【フネのDIY術】/ロッドホルダー① 最適な取り付け位置

2022.04.20

月刊『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。今回は、2020年10月号に掲載した、「ロッドホルダー① ロッドホルダーの取り付け位置って?」から内容を抜粋してお届けします。

 


ロッドホルダーとは

今月のDIYのテーマは、ロッドホルダー。ロッドホルダーと聞いて、みなさんはどんな姿を思い浮かべるだろうか。

①ポイント移動などのときにロッドを挿しておく筒状のツール
②エサ釣りのときなどにロッドを船べりに固定する道具
③キャビンの天井にロッドなどを収納しておくアイテム

①~③すべてをロッドホルダーと呼ぶこともあるし、今月からのテーマも、このすべてを対象としているが、ここでは、①をロッドスタンド、②をロッドホルダー、③をロッドラックと呼び、①~③の総称を「ロッドホルダー」とかっこ付きで表記して、一応区別していることを、あらかじめ断っておく。

 

ロッドラック(左)
キャビンの天井に取り付けられたロッドラック。デッドスペースをうまく利用し、キャビンで休憩するときも邪魔にならない
ロッドホルダー(中央)
エサ釣りのときなどに使用するロッドホルダー。ロッドを横向きに保持するため、場所によっては、通路をふさいでしまうこともある
ロッドスタンド(右)
一時的にロッド類を収めておくために使用するロッドスタンド。取り付ける場所はもちろん、角度や高さについても考慮する必要がある

 

さて、この「ロッドホルダー」だが、東京ボートの伊藤幸洋さんいわく、DIYに最も近い存在ともいえるという。

「『ロッドホルダー』の取り付けって、大がかりな工事はそれほど必要ないので、一見すると簡単そうに見えるじゃないですか。だから、自分でもちゃちゃっとできるんじゃないかなって思われがちなんですけど、意外とやることは多いんです。ちなみに、ロッドスタンドのマウント部分をレールに取り付けるとして、どれくらいの時間でできると思いますか?」

えーと、ボルトとナットで留めるだけなら、10分もあればできそう・・・。そう思って、実際にやってみると、いろいろと考えることが多かったり、やってみて、曲がっていたからやり直ししたりと、思っていた以上に時間がかかった。その様子は次回以降に詳述するが、一見簡単そうに見える「ロッドホルダー」の取り付けも一筋縄ではいかないということだけは、覚えておいてほしい。 

 

ロッドラックの位置

さて、まずはロッドラックの取り付け位置から見ていこう。ハウスやキャビンの天井に、すぐには使わないタックル類を収納するときにしばしば使われるロッドラック。いつも撮影でお邪魔しているオーナーさんのボートのハウスとキャビンを見てみると、たくさんのロッド類がきれいにロッドラックに収納されていた。

普通は、入るときに頭をぶつけないように、ハウスの入り口側にはロッドラックを取り付けないようにするのがセオリーだが、こちらのボートは入り口側にロッドラックが設置されている。

このボートのハウスは、左側のトビラをスライドさせて開けて入り、右側にある操船席に座って操船する構造。前述したように、このボートは、入り口側、すなわち船首を向いて左側にロッドラックが取り付けられており、キャビンに入るときに、身をかがめる必要がある。

しかし、このオーナーさんは背が高く、操船するときは立っているため、もしロッドラックを操船席側(右側)に取り付けていたら、航行中に波に当たってボートが跳ねたときに、頭にロッド類が当たってしまう。それを避けるために、このような設置箇所にしているという。

つまり、ロッドラック一つ取ってみても、人それぞれ設置する位置や方法は異なるわけで、使用シーンを想像・想定しながら、どこに、どのように取り付けるのが最良かを考えていく必要があるのだ。

 

取材艇のロッドラックは、入り口のドア側の天井に設置。ナビシートは座ることを想定し、航行中に邪魔にならない位置に取り付けた

 

 

ロッドスタンドを付ける

続いて、ロッドスタンドについて考えてみる。ポイントの移動時や、釣行時に使わないロッド類を一時的に置いておくときに使用するロッドスタンド。少なくとも、一人2セットのタックルを持ち込むとすると、4人乗れば、8本のロッドスタンドが必要になる。それも、全員がアフトコクピットではなく、バウデッキに立って釣りをする人もいるだろうから、ロッドスタンドは、船上のさまざまな場所に取り付けると利便性が高い。

しばしば、ハウス横の通路にロッドスタンドを取り付けている人を見掛けるが、ここにタックルが収まっていると、通るときに服に引っ掛けたりするし、ルアーが付いたままだとケガにつながる恐れもある。

そのため、東京ボートでは、サイド通路には極力ロッドスタンドは取り付けないようにしているという。ただし、長さのあるロッドを収納するときのような頭上にクリアランスが必要な場合は、やむなくサイド通路に取り付けることもある。その場合も、例えば操船席のある右舷側だけなど、片舷だけに設置して、もう片方を通路用に確保しておくなどの工夫をするようにしている。

 

サイド通路に取り付けたロッドスタンド。ここにロッドが収まっていると、仕掛けのハリやルアーのフック、リールのハンドルが服やライフジャケットに引っ掛かって思わぬ事故につながりかねない

 

以上のように、「ロッドホルダー」の取り付け位置一つ取っても考えるべきことは多く、取り付け以前に、どこにどれだけの数を取り付けるのか決めるだけで、相当の時間がかかることがわかっていただけたと思う。

次回は、ロッドホルダーの取り付けと、取り付け時の注意点について解説していく。

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は『BoatCLUB』2020年10月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

 

東京ボート
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