【フネのDIY術】/磨き① コンパウンドってなに?

2021.06.28

月刊『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。今回は、2019年9月号に掲載した、「磨き① コンパウンドってなに?」から内容を抜粋して、磨きに関する情報をお届けします。

<CAUTION>
研磨することで、表面に傷がついたり、塗装がはがれるなどの損傷が生じる場合があります。リスクをしっかりと認識して、作業は自己責任で行ってください。


 

愛艇はきれい?

突然だが、あなたの愛艇はどれくらいきれいだろうか? 最後にフネをきれいにしたのはいつ? 今回からは「磨き」をテーマに進行していくので、今、ドキッと感じたあなたは、ぜひこの記事を読んでいただき、愛艇をきれいに磨いてみてほしい。

さて、ひと口に"磨き"といっても、意味はいくつかあるが、ここでは、「表面を研磨して、美しくする」という意味であることを、先に断っておく。端的にいえば、水洗いや洗剤を使ってもどうにもならない汚れや表面の劣化を、研磨してきれいにする、ということだ。

 

スカッパーから延びる汚れを、水分を含ませたウエス(布)で拭いてみると・・・

 

場所によってはきれいになったが、残りは取り切れなかった。こびりついた汚れには、研磨剤を使うしかない

 

フネで磨く箇所としては、船体、ウィンドー、ハンドレールなどの金属、エンクロージャーなどが挙げられるが、まずは船体の磨きから。

磨きに使用するのは、主に「コンパウンド」(compound)と呼ばれる研磨剤。コンパウンドは、直訳すると「化合物」の意味で、さまざまなものを指す言葉ではあるが、一般的にコンパウンドといえば、研磨剤として理解されることが多いので、本連載でもその意味で用いることとする。そのほかに、コンパウンドで磨くためのウエス(布)やスポンジ、ポリッシャーやバフなどがあるが、それらについては後述する。

コンパウンドに関して気にするべきこととしては、研磨剤の含有量や粒子の大きさ。それぞれ汚れの具合や素材に合わせて、使い分けていくことになる。前回までのFRP編で述べたように、船体の表面は大きく分けて、ゲルコートや塗装である。塗装は、ゲルコートよりはるかに薄く、また、つやを出すために整備士がかなり細かい粒子で磨きあげているものも多いので、磨く場合は細心の注意が必要だ。

 

東京ボートで使われているコンパウンドの一部。汚れの具合や、素材に合わせて、さまざまなものを使い分けている

 

研磨について

コンパウンドと聞くと、専門的なアイテムのような気がするが、原理的には研磨剤入りの歯磨き粉やクリームクレンザーなどと同じだ。東京ボートの伊藤幸洋さんがいうには、衣類洗濯用の粉洗剤であっても、場合によっては研磨剤として役に立つこともあるという。いずれにせよ、コンパウンドは、細かな粒子で汚れや劣化した部分を削るものなので、船体のきれいな部分にもキズをつけるリスクと表裏一体ということになる。

「プロフェッショナルであれば、最初は大きくガンガン削っていって、徐々に粒子を小さくして、なるべく短い時間で仕上げることができますが、そうなるまでには経験も必要になります。慣れないうちは、多少時間がかかってでも、細かめの粒子を用いて、根気よく磨き続けていけば、船体を傷つけたりすることなく、きれいに仕上がると思いますよ」(伊藤さん)

 

スカッパーについた汚れは、サンドペーパーで落とす。目の粗いものを使うと、ほかの場所に比べてくすんでしまうので、徐々に目を細くして周囲とそろえていく

 

また、どこまでピカピカにするかは、オーナー次第でもある。

「クルマはほとんどが塗装ですが、車体にフェンダーのようなものをずっとこすりつけていたら、塗装が剥げるだろうなって、すぐに想像できますよね。塗装で細かく磨き続けたほうが、ツヤが出てピカピカになりますが、塗装は薄い膜なので剥がれやすい。ただ、汚れはゲルコートのほうが乗りやすいと思います。塗装に比べて、表面がザラザラなことのほうが多いですから」

最後に、取材用にゲルコート仕上げの船体を、研磨剤の粒子の大きさを変えて、磨いていただいたが、粒子が細かくなればなるほど、その違いはほとんど肉眼ではわからなかった。汚れを落とすための磨きと、仕上がりをきれいにする磨きは、分けて考えたほうがいいかもしれない。

 

白く見える部分が、ゲルコート。ゲルコートの層は厚いので、比較的粗めに削っても内側のFRPが露出する可能性は少ない

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は『BoatCLUB』2019年9月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

 

東京ボート
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