスタートし、太平洋を一路南に進み、1,726海里(約3,260km)に浮かぶ島国、パラオ共和国へ──そんなロマンあふれる長距離レース「日本-パラオ親善ヨットレース2024」が、3月10日(日)13:30に横浜ベイサイドマリーナ沖からスタート。参加3艇が、春の訪れを感じさせる絶好のコンディションの中、針路を南に向けて旅立っていった。

(文=舵社/安藤 健 写真提供=日本-パラオ親善ヨットレース2024実行委員会)

 

このレースは、2019年年末から2020年年始にかけて初めて開催されたもの。"国際"長距離レースが日本ではなくなってしまって久しいなか、セーラーをはじめとする関係者の熱意と尽力によって実現にこぎつけ、7艇の参加の下で大成功に終わった。

そのレース終了後ほどなくして、世界がコロナウイルス禍に包まれることになろうとは、前回のレース中は誰も思いもよらなかったに違いない。

あれから5年、第2回の開催となる「日本-パラオ親善ヨットレース2024」が実現した。

 

前回は年末年始に行われたこのレース。今回はスタート時期が3月へと変わった。また、パラオ到着後は日本への復路に「パラオ-沖縄ヨットレース」が併せて開催される。

今回のエントリーは3艇にとどまったが、そのうち2艇は初参加。レースコースは実に1,726海里という正真正銘の「長距離外洋レース」だ。

 

前日の3月9日(土)には艇長会議や通信講習会などを実施。選手たちは日本での最後の夜を過ごした後、翌10日(日)9:00、順番に舫いを解いて外洋へと出航していった。

 

まずはいったん横浜港・ハンマーヘッド岸壁前に移動。このレースと併せてパラオへの航海を行う帆船〈みらいへ〉と合流し、ベイブリッジを通過するまでのパレードが行われた。

ハンマーヘッド岸壁周辺のエリアは、商業施設も多く立ち並ぶエリアで、港ヨコハマの新しい顔としてたくさんの人たちでにぎわっている。そうした人たちにも見送られ、国際ヨットレースらしい華やかなセレモニーとなった。

 

前回に続き、帆船〈みらいへ〉がレース艇に伴走しながらパラオを目指す。今回の〈みらいへ〉の航海は、公益法人笹川平和財団 海洋政策研究所が実施する「国際海洋人材育成プロジェクト」のさまざまなプログラムの一つにもなっている。

これは、船舶や国際会議の場を活用した海洋リーダー育成プログラムで、2022年から5年間で100名の若者を支援することを掲げており、今回のパラオへの航海がその場の一つとなった。アメリカ、チュニジア、パラオなどの海外諸国に加え、日本から集まった12~23歳まで約20人の学生が〈みらいへ〉に乗船し、セイルトレーニング(帆船の操船訓練)による実践、そしてアラスカからの科学者2人と海洋政策研究所のスタッフを講師にした海洋教育を実施。このプログラムには、洋上でのマイクロプラスチックの拡散分布調査も含まれており、3グループに分かれてのディスカッションなど、実際の航海という最高の場で次世代のリーダーを育成することを目的としている。

たくさんの人たちに見送られ、レースに参加するセーラーだけでなく、次代を担う世界の若者たちも日本から海を渡ってパラオを目指す。

 

スタートラインは横浜ベイサイドマリーナ沖に設置された。前日まで吹いていた風も落ち、風速6~7m/sという最高のコンディション。13:30、〈ゼロ〉(IMX40)と〈1122トレッキー〉(ロジャース42)が競り合うようにラインを切り、〈パルマ2〉(エリオット13)がそれに続き、オールクリアでのスタートとなった。

 

〈1122トレッキー〉(ロジャース42)
・新田 肇オーナー(前列中央)
・芳原 篤(後列右)
・野田宗之佐(後列中央)
・岩見顕久(後列左)

前回に続いての参加は〈1122トレッキー〉。気心知った乗り慣れたメンバーで、目指すは2度目のパラオ、そして優勝に違いない。

 

〈ゼロ〉(IMX40)
・山田克弘オーナー(左)
・西 啓(中央)
・山本寅太郎(右)

パールレース、沖縄東海ヨットレースなど、近年、国内のロングレースに精力的に参加している広島のチーム。山田オーナーは太平洋横断など、ロングの経験も豊富だ。

 

〈パルマ2〉(エリオット13)
・瀧本秀人オーナー(左から2人目)
・平川 誠(左端)
・入山直司(右から2人目)
・神原芳隆(右端)

瀧本オーナーのヨット仲間を中心にチームを結成。地元・岡山をはじめ、たくさんの人たちが横浜ベイサイドマリーナに応援に訪れていた。瀧本オーナーは、前回大会は〈ラッキーレディVII〉のクルーとして参加している。

 

レース参加艇と〈みらいへ〉には、古野電気のトラッキングシステム「ichidake(イチダケ)」が搭載されており、30分に1回発信される位置情報を特設サイトで見ることができる。陸にいながらにして、選手たちと一緒にレースをリアルタイムで楽しんでいただきたい。

ちなみにこれは3月10日21:40の画面。スタート後、観音崎を通過後にいったん風が落ちたが、再び風が上がってきて艇速が伸びていることがうかがえる。すでに先行艇はこの時点で伊豆大島の東を通過中だ。

 

●トラッキング情報は下のバナーをクリック

 

1,726海里の長丁場。まだレースは始まったばかりだ。日本から遠く離れている外洋で繰り広げられているであろうレースを想像しながら、トラッキングシステムを見ながらフィニッシュまで一緒に楽しんでみたい。

 

●日本-パラオ親善ヨットレース
https://japan-palau-yachtrace.com/
●日本-パラオ親善ヨットレース2024
https://japan-palau-yachtrace.com/2024/

 


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