東京五輪 女子470級日本代表 吉田 愛/吉岡美帆

2021.07.17

選手紹介第2弾は、日本が誇るワールドチャンピオンの女子470級・吉田 愛/吉岡美帆(ベネッセホールディングス、吉田がトップ画像右上、吉岡が同右下)。インタビュー、プロフィール、応援メッセージをお届けします。

 


Women's Two Person Dinghy
女子470級

吉田 愛/吉岡美帆

 

「まずは実力を出すこと。その先にメダルが見えてくる」

 

■国内で集中的にトレーニング

フィン級以外の8種目の代表が海外遠征を再開する中、吉田/吉岡は国内で集中的にトレーニングを重ねた。
吉田「この1年、一番は体力をさらに向上させようと、トレーナーと念入りにチェックしながら向上を目指していました。あと、細かいテクニックに時間をかけて取り組みました」
吉岡「パワーと持久力を向上させたかったのでフィジカルトレーニングを中心に、私たちの課題にフォーカスして取り組めたかなと思います」

吉田はリオ五輪後に妊娠出産をへて競技に復帰した。
吉田「やっとこの1年で体力が戻った感触がありますね。体力を元に戻すのは並大抵ではなく、週1回、遠くのJISS(国立スポーツ科学センター)まで行くんですが、その日は覚悟して行っています(笑)。吉岡選手はもっときつかったかと」
吉岡「そうですね、JISSにいる時間も長くて、これまでやったことがないような負荷を上げたトレーニングでした」

そのかいあって、体力の向上はパフォーマンス維持にもつながっているという。
吉田「2人のコンビネーションもよくなりました。体力を強化できたので疲れにくくなって、そのことで視野が広がったり、最後まで同じパフォーマンスを発揮できている感触があります」
吉岡「頑張った分、フィジカルで伸びている実感があります。疲れ具合も変わってきて、ロッキングやパワフルな動作も力強く長くできるようになりました」

 


2019年の470級世界選手権の様子。中央やや左、バウナンバー02、セールナンバーJPN 1が吉田/吉岡。ワールドチャンピオンの証である金色の「470」が白いセールに輝く

 

■実力を発揮した先にあるもの

吉田にとっては4度目、吉岡にとっては2度目、それぞれの五輪がまもなく始まる。吉田が2大会同じクルーで挑むのは初で、それほど吉岡に信頼を寄せている。
吉田「私の高い要求を、吉岡選手は自分の中できっちり消化して取り組む姿勢が誰よりも一番すごく、頑張る選手です。ペアを組んで8年ほどですが、それがやっと形になってパフォーマンスにも発揮できて、吉岡選手自身もそれが楽しく感じるようになってきたんじゃないかなと。魅力的なスーパークルーになってきたと思います」
吉岡も吉田を尊敬していると話す。
吉岡「一番はストイックなところで、ずっと見てきたから私も頑張ろうと思えます。レース中でも日常でも、決断力もすごいです」

どんな風が吹いても慌てずにレースができる、強い風でも弱い風でもコンスタントに走れることがチームの強みだ。
吉田「他国の五輪代表には、みんなが読み切れないようなコース戦略をしたり、粘り強いコースを引いたり、驚くくらい抜いてきたり、そういう点が怖いと思われているんじゃないかと。目指すは金メダルですが、メダルを取る大変さは知っているし、海外選手と手合わせしていない分、ぶっつけ本番。まずは実力を出すことが目標で、その先にメダルが見えてきたらいいなと思っています」
吉岡「前回は初めての五輪で、ただ緊張して頭が真っ白に。今回はいろいろと分かって、課題にも一生懸命取り組んで、それをレースでどう発揮できるか。チーム力も向上して、お互い補い合ってレースができるんじゃないかなと思います」

かねて目標は金メダルと話す。ワールドチャンピオンが五輪でどんな走りを見せてくれるのか、楽しみで仕方ない。

 

【スキッパー】
吉田 愛(よしだ・あい)
●所属企業:ベネッセホールディングス
出身:東京都
年齢:40歳
身長/体重:160cm/58kg
●競技歴:34年
経歴:葉山マリーナブルーアンカージュニア➡国立音大付属高校➡日本大学
五輪出場歴:北京、ロンドン、リオ

 

【クルー】
吉岡美帆(よしおか・みほ)
●所属企業:ベネッセホールディングス  
出身:広島県
年齢:30歳
身長/体重:177cm / 70kg
競技歴:競技歴15年
経歴:兵庫県立芦屋高校➡立命館大学
五輪出場歴:リオ

 

【応援メッセージ】
Kazi誌が企画した日本代表への応援メッセージの一部を掲載します。

・Wishing you all the best!(C.N/26歳)
・2016年初対面の愛さんは妊婦さん。”さすがアスリート!”と周りのアメリカズカップ関係者をも感心させるほど、体調に気を遣いながらもトレーニングをひたすら続ける愛さん。一児の母、オリンピック選手。なかなか容易なことではないはずです。ルイママ、トッポちゃん、オリンピック頑張ってください。日本の裏側のバミューダからみんなで応援しています。(コアブチ/50代)
・吉田愛ママさんレーサー、経験を糧に風と潮を読み、メダル奪取!頑張れ〜!!(Dive kenken/61歳)

 

この記事は、現在発売中の『Kazi』8月号を再編集したものです。ぜひ本誌『Kazi』もお買い求めください。 

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(文=森口史奈/Kazi編集部 レース写真=矢部洋一 選手顔写真=濱谷幸江/日本セーリング連盟)

 


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