The Ocean Race Europe/5月29日スタート!

2021.05.28

フルクルーによる世界一周ヨットレース「ボルボ・オーシャンレース(Volvo Ocean Race)」は、次回2022-2023大会から名前を変えて、「The Ocean Race」として開催される。

4年に1回開催される同レースの主催者がおこなう関連イベントとして、新たなオフショアレースが誕生した。その名も「The Ocean Race Europe」。このレースイベントが、5月29日(現地時間)にフランスのロリアンからスタートする。

 

コースは、フランスのロリアンからポルトガルのカスカイスへの第1レグ、カスカイスから地中海に入ってスペインのアリカンテへの第2レグ、そしてイタリアのジェノバまでの第3レグとなっている。全航程は、約2,000海里のコースだ。

この新たにスタートするオフショアレースイベント。IMOCAクラスとVO65クラスから成る。

今回はIMOCAクラスに5チーム、VO65クラスに7チームがエントリー。名だたるセーラーが乗り込むチームあり、フレッシュなチームありと、バラエティーに富んでいる。まだ先のことではあるが、The Ocean Raceの前哨戦として、世界各国から注目のチームが参戦する楽しみな大会を迎えた。

このレースに参加するチームの多くが、本番のThe Ocean Raceへの参戦をにらんでいる。世界一周レースに比べれば、ずいぶんと距離が短いだけに、スリリングなレース展開が予想される。

ここでは、参加する各チームについて、簡単なプロフィール紹介をしていくことにしよう。

 

●IMOCAクラス

11th Hour Racing Team (USA)

世界一周レースに二度参加経験のあるチャーリー・エンライトが率いる。アメリカ東海岸のニューポートを拠点とし、先ごろレースメンバーで大西洋を横断し、フランス入り。

ナビゲーターを務めるのは、世界一周レース5回の経験を持つサイモン・フィッシャー(イギリス)。さらに、最速記録へのチャレンジで知られる〈Banque Populaire〉で長くスキッパーを務めてきたパスカル・ビデゴリーが乗り込む。

さらにはVOR2014-2015にはTeam SCA、同2017-2018ではDonfeng Race Teamに乗り込んだスイスの女性セーラー、ジャスティン・メトラウ、またオンボードレポーターとして経験豊富なアモリー・ロス(アメリカ)といったメンバーが顔をそろえる。

photo ©Amory Ross / 11th Hour Racing

 

Bureau Vallée(FRA)

チームを率いるのは、ルイ・バートン(フランス)。年初にフィニッシュを迎えた単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」に参戦。最後の最後までトップを争い、3位という成績を残した。

ルイは、「ヴァンデ・グローブが終わってからわずか数週間で、スタートラインに5艇のIMOCAと7艇のVO65ボートが一緒にいるのは素晴らしいこと」と述べている。

脇を固めるのは、ナビゲーターのデービー・ボーダー(フランス)と、ルイの妻であり、先ごろのヴァンデ・グローブにも参加したセルバン・エスコフィエ。また、今回のレースでは、同じくヴァンデ・グローブに参加した女性セーラーであるビップ・ヘアーやフランスのオフショアレーサーなど、クルーが随時交代することも予定されている。

photo ©The Ocean Race

 

CORUM L'Epargne(FRA)

スキッパーのニコラス・トルセル(フランス)は、フランスのシングルハンド・オフショアレース「Solitaire du Figaro」で2度優勝するなど経験豊富なセーラー。ヴァンデ・グローブ2020-2021ではマストを折ってリタイアしている。

さらに、フランス外洋セーリング界の大物であるセバスチャン・ジョス、そして2017-2018のボルボ・オーシャンレースに参加経験のあるマリー・ルーとベンジャミン・シュウォルツの3人だ。マリーとベンジャミンは、2020年のEUROSAF混合外洋ダブルス・ヨーロッパ選手権にフランス代表として参戦し、見事優勝しているペアでもある。

photo ©Eloi Stichelbaut - polaRYSE / CORUM l'Épargne

 

LinkedOut (FRA)

トマ・ルイヤン(フランス)と彼の最新世代のIMOCA 60は、ヴァンデ・グローブ2020-2021を6位といいう成績で終えた。そしていま再びレースに復帰する。

チームのメンバーは、全員がフランス人。今年後半にオフショア・ダブルハンドレース「トランザット・ジャックヴァーブル」にルイヤンと参加するモーガン・ラグビエール、ヴァンデ・グローブではライバルだったクラリス・クレメールといった面々がそろう。

photo ©The Ocean Race

 

Offshore Team Germany (GER)

ドイツから参戦のOffshore Team Geramany。スキッパーを務めるのは、ロベルト・シュタンエク。スター級において、世界選手権優勝、ロンドン五輪6位など、輝かしい成績を残しているトップセーラー。世界一周レースを2回経験し、五輪セーラーでもあるイギリスのアニー・ラッシュ、2020-2021のヴァンデ・グローブで9位という成績を収めたフランスのバンジャマン・デュトルら、若いセーラーを擁して挑む。

photo ©Offshore Team Germany

 


●VO65クラス

AkzoNobel Ocean Racing (NED)

