ヨットを辞めちゃう若者たちに喝! 入れます!

2022.01.16

毎年多くの学連ヨット部員が社会に出るというのに、ヨットを続ける人間はほんのわずかなのである。それはなぜか! 坊やだからなのか! 否! そうではない。根っこは意外と深いらしい。

ヨット界が抱えるこの問題に真摯に向き合い、舵オンライン&月刊『Kazi』誌では、若者のヨット離れの実情について大いに分析&議論を行った。 舵オンライン&『Kazi』誌が行ったアンケート総数は76人。現役ヨット部員と若いOG、OBたちからヒアリングしたその実態は、「データで見る、若者ヨット離れの実情」で紹介した。この発信は多くのセーラーの共鳴を呼び、「よくぞこの問題を取り上げてくれた」「ヨット界の未来のために必須の議題だ」と、多数の賛同をいただいた。

今回は、この中からネガティブな意見を抽出し、若者が抱える問題をズバズバと解決してしまおうと思う。疑問に答えるのは、Kazi編集部のハードボイルドセーラー、中村。残念なことを言ってるヤングセーラーはどこのどいつだ?

若者よ、とにかくヨットに乗れ! 

 

 

コチラがネガティブな意見。「ヨットが嫌い」という項目にチェックを入れた若者は0人。ヨット離れの要因は、ヨットが嫌いになったわけではなく、ほかにあるようだ。ざっと見てみると・・・強風、お金、拘束などが主な理由ということが分かった 。

 

では・・・若者セーラーの悩みを解決する!

出ました、強風嫌いなやーつ! というか、こういうこというやつ、本当にセーラーなのか? 強風が嫌いだなんて。まあ、俺も嫌いだ。強風=オーバーヒールということだろうが、だったらマルチハルに乗れ。まじでヒールしないぞ。その分、マストにかかるロードは増えるが、その辺はうまいことデパワーしてくれ。トライマランのwetaや、ホビー・ミラージュ・アドベンチャー・アイランドなどに乗ると、衝撃的に楽ちんでびびるぞ。 

 

 

ウエアの問題も多かった。これはあれだな、ヨット部を引退するとき後輩にカッパをあげてしまったんだな。いい先輩だ。だったら、ホームセンターの安いカッパでとりあえずがまんしろ。急場はしのげる。でも、ちゃんとしたヨットメーカーのウエアのほうが断然かっこいいことは言うまでもないし、プロっぽく見える。非マリンウエアは、あくまで緊急用だ。 

 

 

若者の一番の悩み、それは資金の問題だ。社会人になって間もないセーラーは、新生活とはじめて挑む仕事に追われ、余暇を楽しむ余裕がないのかもしれない・・・。だったら、まずは、新艇はあきらめ中古艇を共同で買ってくれ! 例えば、30 万~50 万円の中古のJ/24を5 人で割れば1 人約6万~10 万円。関東のビッグマリーナの24ftの年間保管料は35 万~75 万円ほどだが、西伊豆へ置けば24 万円ほど。もし、実家に広い庭や駐車スペースがあるなら、ベネトウ・ファースト18のようなトレーラブルボートを選んでけん引するという手もある。節約方法は意外とあるぞ。 

 

ディンギー上がりのセーラーが十分楽しめるJ/24。フリートレースもマッチレースも盛んなので、学生時代の熱量そのままにレースを楽しむことができる。もちろんクルージングだってできます。 

 

 

こちらはベネトウ・ファースト18。振り上げ式のセンターボード艇ゆえ、牽引車への搭載が可能。これなら自宅に置くという必殺技が可能。日本中どこでもいけるぜ! 

 

 

昨今流行しているのが、遠隔地マリーナに艇を置くというスタイル。写真は宜野湾港マリーナ。J/24なら年間28万円ほどと格安(関東だと倍近い・・・)。関東から沖縄県へは、LCCなら1万円以下で移動も可能だし、日帰りもできる。このように遠隔地にヨットを置くオーナーは増えてる。現在、宜野湾港マリーナは人気で空きがないという話もあり。与那原マリーナなら空いてるみたいです! 

 

 

中古艇もきびしいだと? むむむ・・・、パンがないならケーキを食べればいい、買えないならレンタルすればいい! 自動車の世界ではもやは一般的になっているが、世間にはリーズナブルなレンタルクラブや、ヨットをシェアする方法がたくさんある。相場は下記の通り。逆に、年間保管料が安いリゾート地、例えば沖縄では、40ftのクルーザーのレンタル料は1日60,000円程度とやや割高。都会ではシェア&レンタルして、リゾートではオーナーに。これが今のところ賢い選択かもな! 

 

シェア&レンタルの相場がこちら

 

 

割と多かったのが、先輩/後輩、熟練者/初心者の関係が苦手という意見。学生時代に相当いやな思い出があったのであろう。もうそういうヤツは、一人で乗れ! レーザー級で五輪を目指すもよし、ファンディンギーでピクニックセーリングをするもよしだ。意外と楽しいものなのだ。フリートの仲間とわいわいするのもよし。あ、そこにいやな先輩がいても責任はもたないぞ! 

 

photo by Yoichi Yabe

レーザー級、レーザー・ラジアル級ならオリンピックだって目指せる。もちろん、ファンディンギーでビーチングも楽しい。一人乗りの世界もいいものです

 

 

社会人1年目は乗れないかもしれないが、 ビジネスが落ち着く30代なら乗れるだろうと、資金面を気にする若者に言ってみた。するとそいつは「そのころには結婚して子どもがいるかもしれない。もっとお金がない」とほざきやがった。なんだよ! 家族思い、恋人思い! どんだけいいヤツなんだよ! これは大事な問題だ。ならば、いっそのこと家族や恋人も巻き込んだセーリングライフを考えてみる。もう、一緒にセーリングしちゃいな! ヨット乗りとお付き合いする、というのもアリよりのアリだ(照れ)。 


 

すべての悩みに答えることができずすまない。しかし、若者が抱くそれぞれの悩みの裏には「本当はヨットに乗りたいんだ!」という熱きパッションがゴウゴウと燃え上がっていることを痛感した。「昔のセーラーは~」という話をすると若者に嫌われるが、あえていう。昔のセーラーは、いい意味でもっともっとバカだった。ヨットに乗りたければ、貧乏してでも乗っていた。後先考えずに。もちろん、現在の日本の経済状況は、なりふりかまわずバカになることを許容するものではないかもしれない。でもしかし。あとちょっとの勇気があれば、ヨットを再開することが可能なのも事実・・・。

バカになる勇気。難しいことは、海に出てから考えてもいいんじゃないかな? 若き元セーラーたちに、ベリナイス、ベリベリナイスなセーリングライフがきたることを祈る。

 

(文=Kazi編集部/中村剛司 写真=舵社)

 

※月刊『Kazi』1月号に関連記事掲載予定。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 


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