アラまで無駄なく使った、マダイの油霜スクランブルエッグのせ

2024.10.27

イケスに掛かり釣りができる沼津の海星で、ウキ仕掛けでマダイをねらったMr.ツリック。残念ながら本命は釣れなかったが、マダイ料理を披露していただいた。(舵オンライン編集部)

◆実釣の様子はコチラ
ウキ釣りでマダイをねらう/沼津・海星

 

マダイの油霜スクエグのせ

――湯霜より高温な油霜は、マダイの皮が柔らかくなり、使う油で風味が変わるスグレテクだ

 

メインの料理は一般的な湯霜ではなくごま油で油霜にしてみた。本来なら、熱したごま油を切り身にかけ回したいところですが、いろいろメンドイことになるため、フライパンでごま油を熱して軽く切り身に火を入れた。

それから、付け合わせの野菜は中骨で取っただしを使って炊いた。さらに、三枚におろすときに余る腹骨まわりの肉は干物にした。干すと水分と一緒に臭みが抜け、ただの塩焼きより確実においしくなる。

 

【材料】

●マダイの背身 半身 ●塩 適量 ●アスパラガス 適量 ●ごま油 適量
●玉ネギみじん切り 1/8個 ●卵 1個 ●マヨネーズ 小さじ1
●あらびきマスタード 少々 ●ミニトマト 適量(お好みで)

 

①まず、マダイのウロコと頭を取り除き三枚におろします。油霜にするひとりぶんは、マダイの大きさにもよりますが背中の身の半分くらい。当然、血合い骨や腹骨はないよネ。だし取り用の中骨は臭みが残る背ビレ、腹ビレ、尾ビレを取り除き、適当な大きさに切る

 

②中骨にたっぷりの塩をまんべんなくこすり付けて、水分を抜く感じでしばらく置いておく。さらにていねいに臭み抜きをするならば、しばらく放置したあと塩をしっかりと拭き取り、表面がツルツルになるまで日干しをする方法もある

 

③しばらく置いて水分を抜いたら、塩をできれば熱湯で洗い流し、水気をふき取ってから、弱火で焦がさないようにじっくりと焼く。それを、水を張った鍋に入れて30分から1時間ほど沸騰させないように煮出し、ひと晩放置する

 

④朝になればうっすら琥珀色のだしが取れているハズ。その汁で付け合わせ用のアスパラガスを炊いておく。ほかに、そのだしでご飯を炊き、少量のだしじょうゆとみりんを加えておにぎりにして、ごま油を入れたフライパンでサッと焦がした焼きおにぎりも絶品

 

⑤マダイの背中の身を半分くらいに切り、あとで食べやすいように適当な間隔で皮に切り込みを入れておく。熱したフライパンにごま油を入れて、マダイの切り身を入れ、さっと表面だけあぶる感じで焼く。お造りにする場合はこのあと、冷水に入れて冷やす

 

⑥フライパンに油をひき、玉ネギ約8分の1個のみじん切りを透明になるまで弱火で炒めてから、溶き卵にマヨネーズとあらびきマスタードを混ぜたものを流し込み、強火にして半熟のスクランブルエッグを作り、ひと口大に切り分けた切り身にのせて盛り付ける

 

【親父の小言】

釣りから帰ってきて魚をさばく。疲れているのでアラなどを捨てたくもなるが、とりあえず冷蔵庫へ。翌日、塩漬けにしたり焼いたりして水分を抜いてから、しょうゆに一晩か丸1日漬け込んでおく。すると、はんなり角の取れただしじょうゆになる。それを付けて油霜にしたお造りをいただく。至高のコンビネーションだ。このだしじょうゆで工程④の焼きおにぎりを作るとか、カブト焼きや潮汁にちょいとひと垂らしするといい風味が出る。

 


須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。

月刊『BoatCLUB』の奇数月号では、元料理人の釣り人Mr.ツリックが釣果料理を披露しています。舵オンラインでも、絶品料理のレシピをご紹介します。
※本レシピは月刊『BoatCLUB』2024年5月号に掲載。最新号もよろしくお願いします!

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=『BoatCLUB』編集部)

 



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