イタリアヨット11.98ベリッシマ|注目のクルーザー/レーサー

2022.01.04

イタリアヨットは、その名の通り、イタリアのベネチアで2011年に創業したセールボートビルダーだ。「performance & luxury」コンセプトに掲げ、ハイクオリティーなクルーザー/レーサーを主軸にラインアップ。IY9.98や今回紹介するIY11.98はORC世界選手権で優勝しているほか、欧州を主としたレースシーンにおいて好成績を残し、瞬く間に高い評価を得ている注目のブランドだ。

そのイタリアヨット社のモデルである「11.98ベリッシマ」が、2021年、日本に初上陸。同年11月に、広島で活動するJJチーム(國重政信オーナー)の協力を得て、取材の機会に恵まれた。

プロセーラーである本吉夏樹氏によるインプレッション記事は、2022年1月5日発売の月刊『Kazi』に掲載。現役レーサーならではの視点での鋭い分析は、雑誌の記事をじっくりご覧いただくとして、本サイト「舵オンライン」では、一足先に写真を中心に魅力を紹介していくことにしよう。

 

(文=舵社/安藤 健 写真=松本和久)

 

設計はマッテオ・ポリ。最新世代のHPRにも通じるフォルムが特徴的だ。ハル後端にかけてのホロー(くぼみ)にも注目。

 

全長(バウスプリット含む)は13.00m。船体重量が6,200kgと、非常に軽い点も目を見張る。例えば、これはベネトウ・ファースト40.7と比較すると、(艇ごとの個体差はあるが)IRCエンドースト証書上の数値では1トン近くも軽いという。

 

IY11.98は、2019年のORC世界選手権で優勝、2021年は惜しくも2位と、デビュー以来、好成績を残している。取材艇の〈JJ〉は、オプションのカーボンマスト&カーボンブームを採用。

 

取材艇のキールはバルブキール仕様。バルブ、ストラットともに、すべて鉛で造られている。昨年から、IRCでのレースをターゲットにしたフィンキールも選べるようになった。

 

いかにもクルーワークの作業性が高そうなコクピット。ベンチシートの後ろ半分は、取り外すことが可能になっている。

 

ヘッドセールのコントロールシートは、レールの前後をブロックを移動させるタイプではなく、3D(前後+左右+上下)でクリューの位置を調節できるシステムが採用されている(動画を是非参照いただきたい)。

 

コントロールロープやハリヤード類は、すべてセンターに集められており、ピットマンは非常に効率的に作業ができるはず。

 

IY11.98には、同じ船体を使いながら内装とデッキを変更し、船内空間を充実させた「ベリッシマ」と、よりレースに特化した「フーリゼリエ」の2つのバージョンが用意されている。取材艇はベリッシマのほうだったが、このインテリアデザインは、ほかのクルーザー/レーサーでは見たことがないクールなものだった。インテリアデザインを担当したマルコ・アルボレは、メガヨットや建築物、スポーツカーなど、さまざまな設計を手掛けている人物。

 

コンパニオンウェイの階段を降りると、左舷側にトイレ、右舷側に独立したシャワールーム。その前方には、左舷側にギャレー、右舷側にチャートテーブルというレイアウトになっている。

 

バウキャビンの扉は観音開きで、床面と共通の木工を使ったデザイン。壁面中央のカーボン調の構造物は物入れで、これがメインサロン、そしてクオーターバースにまで連なっている。

 

広く、使い勝手のよさそうなクオーターバース。これが左右対称で設置されている。

 

広島で実施した取材時のセーリング動画はコチラ↑↑。輸入元のVMGヨット代表の松崎浩一さんによる各部解説も必見の内容となっている。ぜひご覧ください。

 

Italia Yacht 11.98 Bellissima
●全長:13.00m
●ハル長:11.65m
●全幅:3.97m
●喫水:2.10m(ORCバルブキール)/2.28m(IRCフィンキール)
●重量:6,200kg
●セール面積:メイン50㎡、ジブ43㎡、ジェネカー140㎡、スピン110㎡
●エンジン:ボルボ・ペンタD1-30(30馬力)

(問い合わせ)
VMGヨット
TEL: 045-867-0034/090-3470-2595
e-mail: info@vmgyachts.com

https://www.italiayachts.com/en/

 


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