今回は、月刊「BoatCLUB」で約4年間続いた連載の最終回。孤高の釣り人Mr.ツリックが、熱海の亮知丸を訪問し、最近釣果が上がっているというアマダイをねらいます。予報に反して晴れ間が広がり、無風&ベタ凪の海で快適な釣りを楽しみました。(舵オンライン編集部)
近年の思い出
みなさま、こんにちはMr.ツリックです。
突然ですが今回が最終回になります。まぁ、こんなにも釣れない連載に長々とお付き合いいただきありがとうございました。今回が連載23回目なので約4年間もアチコチの海でジタバタしていたんですネ~。驚きです。
2024年の一年間(1、3、5、7、9、11月号)を振り返ってみても、6回の釣行で本命が釣れたのはたったの一度きり。情けなさすぎますナ。それは7月号で、内房・富浦のマゴチ。まぐれアタリのような1尾でしたが50センチくらいの立派なマゴチが釣れ、天候にも恵まれて文句ナシの回でした。
逆に本命はおろか食材になるようなゲストもまったく釣れなかったのは、9月号の神奈川県・葉山でウキ仕掛けのメジナねらいだった。この日はシケ気味で大きなうねりと風で予定していたポイントへ入ることができなかったのだ。
しかたなく、ほかの場所でお茶を濁したが、いかんせん海況が悪くて釣れたのはチャリコ(マダイの若魚)とエソにフグだけ。それらもみんなリリースしてしまったので料理に使える素材がなく、魚は購入するハメになりました。
そのほかの回は、本命が釣れなくても、なんとか食材に耐えうる獲物はゲットできていた。しかし、ゲストの多くはハタの類い。昔はマハタとアオハタがたまに釣れるだけで、オオモンハタとかアカハタなんて東京近郊では見たことなかった。海水温上昇の影響ですかネ。昔とはずいぶん釣れる魚の種類が変わってきましたナ。沼津なんていつの間にかオオモンハタに占領されちまったみたいだ。
網代港内に駐車スペースがある。すぐ脇に見える小突堤がボート乗り場。隣接しているのでとてもラクチン。トイレは少し離れた場所に公衆トイレがある
25年も海で使い続けてきたサングラスは潮風とスプレーにさらされてボロボロ。近視用の度付きレンズは今の視力とまったく合っておらずあまりよく見えていないのだ
オキアミエサの1尾付けと2尾付け。2尾付けにするのはエサをアピールするためというよりエサの回転防止のためだ。ただ、フグなどエサ取りが多いときはいい標的になってしまう
80号オモリに大型の片テンビン。これに2本バリ仕掛けがアマダイのオーソドックススタイル。クッションゴムはなくてもいい。エサはオキアミ。ホタルイカもオススメ
あと、ゲストのコウイカになんとか救われたのが1月号の千葉県・館山釣行。ベストシーズンの11月に本命のカワハギが1尾も釣れなかったのはショックだった。館山は昔と比較するとかなり釣り場が狭く制限された。おかげで、かつて得意としていた場所で釣りができずポイント探しに翻弄されていたワケですヨ。
ほかにも、なにゆえに真冬にそんな愚かなアタックをしたのか、ほかに行くところがなかったのか、記憶が定かではありませんが、真冬の1月上旬に東京湾の走水にマコガレイをねらいに行ったこともあった。たしかに、爆釣時代には1月上旬でもマコガレイは釣れていた。しかし、そんな時代でも中休み時期の1月は敬遠していたというのに、マコガレイが姿を消した東京湾のボート釣り場に1月に行くなんてマジで正気の沙汰ではないナ。釣果はクサフグとヒトデのみ。
ホントに申し訳ないことをしました。釣れない釣りをしてそれを誌面にさらすなんて、貸しボート店にとって、このうえない営業妨害でした。
カレイといえば、悪いことばかりでもなかった。コロナ禍と重なるように突然始まったシロギス不釣。そんな中、懲りもせずシロギスを本命に釣行したのが、2022年初夏の三浦海岸。ワガハイたちが訪れたボート店も昔はシロギスがメインの釣りものだったが、今やマダイねらいの釣り場に変貌している。そして、その回ももれなく本命オデコ。ただし、思いもよらないゲストに出合った。それはムシガレイ。三浦海岸で良型のムシガレイが2~3時間の釣りで数尾も釣れるとは思わなかった。今後、ボート釣りの本命として組み入れることのできる新たな対象魚を見つけた感じでしたヨ。
無風ベタナギでおだやかに晴れ上がり文句ナシのアマダイ日和。この天候で釣れなければワシのウデのセイでしかない。東シナ海には台風が迫っており、嵐の前の静けさか
亮知丸のレンタルボートには魚探はもとより、ロッドホルダーとスパンカーも装備されている。まずは、水深75メートルから釣り始めると1投目からオジサンが食いついてきた
2投目も着底直後にアタリが出てキダイがヒット。本命ではないけれど幸先のよいスタートになった。アマダイはそう簡単には釣れないものなぁ
今回の釣行マップ(静岡県熱海市)
「海釣図V」(マップル・オンより転載)
貸しボートの素晴らしさ
この連載では主に船外機付きボートをレンタルしてくれるボート店を取り上げていた。もともと数が限られているボート店から、さらに手漕ぎだけを扱う店は対象からはずしたので、どうしても複数の魚種が釣れる有望エリアは釣行が重複してしまった。その点はご勘弁を。
