【水路を航く】#10/兵庫県・明石海峡

2021.08.15

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。 第10回は、『ボート倶楽部』2021年10月号に掲載された、兵庫県の明石海峡を取り上げる。
※本記事の取材は2021年4月に実施しました。


 

本州と淡路島に挟まれた明石海峡。大阪湾と播磨灘を結ぶその狭い水道には、大型のタンカーやコンテナ船がひっきりなしに航行している。海峡の上は、世界最長のつり橋である明石海峡大橋と、東経135度――日本の標準時刻を決める「子午線」が縦断している。

巨大さと造形美でひときわ目をひく明石海峡大橋。県立公園になっている本州側の橋脚下からは、大迫力の橋を眺めることができる。夜間はライトアップされており、夜空に浮かぶ明石海峡は絶好の被写体となる。昼夜問わず写真を撮る人、そして釣り人やカップルなど、地元の人の憩いの場としても人気の場所になっている。

明石市は、日本の標準時となる東経135度の子午線が通り「時のまち」として知られ、市内には子午線を示す標識やさまざまな日時計が見られる。急流にもまれ、身が引き締まった魚が多く水揚げされ、「明石鯛」や「明石だこ」は全国的にも有名。多くのフネが往来し、潮流が激しい海上交通の難所の明石海峡は絶好の漁場でありながら、船上や陸からの景色も楽しめる場所だ。

 

(トップ画像説明)
明石海峡大橋の本州側、舞子公園からの景色。広く遮るほど巨大な橋を見ることができる。対岸の淡路島までは自動車専用道路の神戸淡路鳴門自動車道でつながっている

 

照明は季節ごとに色が変わるほか、イベント時には特別なライトアップが行われる。「時のまち」明石にちなみ、毎時0分と30分になると、5分間色の変化で時刻を知らせている

 

明石海峡航路は、1日あたり800隻を超える日本でも有数の海上交通の要衝。長さ50メートル以上の船舶は、海上交通安全法で航路の航行義務が定められている

 

明石海峡大橋を満喫できる「舞子海上プロムナード」を歩けば、陸から150メートル、高さ47メートルの地点まで行くことが可能
■ 舞子海上プロムナード TEL:078-785-5090

 

舞子海上プロムナードには、ガラス張りの床に丸木橋が架けられている場所もあり、明石海峡を真上から見ることもできる

 

明石市立天文科学館には、明石海峡大橋が一望できる展望室のほか、最上階には天体観測室もある。「時と宇宙の博物館」として、さまざまな資料が展示してある。現役では日本最古のプラネタリウムも人気
■ 明石市立天文科学館 TEL:078-919-5000

 

館内にある14階の展望室からの壮大な景色。海沿いにある明石市の町並みと、明石海峡大橋でつながる淡路島も見える

 

明石市立天文科学館の玄関前には、東経135度を示すラインが描かれている

 

明石市立天文科学館の隣にある柿本神社。柿本人麻呂の伝記や歌碑が境内にたくさんある。盲杖櫻(もうじょうざくら)と名づけられた本殿前の桜の木には、盲目の旅人が、この神社で目が見えるようになったときに置いていった杖(つえ)から、枝が生え、花を咲かせるようになったという言い伝えが残る。火災よけ、学問、文芸、安産、良縁のご利益がある神社
■ 柿本神社 TEL:078-911-3930

 

 (文・写真=舵社/山岸重彦)

 

※本記事は、『BoatCLUB』2021年6月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。

 


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