
沖縄県の宜野湾港(ぎのわんこう)マリーナを出港し、慶良間(けらま)諸島の座間味島(ざまみじま)へやってきた、セーリングカタマラン〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)。
オーナーの相澤規勝さんは、宜野湾を拠点にセーリング&クルージングを楽しむ長距離航海者である。
今回は、座間味島から宮古島へのレグに同乗し、宮古島でのクルージングライフを紹介させていただいた。
相澤さん一行は、宮古島を発ったあと久米島などを巡り、ホームの宜野湾港マリーナへ帰港した。今回は宮古島までであったが、時には八重山諸島の石垣島まで足を延ばすという。
今回はそんな相澤さんの宮古島クルーズ、最終回。
宮古ブルーが広がる楽園の海を目指すゴキゲンなクルージングライフを、短期集中連載でお送りした本記事は、月刊『Kazi』2025年9月号に掲載された記事に新たな写真を加えて再編纂するものだ。
◆メインカット
photo by Shigehiko Yamagishi | 宮古島、安全で人気のアンカリングスポット、砂山ビーチに錨泊した〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)。一夜を明かし、いつしか東の空が明るくなってきた・・・。さあ、宮古島を巡る冒険を始めよう
座間味島を発つセーリングカタマラン〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)。一路、宮古島を目指した
宮古島の平良(ひらら)港、布干(ぬのほ)し堂桟橋に係留したセーリングカタマラン〈アケーディア・ロシナンテ〉(ラグーン42)。航海の補給のため一時係留した
●宮古島の観光地を紹介!
蟹蔵
TEL: 0980-78-4737
宮古群島、伊良部島生まれの蟹蔵さんこと、吉浜崇浩さんが案内する自然体験ツアー。沖縄の古式船サバニを使ったツアーが人気!
沖縄の伝統和船、サバニによるツアーが人気。マングローブを遡上したり、美しいビーチをホッピングしたり。蟹蔵さんとともに宮古島の海を散歩しよう
ツアーを効率的にこなすため、電動船外機を装備して進む蟹蔵さんのサバニ。サイドフロート付きで安定感も抜群
今回のツアーは、美しき白砂で有名な17END(ワンセブンエンド)を目指す。信じられないかもしれないが、蟹蔵さんが指笛を吹き、エーク(櫂)で舷側をたたくとウミガメが寄ってくる! アメージング!
蟹蔵さんの指笛と、エーク(櫂)がガンネルをたたく音に呼び寄せられたウミガメ。嘘だと思うかもしれませんが、本当なんです
津波で流されて来たツナミ石。これは通称ツービジー(愛し合っているという意味)。離れたりくっついたりしているそう
クルーズ中にもてなされたパパイヤ。タネは辛みがあってうまい(個人の感想です)
17ENDは、下地島(しもじじま)の下地空港北部にあり、離発着する航空機を眺められる絶景スポットでもある
ここが17END。飛行機もいいけれど、やはりここの魅力はどこまでも続く白砂と、透明度バツグンの海。サンゴ礁などはほぼなく、ひたすらに真っ白で真っ青な世界を堪能できる
宮古ブルーの世界を進む、蟹蔵さんのサバニ
クルーズのハイライトは、マングローブ蟹のゴージャスコース! サバニクルージングにマングローブ蟹(ノコギリガザミ。沖縄ではガサミ)が付いた特大コースは1人14,780円。モンパの葉や、ハイビスカスの天ぷら(写真左端)も◎
もう一回お見せします(笑)、これが特大マングローブ蟹です! 濃厚なミソとカニ身を堪能しよう
蟹蔵さんが育てるアマモのいけす。魚もたくさん泳いでいます
歌舞伎の市川海老蔵さんに似ているので蟹蔵さんと呼ばれる吉浜さん。伊良部島の生き字引である
大和食堂
TEL: 0980-73-2811
新和食堂、古謝(こじゃ)そば屋と並ぶ、老舗宮古そば店のひとつ。開店前から行列ができる名店。そばはもちろん、昔ながらのカレーライスも人気。
宮古そば(大)700円。具材は麺の下、が宮古スタイル。揚げかまぼこと、ロース肉が隠れている
