【水路を航く】#5/3分の島への旅、尾道水道

2021.03.29

日本各地にある海峡や運河などを巡る、『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。 第5回は、『ボート倶楽部』2020年1月号に掲載された、広島県尾道市・尾道水道を取り上げる。 ※本記事の取材は2019年10月に実施しました。

 


大小さまざまな島が点在する瀬戸内海に面した広島県尾道市。市街から海を挟んだ対岸には向島(むかいしま)があり、その間を尾道水道が流れている。荷物を載せた運搬船や大型の客船など、多様なフネが狭い水路を行き交い、その隙間を抜けるように、市街と向島とを結ぶ小さな渡船が運航している。渡船に乗り、尾道水道を横切って対岸の向島までは約3分。瀬戸内の暮らしが少し感じられる、短い船旅ができる。

尾道市街から尾道水道を隔てた対岸の向島までは、一番狭い場所で200メートルほど。連絡船が早朝から運航し、尾道市街と向島とをつないでいる。向島へは「しまなみ海道」の本州側の起点になっている尾道大橋や新尾道大橋を渡り、陸路で行くこともできる。しかし、発着地点が3カ所ある連絡船のほうが、所要時間の短縮になることもあり、現在でも多くの地元の人が利用している。

市街側の小高い場所にある千光寺公園や浄土寺山展望台からは、尾道水道の全景を見下ろせる絶景が広がり、水路を通航する大型船の間を、渡船が縫うように行き交うのがよく見える。

映画や小説の舞台として数多く登場し、海とフネと人々の暮らしが密接につながっている尾道。フネ好きにはたまらない場所だ。

 

(トップ画像説明)
高台にある浄土寺山展望台からの景色。夕日が沈み、町に明かりがともるころ、空と尾道水道が薄紫色に染まる。山道を少し歩いた先に、絶景が広がっていた

 

尾道水道を東に向かって走る。日が傾いて西日になるころ、水面に太陽の道ができた。条件がそろえば、尾道水道が黄金色に染まる

 

大きな台船が曳航されていた。尾道水道は狭い水路だが、さまざまなフネがひっきりなしに航行している

 

近づくとその大きさに驚く「向島ドック」では大型船舶の修理を行っている。帆船〈みらいへ〉(下の写真)も、年に一度ここにドック入りしている

 

尾道港に係留中の帆船〈みらいへ〉。月が浮かぶ空とライトアップされた帆船が美しい光景をつくっていた。尾道港はクルーズの途中の停泊地としてよく利用されている 

 

おのみち海の駅近くの桟橋。東の空がうっすらと明るくなり、静寂に包まれた朝日が昇る直前の、一瞬だけの光景

 

早朝、庁舎の近くの路上に人だかりを見つけた。そこには朝どれの魚を売る行商の姿があった。多くの地元住民たちが魚を買っていた

 

(文・写真=山岸重彦)

 

※本記事は、『BoatCLUB』2020年1月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。

 

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