
〈ALERION〉ALERION EXPRESS 28
〈アレリオン〉(アレリオン エキスプレス2
〈アレリオン〉(アレリオン エキスプレス2
8)
油壺ボートサービス(以下、ABS)の代表、日髙芳子さんと夫の博人さんが所有する名艇、アレリオン エキスプレス28の艇紹介その2。米ブリストル出身のデザイナー、ナサニエル・ヘレショフが設計したアレリオンの歴史をひも解くとともに、日髙さんたちのお孫さんが笑顔でセーリングする様子をお伝えします。

名艇、アレリオンの魔力
ここでアレリオン エキスプレス28(以下、AE28)について簡単に解説したい。米ブリストル出身のデザイナー、ナサニエル・ヘレショフが1912年に設計したのが26ftのアレリオンIII。このセンターボード艇はヘレショフ自身のお気に入りとなり、1989年には米国のデザイナー、カール・シューマッハーがAE28としてリメイク。
その後、ゲイリー・ホイトが洗練させた。水面上はそのままに、アペンデージだけ現代的に改装したAE28は、35年経った現在も、当時と変わらぬ美しさを継承しているのだ。

アーサー・ランサム『ツバメ号とアマゾン号』の世界
AE28の誕生当時、アナポリスボートショーでゲイリー・ホイトと、当時の建造所であるピアソンヨットの創業者エヴェレット・ピアソンに矢部さんと共に会いに行ったイラストレーターのTadamiさんも「このジャンルは日本人に受け入れられる」と確信したそうだ。まさにデイセーラーの代名詞とも言える一艇、それがアレリオンシリーズなのである。
前置きがちょっと長くなってすまないが、そんな素敵な〈アレリオン〉で出艇しよう。お孫さんたちは何も言われなくても艇に乗って作業をする。時に遊びながら、時に真剣に出航準備を手伝った。
「タッキングとか、ジャイビングとかね、難しいことは教えないんですよ。ほら、舵持ってごらんって。腰が強くて安全、乗っていれば自然とセーリングを教えてくれるヨットです」と博人さん。志子(ゆきこ)さんの掛け声でセールアップ。最初に舵を持った湊人(みなと)くんは、なかなかのハンドリングを見せ、颯輔(そうすけ)くんのセールトリムも見事なものだった。
その光景は、まさにアーサー・ランサムの小説『ツバメ号とアマゾン号』。セーリングを終えて着艇し、艇を洗いながらふざけて水をかけあう様子までも、見ているだけでなんだか胸が温かくなる。

アレリオンにこだわった決め手
「恵まれた環境だと思います。この場所に桟橋があって〈アレリオン〉があって。今は夏休みだから朝から賑やかですけど、学校が始まった平日でも孫たちが帰ってきて風がよければ、じゃあヨット出そうか、って」と、芳子さん。
先ほど、ヘレショフデザインのヨットがお好きと言っていましたが、アレリオンにこだわった決め手とは? 「子どものころから見ていたヨットって、やっぱりこういうイメージなんです。東海岸で浮いてそうな、クラシカルな。アレリオンは見た目はクラシカルだけれどもキール形状が現代的だったり、帆走性能も安全性もあって・・・。まあ、なんていうんでしょうね。きれいじゃないですか。何よりも、美しい」
お孫さんたちが桟橋で遊ぶ様子を見ながら話してくれた芳子さん。ちらりと拝見したその横顔は深い優しさと幸せに満ちていたのでした。



ALERION EXPRESS 28
諸元
- 設計:カール・シューマッハー
- 建造:アレリオンヨット
- エンジン:ヤンマー2YM15

OWNER
紹介
日髙芳子さん(左) Yoshiko Hidaka
日髙博人さん(右) Hiroto Hidaka
油壺ボートサービス代表の日髙芳子さん(手前)と、夫の博人さん。芳子さんの両親、福留清彦さん、圭子さんが昭和30年代前半に創業した修理工房を現在も引き継ぐ。2017年にアレリオン エキスプレス28に出合う。現在は7人のお孫さんたちと一緒に、油壺沖の海に帆を揚げている
(文=中村剛司/Kazi編集部 写真=矢部洋一)
※関連記事は月刊『Kazi』2024年10月号に掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ






