ほぼほぼ有力なボート店は網羅したつもりですが、神奈川県・真鶴の尻掛浜には行っておりません。困ったことに、担当のY男があの坂(ちょっとした急坂)を上り下りするのは絶対にイヤ! というものだからサ。真鶴は通い詰めた釣り場の一つで、思い入れも思い出もたっぷりあるのだがなぁ。連載中に取り上げることができずに残念。
今回の網代は3回目になりますかネ。東京近郊のレンタルボートエリア(マリーナや会員制を除く)で水深100メートル近くを流せるのは、現在では網代、伊東、真鶴くらいですかネ。貴重な釣り場だからトラブルを起こして釣り禁止にならないようにしたいですナ。特に2馬力ボートは手軽だけどデリケートなので要注意だ。
まぁ、本誌の読者さまなら今さらって感じの話でしょうが、レンタルボートはラクチンですからねぇ。場所や時間の制限はあるけれど、ボートの管理や維持費はかからないし。なんたって、釣り前後の準備や後片付けから解放されるのが一番のメリットだ。
唯一、ネックになるのがレンタル料金。2馬力ボートで1万円前後。要免許のボートだと場所とボートの大きさでさまざま。数人が乗れる大きめのボートで割り勘にすれば一人3000 ~4000円くらいになるかもしれないが、1人か2人でゆったり釣ろうとすると結構な出費になる。
それでも、これからボートを買おうとしている人やマイボートじまいをした人にとって、レンタルボートは重宝なシステムだと思う。すでに、マイボートをお持ちで暇さえあれば毎日でもボート釣りがしたいフリークな方でも、たまにレンタルボートで釣行する人もいると聞いたこともあるので、それなりの需要はあるのだろう。
3投目も即ヒットで今度はソコイトヨリが上がってきた。ちょいとイヤな感じになってきた。水深75メートルで着底直後に小物ばかりハリ掛かりしていてはたまらない
4投目はまたもやキダイ。おせち料理の塩焼きにちょうどいいサイズだけれど、手巻きリールでこの釣れ方は勘弁してほしい。すでに腕が疲れてきた
真打ち登場。アマダイ釣りのゲストにおなじみの凶眼ヒメコダイ。コイツが釣れるとアマダイとの出合いも近いハズ。とりあえず、ポイントミスはしていないようだ
10投以上しても釣れ上がるのは小物ゲストばかり。ついにソコイトヨリがダブルでヒットして移動を決意。水深70メートルから釣り上げると魚にもダメージが大きくリリースが難しい
終わりよければ
それにしても最終回で本命ゼロの釣果にならずによかったですなぁ。天気予報に反して晴れ間が広がったのが最大の理由だと思う。今まで、アマダイ釣りで曇天日によい結果が出たことがない。曇りの日にアマダイをキープし、ふと周りを見渡すとお日さまが出ていたりした。よって釣行当日が曇りの場合、最終回釣果ナシを回避するためカワハギねらいに変更するつもりであった。
ちなみに、購入したアマダイ仕掛けに曇天対応仕掛けと書いてあったので、やはり曇って海底が暗いときは食いが悪いのかと思いましたヨ。そうか、晴天にその曇天対応仕掛けを使ってはまずかったか。エサが目立ちすぎて本命が食いつく前に元気な小魚が飛びついていたのか。う~む、そうだとするとワガハイのミスですなぁ。なんて、連載最後に初めての反省をしたりして。今まで、釣果ゼロでも、なんで釣れないのだ! オレは悪くないぞぉ。てな、感じでしたからねぇ。
こんな感じで、最終回の釣行も無事終了。みなさま、長い間ありがとうございました。もしも、海でオイラを見かけても後ろ指とかささないでくださいヨ。それではみなさまお元気で、よい釣りを~。
少し浅場の水深60メートルに移動。すると今度はまったくアタリなし。まぁアマダイ釣りはこんなもんだ。このボートはセンターコンソールに寄りかかれるのでラクチンである
ちょいとサイズがアレですが念願の本命をゲット。これで今回は本命ゼロを回避することができた。なんつったって、最終回なのでありがたいですナ
スーパーの鮮魚売り場の壁面のデコレーションには欠かせないソコイトヨリ。マダイやマアジなどの写真の中にひときわ鮮やかなソコイトヨリの姿が必ず交じっている
(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)
今回お世話になった貸しボート店
以前にもお邪魔したことのある網代の貸しボート店。寒い時季はこのあたりのエリアに大変助けられましたナ。予約はLINEを使って行います。この日はアマダイねらいで沖まで行ったが、カワハギならすぐ近くの亮知丸のボートの係留場所付近でよく釣れるとのこと。
亮知丸
[住 所]静岡県熱海市網代156
[料 金]5,000円~
[定休日]不定休
今回は、『BoatCLUB』2025年1月号に掲載された連載「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。
※取材は2024年11月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。