フェラーリがヨットレースの世界へ|エネルギー自給型外洋レースヨット「フェラーリハイパーセイル」のコンセプト発表

2026.07.09

フェラーリは、世界的なスーパーカー/ハイパーカーのブランドとして知られている。

フェラーリといえばモータースポーツ。F1グランプリは言わずもがな、ル・マンIMSAといった耐久レースシリーズにおいても数々の賞を勝ち取ってきた伝統ある名門チームだ。

 

フェラーリはその「レーシングDNA」を拡大するため、ヨットレースの世界にも参入を決めた。

モータースポーツで培ってきたレースのノウハウを、サーキットや舗装路の枠を超えて展開することで、外洋レースの世界にこれまでにない技術的ソリューションを広げていくことを目指す。

そうした思いのもと、このプロジェクトは耐久レースで最高のパフォーマンスを発揮してきた「ハイパーカー」にインスピレーションを受け、「フェラーリハイパーセイル(以下、ハイパーセイル)」と名付けられた。


ハイパーセイルは、全長100フィートを超えるフォイリング艇で、全幅20メートル、キールも含めた全高は40メートルにも及ぶ。実際に見るととんでもない迫力だろう

 

この艇の大きな特徴は、風や太陽光といった持続可能エネルギー源によって、必要電力のすべてをまかなう「完全自給型のエネルギーシステム」にある。

ここまで巨大なヨットでは、通常のようにセールトリムを人力で行うことは不可能に近く、電動ウインチを使用して行う。

 


ハイパーセイルが採用する「ウインチ・バイ・ワイヤ」システムは、アメリカズカップSAIL GPで、クルーが必死に回しているハンドルと同じシステム(写真左)。ハンドルでトリムシートを巻き取ってセールトリムを行っているわけではなく、ハンドルを回して発電を行い、その電力で電動ウインチを動かしている。

 


フォイリングアームやフラップといったフォイリングシステムの調整も電動だ。こちらはマンパワーによる発電ではなく、風力や太陽光によって電力を賄う。

 

電力は船尾に備えられた取り外し可能な風力タービンと、デッキを覆う総面積100平方メートルのソーラーパネルによって発電され、上記のようにフォイリングシステムに使用されつつ、余剰電力は2基の800Vバッテリーに蓄えられ、必要に応じて各所に供給されるシステムだ。


今年4月のミラノデザインウィークで公開されたハイパーセイルのリバリークラシカルな雰囲気もありつつ、メインカラーの黒によって引き締まった印象を受ける。フェラーリ車の唯一無二のデザインの美学と精神を、ヨットに落とし込んだデザインだ

 

フェラーリといえば「赤」のイメージだが、「黄色」も第二の魂と呼ぶほどに重要なカラーである。また、512bbを想起させるツートンカラーを使用している点も、ブランドDNAを強く意識したデザインといえるだろう。


建造中の様子。多くのフェラーリ車に見られる、柔らかな曲線による美しい流線形と、それでいてシャープな形状も兼ね備えている。作業中の人と比べるとその大きさが伝わってくる

 

ハイパーセイルは現在イタリアにて建造中で、年内での進水、テストを予定している。

モータースポーツでは2023年、50年ぶりにル・マンに復活参戦した際、3年連続の優勝を果たし、王者の風格を知らしめる結果となった。

今回初の参入となる外洋レースの世界にも大きな衝撃をもたらしてくれるだろう。

 

(文=谷川壱星/舵社 写真=フェラーリジャパン株式会社、SAIL GP)

 

(問い合わせ)
フェラーリジャパン株式会社
〒106-0032 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー
公式ホームページ:https://www.ferrari.com/jp-JP

 


 

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