暮らしに潮っ気を運ぶ 木製クリートの作り方

2023.12.18

イラストレーターでセーラーの国方成一さんによる、自作木製クリートのストーリー。今回はその前半。

月刊『Kazi』12月号掲載の人気記事を無料公開します!(後半はコチラから)

 

ヨット乗りなら誰もがお世話になるクリート

船ばかりでなく普段の生活にも取り入れたら便利だと思うのは私だけかなぁ・・・。

便利及び室内装飾の小物としても、ちょっと凝った感じになりそうでうれしい。 

金属製は高価だし、プラスチック製は趣がないので、やはり木製が欲しくなる。

そこで手作りをやってみようと思い立ち、木製クリートの工作を始めることにした。

 

メインカット | アトリエ工房で木製クリートを作ってみる。時間を忘れて木を削る。至福の時でもある 


 

 

 

チーク材を削りだし、完成した木製クリート。デコボコもまた味わい深い。もちろん、ヒノキやラワンでもよいものができます 

 

 

木製クリート作製工程/量産編

国方さんのイラストによる作業工程解説。一度に大量生産するパターンを紹介♪

 

図1

 

図2

 

図3

 

図4

 

図5

 

図6

 

図7

 

図8

大量生産されたクリートたち。このあとヤスリ掛けして完成となる 

 

 

簡単な材料でオッケー 

クリート(Cleat=研究社の英和辞典によると、船用語として耳型をした索止め)は、ロープを操る艇には欠かせないモノの一つだ。ヨットやボートをたしなむ者にとってごく当たり前に使用しているクリートは、単純な形だがその用途はとても効果的な装備品といえる。 

なにせ海に浮かぶヨットで使用しているのだから、材料はやはりチーク材が一番適しているだろうと、誰しも思うものだが、このチークの木材は簡単に手に入らない。 

市販の完成品が高価で入手をためらって始めた工作だから、材料もそれに合わせて高級材を使うことはない。そこで我が家の納戸に端材が転がっていないかガサガサと探してみると、意外とヒノキ材やラワン材その他の切れ端があるものです。ちょっとした木材でも、とにかく作るクリートはせいぜい10cm以内の小さなもの。もし立派な材料を購入してきても、結局出来上がりは小物の工作だ。自宅の隅に転がっている木片を使用するのを一番にお薦めします。 

こうして簡単な材料を手に入れたら、厚さ15mm×幅200mm以上の(図1参照)木材にしよう。長さはあればあるだけ多く作れる(サイズは厳格なモノではなく、だいたいこのくらい)。 

次に、その木材が400mmくらいの長さであれば、およそ4個くらいのクリートができると考えて、カットする個所に絵を描いて印をする(図2参照)。 

それをのこぎりでカットし(図3、4参照。ジグソー[電動のこぎり]があればそれも便利)、出来上がりを柱や壁などに取り付けるビス穴も、この時点で2カ所開けておく(図5参照。充電式ドリルを使用)。そして、小刀(カッターナイフ)などで削り、成形する(図6参照)。 

こまめに角を削り体裁良く形が整ったら、最後に紙やすりを掛けてきれいに化粧仕上げし、出来上がり(図7参照)。さらに木材の良さを出すためニス(海のヨットで使用するのではないから、扱いやすい水性ニスを・・・)を塗布して仕上げると一段と装飾性は増す(図8参照)。どうしてもチーク材に凝りたいのなら、オイルステイン(これも水性がある)を下塗りするのも良いだろう。 

これで便利兼装飾性のある、家庭用クリートの完成だ。 


 

チーク材の木製クリート/1点モノ、削りだし工程解説

次に、高級木材のチークを使用した、実際の作業工程を写真で解説。1点モノの削りだしを見てみよう。 

 

1:知人に譲ってもらったチーク材を斧で割る

 

 

2:100mm×50mmほどの大きさにする

 

 

3:切断線とネジ用穴を油性ペンで描く

 

 

4:電動ドリルでネジ用穴を開ける

 

 

5:まずはのこぎりでおよその形を作る

 

 

6:チークは固いのでナイフ作業は慎重に

 

 

7:鉄製ヤスリで耳の反りなどを出す

 

 

8:紙ヤスリで微調整。番手を上げながら

 

 

9:サンダーで磨き仕上げていく

 

 

10:完成したチーク製クリートがコチラ! やはり、海の道具はチークがいい。ニスを塗ればさらによき風合いに 

 

 

こうして完成したステキなお手製木製クリート。

後半では、国方さんがご自宅でこのクリートを実際に使っている様子をご紹介します!

暮らしに潮っ気を運ぶ 木製クリートを使ってみよう

 

 

(文・イラスト=国方成一 写真=山岸重彦(本誌))

text & illustration by Seiichi Kunikata,  photos by Shigehiko Yamagishi (Kazi)

※本記事は月刊『Kazi』2023年12月号に掲載されたものです。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 

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国方成一
Seiichi Kunikata

東京都出身、多摩美術大学卒業。イラストレーター、造形作家。自宅のアトリエを開放し、絵画教室やロープワーク教室などを開催。ヨットを楽しんだのは、神奈川県の伝統的な小網代湾にて

 

 

『ロープワーク入門講座』(国方成一 著。舵社刊。右)、『結び 生活に美と潤いを求めて』(中沢 弘著、国方成一 画。天然社刊。左)など、結びに関する多数の書籍を上梓

 


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