
近年の磯焼け(海の砂漠化)は、日本全国の広範囲で非常に増えており、深刻化しています。
その主な原因は、地球温暖化による海水温の上昇と、それにともなうウニや魚(アイゴなど)の食害による藻場の衰退といわれていますが、このたび、水環境の再生専門のスタートアップ企業「環境内水面資源研究所」による藻場再生の実証実験が、千葉県の鴨川フィッシャリーナにてスタートしました!
(文=『ボート倶楽部』編集部/星野 淳 写真提供=PR TIMES)
ご存じの通り、藻場は魚や貝を育む“ゆりかご”のような存在。稚魚や稚貝の隠れ家となり、産卵の場として機能する、海の食物連鎖を支える“根”のような大切な場所です。
しかし、水産庁の調査によると、「藻場が衰退している」と回答した都道府県は、実に約8割に達しているとのこと。これはゆゆしき問題です。
今回、鴨川フィッシャリーナでスタートした藻場再生の実証実験は、“生きたブロック”=再生素材魚礁(有機体ブロック)を海中に設置するというもの。この有機体ブロック、一見すると普通のコンクリートブロックに見えますが、さにあらず。中身と役割がこれまでの魚礁とは大きく異なっているんです。
実証実験で使われている有機体ブロックは、有機質成分や再生土壌などの再生資源(リサイクル材)を活用し、微生物や海藻が定着しやすい形状・質感・構造に設計されています。そして時間の経過とともにゆるやかに分解・変化。最終的には砂状成分や無機栄養塩として自然の循環へと組み込まれていくんです。
つまり、”役目を終えたあとは環境へと還る”。新しい発想に基づく人工構造物というところが最大の特徴です。
ちなみに、山形・酒田港での先行実証では2カ月程度で表面に変化が現れ、藻類(珪藻類)とフジツボが定着。翌年9月には自然着生した牡蠣が確認できるようになり(80mm程度)、付近にはメジナやイシダイ、アジなどの群れが確認されたそうです。
■酒田港先行実証結果
付着藻類とフジツボの定着(有機体ブロック投入から51日経過)
シロボヤの群生と初期植生(有機体ブロック投入から225日経過)
牡蠣の自然定着と群集(有機体ブロック投入から371日経過)
海藻の幼芽、アオサなど(有機体ブロック投入から596日経過)
魚礁の集魚力効果。メジナやイシダイ、アジなどが見られます
密度が高く、生い茂る藻場の様子。2026年2月22日の様子(有機体ブロック投入から892日経過)
なお、今回の実証実験の主体となる環境内水面資源研究所は、河川から沿岸域までの水質調査、データ解析、生態系修復といった総合的な環境事業を展開するスタートアップ企業(本社・山形県)で、鴨川市漁業協同組合、鴨川マリン開発、ケイジーエムの協力のもと進められるとのこと。
この取り組みが「環境再生型の鴨川モデル」として、全国の沿岸施設へと波及していくことをぜひ期待したいですね。
(問)環境内水面資源研究所
satoyo.tsuruoka.nct@gmail.com
