【フネのDIY術】/ロッドホルダー② 取り付けの注意点

2022.05.16

月刊『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。今回は、2020年11月号に掲載した、「ロッドホルダー② ロッドホルダー取り付けの注意点って?」から内容を抜粋してお届けします。


 

ロッドホルダーの位置

前回に引き続き、「ロッドホルダー」をテーマに解説を行っていく。今回も、①ポイント移動などのときにロッドを挿しておく筒状のツールをロッドスタンド、②エサ釣りのときなどにロッドを船べりに固定する道具をロッドホルダー、③キャビンの天井にロッドなどを収納しておくアイテムをロッドラックと呼び、①~③の総称を、かっこ付きで「ロッドホルダー」と表記することを、あらかじめ断っておく。

 

前回、ロッドラックとロッドスタンドの取り付け位置についてまで書いたので、まずはロッドホルダーの取り付け位置から。

ロッドスタンドもロッドラックも、当然ロッドホルダーも、基本は、船上の動線の邪魔にならない位置に付ける。ロッドホルダーは、使わないときは本体を外しておけばいいし、ロッドを装着していないときも、それほど邪魔にはならないが、いざ釣りが始まるとロッドを横向きに固定するので、途端に通り道の邪魔になってしまう。うっかり、サイド通路近くに取り付けてしまうと、釣りを始めた途端、ロッドエンドが邪魔をして、そのサイドの通路は通れなくなってしまうだろう。

また、意外と盲点なのが、船べりの幅の中のどの位置に取り付けるか。例えば、リガーマリンエンジニアリングの人気シリーズ、「ボートパワーホルダー速攻」は、ホルダー全体が前傾し、仕掛けをすばやく降下できるようになっている。もし、ホルダーの取り付け位置がアングラー側に寄っていると、船べりが邪魔になって、正しくホルダーを前傾させられずに、その真価を発揮できなくなってしまうだろう。

以上が、ロッドホルダー取り付け位置の注意点だ。

 

リガーマリンエンジニアリングの「ボートパワーホルダー速攻」シリーズは、本体が前傾することで、仕掛けをすばやく降下できる。そのため、船べりの取り付け位置に注意が必要

 

マウントの取り付け

続いて、今回のメインテーマに話を移す。今回のメインテーマは、「ロッドホルダー」を取り付けるときに気をつけること。東京ボートのサービス部長、伊藤幸洋さんいわく、「ロッドホルダー」の取り付けは、おそらくみなさんが想像しているより、はるかに時間がかかる、とのこと。それを身をもって理解するために、編集部員が実際に取り付けに挑戦してみた。

今回挑戦したのは、ロッドホルダーのマウントを、金属のレールに取り付ける作業。任意のレールに対して、ロッドホルダーが接続する側のパーツと、それを受ける反対側のパーツで、4組のボルト&ナットを使って、挟みこむようにして固定する。夏の屋外での作業ということを考慮しても、15分くらいあれば終わるのではないかと思っていた。

 

早速、作業を開始する。まずは、取り付けたいレールの位置にマウントを置き、レールのサイズに合ったスペーサーを一緒に挟んで、ボルトを四つ通していく。次にボルトで固定するために一つずつナットを取り付けていくが、ここで早速つまずいた。まだ固定されていないすべてのパーツを持ちながら、ナットも持ち、ボルトで固定していくのだが、ナットがポロポロと手からこぼれ落ちてしまうのだ。船べりでの作業なので、仮にナットを船外に落としてしまったら、おそらく見つけるのは至難の業だろう。

ナットやパーツ類の落下を防ぐ方法としては、下になにかしらの受け皿を置いておくといい。だが、風が強かったりすれば、その受け皿も飛んでいくので要注意だ。

とりあえず、苦労しながら、なんとか一組のボルトとナットをつなげることができた。

 

レール用アタッチメント(写真右)と、レールの太さに合わせて使用するスペーサー3種類

 

難しいボルト締め

次に、残り3組のボルトとナットを締め付けていく。作業していて気がついたのは、一組のボルト&ナットをきつく締め込むと、すでにきつく締め込んだはずの別のボルト&ナットが、さらに締め込めるようになること。おそらく、片側だけ締め込んだことによって生じていたゆがみが取れたことが理由だろうが、このせいでどこまで締め込んでいいのかがわからない。ロッドを支えるアイテムなので、しっかりと固定したいところではあるが、やりすぎるとボルトのネジ山が破損する恐れもある。目安としては、ボルトがパキッと鳴ると締め込みすぎらしいが、そのあんばいはわかりづらい。

慣れない手つきで作業を進め、四つのボルト&ナットをバランスよく締め込んでいき10分が経過したころ、いい感じにすべて締め上がった。しかし、よく見てみると、それぞれのボルト&ナットの締め込み具合が微妙に異なり、マウントがゆがんでしまっている。これでは、やり直しだ。

とりあえず、一組のボルト&ナットを緩めてやり直そうとしたが、次のボルト&ナットが緩められない。締め込むときと同様に、緩いボルト&ナットと、きついボルト&ナットがあるため、ゆがみが発生しており、ボルトが回しにくくなってしまったのだ。本来であれば、もっと全体的にバランスよく締めたり緩めたりする必要があった。

結局、伊藤さんに手伝ってもらいながら、やり直しと微調整を繰り返し、合格ラインを超えたのは、作業開始から30分以上が経過したころ。たった一つのマウントを取り付けるのに、こんなに苦労するとは思ってもみなかった。

この30分という時間は、取り付けの実作業のみ。実際には、どこに取り付けるのかを考えてシミュレーションし、その位置でいいのかを確認してからとなるので、一つのマウントを取り付けるのに、実質1時間以上の時間がかかるだろう。

「DIYで『ロッドホルダー』を取り付けるときはもちろん、プロにお願いする場合でも、実際にどれくらいの時間や労力がかかるのかを把握しておくことはとても大切です。同じ1万円の作業でも、10分で終わるのか、2時間かかるのかで、費用に対する印象は大きく変わってきますからね」(伊藤さん)

 

編集部員が実際にレール用アタッチメントの取り付けに挑戦。六角レンチでボルトを締めるだけの簡単な作業のはずが、なかなかスムーズにできない。ナットの落下防止用に、下に段ボール箱を置いている

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は『BoatCLUB』2020年11月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

 

東京ボート
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