初の海でのボート釣り/ポイント選定と釣果アップのカギ

2021.05.19

海に出れば釣れる──そう思って、ボートで海に出たはいいけど、広大すぎて、「どこに行こう・・・」と大きな壁に直面する人は少なくないはず。
ここでは、そんな人たちの一助になればと、ポイント選定から釣果を伸ばすコツまでをご紹介。

ご指南いただくのは、福岡県久留米市のボートショップ「コン・フォート」に勤務する楢原実規男さん。スズキマリン・フェイバスを所有し、季節に合わせた釣りを楽しんでいる。

以下は、月刊『ボート倶楽部』に掲載するために執筆していただいた記事を、編集部で再編したもの。
初めての海でのボート釣りにおいて、釣果を上げるにはどうしたらいいのか、順を追って解説していただいた。

 


ターゲットを決める

まずはターゲットを絞り、その特徴をしっかりと把握すること。
例えば、マダイをターゲットとした場合。マダイは雑食で、岩礁や砂礫底の海底付近を好み、大きな群れはつくらない。普段は比較的深い場所にいるが、産卵期には沿岸の浅いところへやってくる。
簡単だが、この特徴をまとめると、以下のようになる。

①雑食 → エサでもルアーでも釣れる。
②岩礁や砂礫底の海底付近を好み、大きな群れはつくらない → ピンスポットでねらうより、広大な岩礁や砂礫底エリアでねらったほうが効率がいい。
③普段は比較的深い場所にいるが、産卵期には沿岸の浅いところへやってくる → 季節によって水深を意識しなければならない。

こうしてまとめることができる。
このように、ターゲットを決め、その特徴を把握することで、まずは攻略への第一歩が踏み出せるのだ。

 

ポイントの選定

まとめた特徴をもとに、時季や天気などの自然的要因を組み合わせることで、ポイントを探すことが可能となる。
例えば、春であれば産卵時期に釣れるポイントに向かうこと、冬の時季の暖かい日であれば冬から春にかけて移動すると推測される深場が隣接した瀬周りなど、広大なエリアの中から確かめてみるべきポイントが浮かんでくる。
水温や近日の天候などを考慮することで、「自分なりの仮説」を立てて、一番釣れる確率の高いと思われるポイントから釣りをスタートさせるのだ。

 

広大な海で、ポイントを選定することは非常に難しく、何度も心が折れそうになるが、ターゲットの特徴をよくよく考え、自分なりに仮設を立てることで、少しずつ釣果が伸びていくのだ

 

比較できるデータを残す

ポイントに関わる話でよく聞くのが、「前回このポイントで大物が釣れたから行ったけどダメだった」というもの。
大物が釣れたことは思い出としては最高だが、あくまでも思い出にしかならず、次の釣果にはつながらない。次につなげたいのならば、「比較できるものを残しているかどうか」を考えていくことが重要だ。

比較するのに便利なのは、「自分なりの仮説」。釣れたポイントを自分なりに仮説を立て、それを意識しながら釣りをし、確認することでデータ化できる。
それは、水温・水深・時期・潮・底質など、挙げればキリがないものの、ささいなことでもいい。
こうした内容を自分なりに解釈、確認することで、今後の釣果と比較検討できるようになるのだ。

例えば、初めてのポイントで大きなマダイが釣れたとする。このときの水深や水温を記録していたとして、後日、同じポイントで釣れなかったら、すぐにすべきことは、前回との差を確認すること。
もし、先日より水温が上がっていたなら、以前の水深よりも深い場所を、水温が下がっていたなら、以前の水深よりも浅い場所をねらうことで、新たなポイント発見の可能性や、魚の行動がうっすらだが見えてくる可能性がある。
こうしたちょっとしたことでもデータ化を繰り返すことで、経験として蓄積され、確実に釣れるとは言えないものの、釣れる確率が徐々に上がっていくはずだ。

 

魚探はマストアイテム

タックルやテクニックは魚を釣り上げる確率をアップするためには必要なファクターだが、釣りをする上での順位としては後方になると考えている。
とはいえ、魚群探知機だけはマストアイテムだ。釣りにおいて、唯一"数値化"できる代えの利かない機能を持っているから。前述した水温や水深、魚影の有無、自艇の位置や流れ方など、釣行をデータ化するために必要な数値化をしてくれるのだ。

 

さまざまな情報を数値化してくれる魚探は、出力で選ぶといい。出力が足りず、正確な状況が把握できていないケースをよくみかけるので

 

現在は、魚探で測定した水深をマップ上に等深線として表示してくれるGPS魚探が多い。この機能は地形のデータ化としてとても優秀。例えば、タイラバでドテラ流しで釣れたポイントをマークすることで、どんな場所で釣れたかが一目瞭然となる。これまでは釣れた水深しかわからなかったのが、そこがどんな場所なのかわかることは次につながる重要なヒントとなるのだ

 

魚と話したわけではないので、正直なところ、正解はわからない。けれど、ターゲットの種類が豊富、かつ広大な海で、無策で挑めば返り討ちに遭う。本当にちょっとしたことでもいいから、考えて釣れた魚は"釣った魚"になるはず。
たまたま釣れた魚から、自分なりに見つけ出したポイントでねらって"釣った魚"にしてもらえればと思います。

 

(文・写真=楢原実規男 まとめ=BoatCLUB編集部)

 


楢原実規男(ならはら・みきお)
ボート免許 学科講師。トレーラブルボートをメインに取り扱うコン・フォート(福岡県久留米市)に勤務している。航海機器についての知識は広く深く、また、ロッドビルドも得意とする。バスからソルトのエサ釣りまで、ボート釣りは多種多様。愛艇のスズキマリン・フェイバスでの釣行を中心に、北部九州エリアで季節に合わせた釣りを楽しむ。

 

掲載された原稿は、もっと例え話を多用して、わかりやすく解説していただいているので、気になる方は2020年11月号の『ボート倶楽部』をご確認いただきたい。

※本記事は、『ボート倶楽部』2020年11月号の「BCゼミナール」より抜粋。バックナンバー電子版最新刊も、ぜひご覧ください。

 

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