ボートで日本一周したい! けど実際には色々難しいので、妄想ですることになった当企画。前回は沖縄本島から奄美諸島の喜界島へと向かった。次は屋久島へと向かおうかな。
【これまでの内容】
ボートで日本一周㉕|今度は鹿児島県の島へ!奄美大島の隣の喜界島
初めて訪れた喜界島は、きれいなところだった。係留した早町(そうまち)漁港の近くにあって、気になっていた夜光貝の工房にも行けて、大好きな夜光貝の加工品も物色。島に行くキッカケになった黒糖焼酎「喜界島」の酒蔵にもお邪魔させていただき、工程を見学できた(妄想)。
さて、次はどこへ行こう?喜界島の北、九州本土までの間には、行きに寄った種子島と並ぶように屋久島があって、それ以外は小さな島が点在する。燃料補給のことを考えると、小さな島では迷惑になることもあるから、補給を伴うならば大きな島を選びたい。ということで、小さな島には立ち寄るだけにして、補給も兼ねた入港は屋久島かなぁ。本土という選択肢もあるけど、やはり島好きとしては島に寄れる機会があるなら、無下にはできない。
屋久島は学生のころに一度寄港したことがあって、そのときは一湊(いっそう)港に留めた。いろいろ調べてみると、プレジャーボートが留められそうな港は三つ。その一つが一湊港で、島の北部、西寄りにある。港の東側に突き出た半島のような矢筈埼があって奥まっているので、風に対しては強そうな港だ。ただ、Sガイドによると、トビウオ漁が盛んになる5~6月は多数の漁船が出入りするそうで、ちょうどドンピシャな時季なんだよなぁ。
一湊港から少し東に行くと宮之浦港がある。ここはいろいろなフェリーやら連絡船やらが泊まる港のようだ。港周りも一番にぎわっているようで、ここに留められたら便利だろう。でも、漁船も含めた各種フネの出入りが多そうだから、港もにぎやかそうだな。
そして島の東側にあるのが安房港。ここも高速船をはじめとする定期船の出入港があるようだ。でも、屋久島周辺は東寄りの風が特に強いとSガイドに書いてあるので、東に開けた港は少し不安かも。しかし、こうして見ていると屋久島の港は河口にあって、その流れ込む川の名前が港の名前となっているようだ。水が豊富な島だけある。
もろもろを整理すると、どこも微妙だなぁ。トビウオ漁の盛期でなければ一湊がいいなと思うのだが、漁の邪魔になってもなぁ。港はフネの出入りがあまり多くない静かなところが好みなのだ。
むーん、どの港も決め手に欠けるなぁと思い、あらためて港周辺を見ていたら、気になる情報が! 一湊港近くに店舗を構えるフィッシングガイドを発見。ガイド船はもちろんのこと、屋久島近海から陸っぱりまで、さまざまな釣りのサポートやコーディネートもしてくれるとのこと。これは、ボートフィッシングのポイントを聞くしかない! 屋久島周辺は非常に魚影の濃い海域でもあるので、なにか釣れてくれるといいな。実は、口永良部島にも行ってみたかったから、一湊港ならアクセスがいいし。
というわけで、トビウオ漁の漁船の出入りが心配だけど、一湊港に行ってみようと思う。港がざわついていたら、宮之浦港に逃げようっと。
とにかく北上という感じの今回のコース。写真は、姉妹誌『Sea Dream』の取材で2012年に訪れたときの一湊海岸沖の海中。一湊海岸は一湊港の東側にある海岸で、ウミガメの産卵場所でもある。以前訪れたときに、朝、ウミガメの足跡だらけだったのを思い出す
なんだか眠そうな表情をしたヤクザル。ヤクシカも含め、屋久島ならではの動物に出合えるのも楽しみ
日本一周を想定するボート〈BC〉の主な仕様
●全長:8.2m ●全幅:2.7m ●搭載船外機:115馬力×2 ●燃料タンク:400L ●巡航速度:約20ノット
(文=茂木春菜/BoatCLUB編集部、写真=山岸重彦/舵社)
※当記事は月刊『BoatCLUB』2021年8月号に掲載していた「妄想全開! 机上で日本一周」の内容を再編集したものです。
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