オランダから挑むのはAkzoNobel Ocean Racing。スキッパーを務めるのは、オーストラリアのクリス・ニコルソンだ。チームの全容は、まさに多国籍軍といった感じで、国際的かつ年齢層も幅広い。ナビゲーターはイギリスのウィル・ハリス、オーストラリアのリズ・ウオードリーとルーカス・チャップマンを、ボートキャプテン/ワッチリーダーに配している。バウマンはイギリスのトリスタン・シール、クルーは、ロサリン・カイパー(オランダ)、ロリー・ハンター(イギリス)、ジュリオ・ベルテッリ(イタリア)、チャーリー・ワイアット(オーストラリア)と多士多彩なメンバー構成だ。

photo ©Austin Wong/The Ocean Race

 

AmberSail (LTU)

AmberSailmは、リトアニアから参戦。チームを率いるのはRokas Milevičiusで、ロンドン五輪にレーザー級代表として出場したほか、2014-2015ボルボ・オーシャンレースで〈Brunel〉に乗り込んでいる。

クルーには、ヴァンデ・グローブで完走経験もあるコンラッド・コールマン(オーストラリア)がナビゲーターを務めるほか、リトアニア人セーラーのDomantas Juškevičius、Deimantė Jarmalavičiūtė、Tomas とLinasのIvanauskas兄弟といった構成。

photo ©The Ocean Race

 

The Austrian Ocean Race Project (AUT)

オランダの経験豊富なオフショアレーサー、ガーウィン・ジャンセンが率いるAustrian Ocean Race Projectは、オーストリアの若くて野心のあるセーラーたちから構成される。オリバー・コベール(オーストリア)のほか、ナビゲーターのジョルバート・ファンダイク(オランダ)、ワッチリーダーのミシェル・ゲーゲブール(オランダ)、コンスタンティン・コベール(オーストリア)、セールトリマーのアンナ・ルシャン(オーストリア)といった面々がコアクルー。ほかは各レグをローテーションで回しながら、経験を重ねていく。

photo ©The Ocean Race

 

Mirpuri Foundation Racing Team(POR)

ポルトガルのMirpuri Foundation Racing Team。フランスの著名なオフショアセーラーである、ユアン・リショムがスキッパーを務める。チームの主軸は、2017-2018ボルボ・オーシャンレースを経験したセーラーによって構成される。

ナビゲーターはニコ・ルンベン(フランス)、ワッチリーダーはジャック・ブッテル(ドイツ)、バウがオリー・ヤング(ドイツ)、ミッドバウがエミリー・ネイゲル(ドイツ)、トリマーにベルナルド・ヅレイタス(ポルトガル)、フレデリコ・ピニェイロ・メロ(ポルトガル)、ピットマンにウィリー・アルタディル(スペイン)、フローターにマリアナ・ロバト(ポルトガル)、そしてオンボードレポーターのマーティン・ケルゾレ(フランス)というメンバー構成。

photo ©The Ocean Race

 

Sailing Poland (POL)

1985-1986のウィットブレッド(世界一周レース)に初めて参加して以来、世界一周レースという究極のシーンにおいて、圧倒的な存在として君臨し続けるバウアー・ベッキン(オランダ)。今回のレースには、ノルウェーのAksel Magdhalをナビゲーターに据え、Sailing Polandのクルーを率いて臨む。

「私が最も楽しみにしているのは、再びセーリングとレースをすることです。そして、世界一周レースの合間にこのイベントが開催されることは、私たち全員にとって非常に重要です。私たちには若いチームがいて、彼らにオーシャンレースとは何かを学ぶ機会を与えたいと思っています」(ベッキン)

photo ©The Ocean Race

 

Team Childhood 1 (SWE / NED)

オラクル・チームUSAでの2度のアメリカズカップ勝利、さらにはボルボ・オーシャンレースでも経験を重ねてきたオールラウンダー、シメオン・ティンポン(オランダ)がチームを率いる。Gerd-Jan Poortman、Peter van Niekerk、Wouter Verbraak、そして元五輪選手のPieter-JanPostmaと、経験豊富なオランダ人セーラーを擁してきた。

photo ©Sander van der Borch

 

Viva Mexico (MEX)

スキッパーのエリック・ブロックマンは、メキシコの有名なセーラーで、エクストリームセーリングの世界で活躍したほか、外洋レースでは、トランスパック(ロサンゼルス→ハワイ)など、数千マイルの距離を誇るレースで数多く好成績を残している。今回のレースには、6度の世界一周レース経験を持つスペインのロベルト"チューニー"ベルメデスをはじめ、メキシコのジェイム・アルボーンズ、ホアン・ヴァレラ、ホアン・ルイス・メディナ、さらにミハエル・フェルナンデス(スペイン)、モリス・スピッツァー(オーストリア)、ナディル・バレナ(イタリア)、ユーゲニア・ボスコ(アルゼンチン)と、いかにもラテンな面々が脇を固める。

photo ©The Ocean Race

 

The Ocean Race Europeは、5月29日にスタートする。寄港地のカスカイス、アリカンテでは、インショアレースも実施され、3位までのチームにはボーナスポイントが加算される。2022年の世界一周レースに向けて、楽しみな前哨戦が始まる。

 

●The Ocean Race Europe

https://www.theoceanrace.com/en/the-ocean-race-europe

 

(文=舵社/安藤 健)

 

 


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