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太平洋横断中の辛坊さんは嵐の中/その挑戦の理由

2021.04.24

辛坊さんは風速40ノットの嵐の中

大阪出航から2週間が経った、太平洋横断中の辛坊治郎さんと愛艇〈カオリンV〉(ハルベルグ・ラッシー39)の4月23日20時の位置は、千葉県の東方約1,300km。この距離は北海道の函館から九州の福岡までの距離とほぼ同じで、いよいよ日本近海を離れたという状況だ。

 

現在位置はは古野電気の辛坊さん応援ウェブサイトでリアルタイムで更新されている(PC閲覧推奨)。

 

心配なのは天候で、辛坊さんは現在、中心気圧990hpa(ヘクトパスカル)前後の低気圧のすぐ西側にいて、嵐に巻き込まれている。その状況は、23日夕刻のサポートスタッフとの衛星携帯電話による定期連絡でも語られた(以下は抜粋)。

「今日(4月23日)の11時過ぎから、急に40ノット(20m/s)オーバーで、それから5時間ずっと吹き続けている状況。(フネで計測している)気圧は996hpaくらいで、大荒れです。45ノット(23m/s)くらいの風がずっと吹き続けている感じです」(辛坊さん)

 

YouTUBEチャンネル『辛坊の旅』より。

 

この強風の状況は24日の夜まで続く見通しで、最大風速は台風並みの55ノット(28m/s)が予想されている。まずはこの嵐をなんとか乗り越えて、次は沖縄近海にある台風2号の状況に気を配りたいところだ。

ここからは、出航前月のトレーニング中に行ったインタビューの内容を紹介しよう。

 

太平洋横断の理由は
「純粋にセーリングを楽しみたい」

ヨット歴40年を超える辛坊さんにとって、太平洋横断航海は数十年来の夢。2013年のチャレンジでは、クジラに衝突してフネが浸水して沈没。ライフラフト(救命いかだ)で脱出して漂流した後に海上自衛隊の救難飛行艇に救助されるという、壮絶な体験をしている。海が怖くなってもおかしくない経験をしてなお、しかもその漂流中に、心の中ではすでに再挑戦を決めていたという。辛坊さんを太平洋に向かわせる理由は何なのか。

「ぼくはもともと、(早稲田)大学時代にヨットを始めたディンギー乗りなんですよ。といってもレース派ではなく、海上を漂っているのが好きなんですよね。470級などでレースをするサークルに入ったのがきっかけでしたが、レースで勝つことを目的にする活動が私には合わずにやめてしまいました」(辛坊さん)

しかし、大阪で就職してからも、北港でシカーラ(ヤマハの2人乗りディンギー)などに乗ってセーリングを継続。その後、20ft台のセーリングクルーザーを乗り継ぐことになる。

「そういうディンギーの乗りかたって、何か目的があるか? って言われたら、別にないじゃないですか。だけど楽しくて好きなんです。格好をつけるわけではありませんが、そういう"目的がないセーリング"みたいなものを続けた結果、太平洋を横断できたらいいなと思っているんです。無事に帰ってこられたら、次は、小さなデイセーラーで純粋にセーリングを楽しむのもいいですね」

天候が早く安定して、辛坊さんがセーリングを楽しめる状況になることを祈りたい。

 

(文・写真=Kazi編集部/中島 淳)

 

辛坊さん関連記事はこちら。

※このインタビューの内容は、月刊『Kazi』2021年6月号(5月1日発売予定)の掲載予定記事から抜粋したものです。ご興味のある方は、全国書店またはこちらからお求めいただけます。

 


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