砂山ビーチ沖でアンカリングしていると、古式サバニで帆走する池本孝徳さんが挨拶にやってきた。このお話はまた別の機会に
近年、開発が進み変貌したといわれる宮古島だが、確かにその部分もあるが、やはり宮古群島はどこを巡ってものどかで美しい光景が広がっていた。
平良(ひらら)の街中は賑やかになったが、海は変わらず美しい。それぞれの観光地、グルメは各写真を見てください。蟹蔵さんのツアーが特におすすめです(笑)。
最後の1艇の始め方
宮古島でカタマランの魅力と南洋クルーズに開眼した相澤さん。
「なんでしょうね。レースも楽しい。シアーライン美しきモーリスでのクルージングも楽しい。でも今、ひとつだけ残せと言われたらやはりカタマラン。今の船は気に入ってますが、艇種にこだわりはありません。アンカリングしてテンダーで自由に上陸でき、造水器があって、シャワーもジャンジャン浴びられて、冷蔵庫もあって、ギャレーは広くて。喫水が浅いから入港や航行の心配も減り、それでいて走りも楽しい。そんなカタマランで人生を変えてくれた宮古島の美しい海を走る。みんなで走るのも楽しいし、ソロ(単独航海)で走るのも楽しい。師匠の渡真利(とまり)さん(24°NORTH)が教えてくれた、ヨットの遊び方です」
そんな相澤さんに最も行くべき沖縄の海を聞いてみた。
「いやー、私なんてまだまだですから。行ってない島も多い。学生時代に『クルージングワールド』誌で読んだ憧れの世界が、宮古島をはじめとした沖縄の海にはあります。これからひとつひとつクルージングして開拓していきます」
少年のような笑顔で話してくれた相澤さん。“最後の恋”ではないけれど、最後の1艇は沖縄に置いたカタマラン。次にお会いしたときには、また秘密の入り江をこっそり教えてもらうことにしよう。
愉快な〈アケーディア・ロシナンテ〉の皆さん。後列左から藤田海さん、相澤オーナー、松下益暢(ますのぶ)さん、前列左から、筒井光香さん、松下美佳さん、室橋紅里子(ありこ)さん
宮古島・布干し堂桟橋の入港案内
TEL: 090-8294-3937(布干し堂船主組合・本村繁信さん)
一般財団法人日本水路協会出版のnew pec(航海用電子参考図)から転載
入港DATA
5トン未満1日110円。要事前連絡。基本、避難、補給のための桟橋なので、最大でも利用は4 ~5日に。
平良(ひらら)港に入港したら、平良港北防波堤北灯台をかわして布干し堂船主組合の泊地へ。事前に連絡し空いていれば布干し堂桟橋の北側に係留
宮古島情報
●チャーター
エンマリンワークス TEL: 046-845-6133
ラグーン44、5 ~6 時間 6 人297,000円~
●修理業者
仲間 奨さん TEL: 080-1948-2109
エンジン、FRP修理など
●用品店
メイクマン宮古店 TEL: 0980-73-7100
ホームセンター。急な部品はここで

砂山ビーチの美しき夕暮れ・・・
すばらしき座間味~宮古島クルーズをありがとうございました。相澤さんは、取材後も座間味島へ数回渡航したという!
相澤さんはイラストでログブックを残す。今回の宮古島航はどんな絵が添えられるのだろう
次話を読む
公開をお待ちください
第1話を読む
スマガツオ爆釣! 慶良間諸島から宮古島へ。セーリングカタマランで渡ったゴキゲンな航海記!/灼熱の沖縄航、宮古島編(1)
第2話を読む
慶良間諸島を出港し、漆黒のナイトセーリングへ。銀河帆走の夜を越え、訪れた八重干瀬の美しさ/灼熱の沖縄航、宮古島編(2)
第3話を読む
宮古島の砂山ビーチ沖にセーリングカタマランをアンカリング・・・海の上で過ごす麗しの時間/灼熱の沖縄航、宮古島編(3)
(文=中村剛司/Kazi編集部 写真=山岸重彦/舵社 協力=沖縄県・宮古島観光協会)
※本記事は月刊『Kazi』2025年9月号に掲載されたものです。バックナンバーおよび電子版をぜひ

相澤規勝さん
Norikatsu Aizawa
明治学院大学体育会ヨット部(外洋帆走)でヨットを学び、レースでは〈月光〉(J/24)などで活躍。クルージングは、クラシカル艇モーリスで。2020年、ラグーン450に出合い、現在ラグーン42も持ちカタマランクルージングを楽しむ。