【水路を航く】#41/福岡県北九州市・若戸大橋 “夜景の町”で圧巻の存在感を放つ
“夜景の町”としても知られる、福岡県北九州市。
皿倉山や門司港レトロ展望室など、市内の七つのスポットが日本夜景遺産(※)に登録されている。そのうちの一つ、高塔山公園からは、水路が張り巡らされた港湾地帯が一望できる。
中でもひときわ目を引くのは、目に鮮やかな赤色、そして堂々たるかまえの若戸大橋だ。渡船も就航しており、フネ、橋、人が織りなすその景色は見どころが多い。
※日本夜景遺産事務局が選定。取材当時で国内262カ所が登録されていた
(トップ画像説明)
西の空に落日の光が残る日没直後。三日月が昇った群青の空を背景に、ライトアップされた深紅の若戸大橋が浮かびあがり、下を渡船がゆっくりと進んでいく。若戸渡船の戸畑渡場から撮影
洞海湾を挟んで向かい合う若松区と戸畑区をつなぐのは、地下を走る若戸トンネルと若戸大橋だ。しかしいずれも通航は車両に限られるため、歩行者や自転車は市営の若戸渡船を利用する。
若松−戸畑間は直線距離で約400メートル。明治以前から小型の伝馬船で人や荷物を運んでいたが、明治44年(1911 年)に小型の蒸気船が就航し、その歴史が始まった。
現在も早朝から22 時すぎまで、365日休みなく運航する。運賃は、片道大人が100円、子どもが50円
■北九州市渡船事業所 TEL:093-861-0961
若松側からは、若戸大橋の奥から昇る太陽を見ることができる。朝の光の中、すがすがしい空気に包まれて犬の散歩をしている人がいた。ここに限らず若戸大橋の周辺は、どの時間帯でも絵になる場所がとても多い
若戸大橋のすぐ下にある若松恵比須神社。海の神、海運の神、商売繁盛の神がまつられている
(左)郷土の若松と河童(かっぱ)を愛した作家、火野葦平は昭和13年(1938年)に『糞尿譚』で第6回芥川賞を受賞。晩年を過ごした旧居・河伯洞は入場無料で公開されており、『花と龍』や『革命前後』などを生み出した書斎も見学できる。
(右)邸内には彼が好んで集めた河童の小物がたくさん
■河伯洞 福岡県北九州市若松区白山1-16-18(JR若松駅から徒歩5分)
日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第41回は、『ボート倶楽部』2022年6月号に掲載された、福岡県北九州市で出会った水辺の風景をお届けしました。
(※本記事の取材は2022年の3月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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