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【フネのDIY術】/FRP④ 施工時にすべきことって?

2021.04.26

月刊『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。今回は、2019年7月号に掲載した、「FRP④ 施工時にまずすべきことって?」から内容を抜粋して、FRPに関する情報をお届けします。

 


FRPを使う場面

本連載では、これまでに、FRPに関する基本的な知識を学んできた。今回からその知識を生かして、いよいよ自分の手でFRP施工を行う運びとなる。が、その前に、そもそもあなたがFRPを使ってなにかをしなくてはいけない状況として、どういったものが挙げられるだろうか。東京ボート サービス部長の伊藤幸洋さんに伺った。

「まず、われわれのような専門のサービススタッフの場合は、衝突事故などで破損した艇体を修理する場合が多いように思います。船体の破損というのは、わりと小さく、ピンポイントで割れてしまっているようなことがほとんどです。例えば、護岸から飛び出ていたパイプと衝突してできたものとか、高速航行中に漂流しているビンに当たったものだったりとか。そもそも、船体が広範囲にわたって大きく破損している場合は、程度にもよりますが、廃船処理になると思います。また、ユーザーの皆さんに一番関係のある状況としては、艤装関連でしょうか。ギャレーやアフトコントロールステーションを増設するときなど、さまざまな場面でFRPが使えます」(伊藤さん、以下同)

ちなみに、FRP自体が寿命を迎えて再積層が必要になるということは、あまりないという。

「トランサムボードの芯材の木材が浸水で腐ってしまい、船外機などの重みでFRPがへこんでしまうことはあります。同様に、中の木材が腐食してデッキがベコベコになってしまったりとか。その場合は、該当箇所をカットして、腐った木材を取り出し、新しい芯材を入れて、FRPを再度積層する必要があります」

 

隔壁に積層したFRPの破損箇所。フネのゆがみによる負荷に耐えられずに壊れたものと思われる

 

面と面の境目はパテなどを使う難しい作業のため、割れやすくなる可能性がある

 

箇所によっては、写真のように表面のFRPの層が剥がれると、水が入って芯材の木が腐ってしまうことも

 

いざ、FRP施工開始

さて、あなたの愛艇が、不運にも航行中になにかにぶつかって艇体を損傷してしまったとする。最初にあなたがすべきことは損傷範囲の確認だ。確認といっても、ただ外から眺めればいいというものではなく、損傷箇所の周辺を削ってどこまでクラック(ヒビ)などの被害が広がっているかをチェックする必要がある。見た目は小さな損傷でも、削ってみると、思いの外、クラックが広範囲に広がっていて、修理不可能ということも十分にありえるのだ。

その際は、あとで積層しやすいような形に削るのがポイントだ。仮に、クラックを追いかけて、星形になるように削ってしまったとすると、あとでガラス繊維を貼って樹脂を塗るときに非常にやりづらくなってしまう。特に理由がなければ、円形になるように削っていこう。

 

次に行うのが、どこをゴールに設定するか。

「その人が、どこまで求めているか、というのはかなり重要です。本当にきれいに、新品のように直したいのか、それとも、とりあえず水が入らなければいいのか。極端な話、ほかの箇所より少し盛り上がっていたり、色が違っていても気にしないのであれば、それでもいいんです。連載の趣旨とは違うかもしれませんが、本当にきれいにしたいなら、信頼している整備士にお願いするのも、選択肢として出てくると思います。こうした作業は、慣れないうちは、それなりに時間のかかるものですし」

また、破損した箇所を、単純に元通りに戻せばいいというわけでもない。破損した原因によっては、つまり、もともと強度に問題があった場合などは、補強を入れる必要もある。

「私たちとしては、当然の話ですが、見た目よりも安全のほうが優先されるべきだと思っています。見た目がかっこ悪くなるから、補強は入れたくない、というのも一つの意見だとは思いますが、われわれの立場としては、安全を優先させたプランを提案するようにしています」

自分が愛艇になにを求めているのかで、作業内容は大きく変わってくる。ゴールをどこに設定するのかは、最も重要なポイントといえるだろう。

 

バウスラスターのためのトンネルを作っているところ。トンネル部分のほか、FRPで水をなめらかに流すためのフェアリングもこのあとで作る

 

写真の穴が開いている部分以外に、損傷箇所の周辺も削り、被害がどこまで広がっているかを確認する。これには、新たに積層するFRPと、艇体の接する面を広くするという意味もある

 

周辺を削る際は、円形になるように削ったほうが、のちの作業がしやすくなる

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は『BoatCLUB』2019年7月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

※「フネのDIY術」過去記事
FRP①はコチラ、FRP②はコチラ、FRP③はコチラ

 


東京ボート
新艇・中古艇の販売や保管、メンテナンス関連部品の販売、ボート免許取得のための講習など、ボートに関する幅広い業務に携わる。
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