【水路を航く】#3東京都・岩淵水門/二つの川の分岐点

2021.02.22

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第3回は、『ボート倶楽部』2019年12月号に掲載された、東京都・岩淵水門を取り上げる。
※本記事の取材は2019年10月に実施しました。

 


日本最大の川幅を持ち、関東を代表する河川として知られる荒川。奥秩父を源流とし、埼玉県の長瀞(ながとろ)渓谷や関東平野を流れ、東京湾へと注いでいる。東京都北区と埼玉県川口市との都県境にある岩淵水門を過ぎると、そこから下流は隅田川として分流して、こちらも東京湾へ流れている。荒川から隅田川へ流れ込む水量を調節するために大正時代に造られた岩淵水門には、現在は稼働していない旧水門と稼働中の新水門があり、ゲートが赤い旧水門は「赤水門」、ゲートが青い新水門は「青水門」と呼ばれている。

埼玉県川口市にある芝川マリーナ付近では、荒川平水域でのウェイクボードや、荒川、隅田川のリバークルーズが楽しめる。荒川と隅田川の分岐点になっている岩淵水門はクルージングの名所。芝川マリーナのボートオーナーには、荒川を下って東京湾でフィッシングを楽しむ人も多い。淡水で陸置きとあって、海が荒れていても川でボート遊びができると人気のマリーナだ。

昔は鋳物工場の町として有名だった埼玉県川口市は、東京のベッドタウンとして発展著しく、工場跡地の再開発が進んでいる。荒川をボートで走行していると、河川敷の向こうに突如高層ビルが立ち並ぶ風景は目を引くものがある。悠然と流れる川の風景も、時代とともに少しずつ変化していることを実感した。

 

大正時代に造られた旧岩淵水門。5門のゲートのうち、写真右端にある一番高いものは1960 年に建造され、現在は水門としての役目を終えている。この近くは水深が浅く、ボートで水門を抜けることはできない

 

一級河川の荒川は川幅も広く、ある程度スピードを出して航行できる。「曳き波注意」の標識がある場所もあるので注意が必要

 

岩淵にある船着場。国土交通省 荒川下流河川事務所が管轄している。緊急用の船着場だが、事前に申請をすれば、平常時に個人でも利用できる。陸上側には鍵のかかった門があるため、利用する場合は鍵を貸し出してもらう。郵送で返却することもできる
■荒川船着場利用申し込み
http://www.arafuna.jp/

 

荒川にかかる鹿浜橋から北西方向に見える、川口市内の高層ビル群。この風景もどんどん変わっていくのかもしれない

 

北関東からも比較的近い埼玉県川口市という場所柄、群馬や栃木のボーターにも人気がある芝川マリーナ。東京湾まではボートで約45 分。海で遊んで戻ってくる間に、エンジンのフラッシングができてしまう
■芝川マリーナ
埼玉県川口市弥平3-12-8
TEL:048-226-5711
http://www.shibakawa-marina.com/

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 

※本記事は、『BoatCLUB』2019年3月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。


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