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岩本光弘さんからの応援メッセージ/辛坊治郎さんの太平洋横断

2021.04.30

太平洋横断に挑戦中の辛坊治郎さん。今日4月30日、その航海は出航から22日目を迎えた。

 

4月30日23:16現在の辛坊さんの位置情報(古野電気の特設サイトから)。マップ中央の線は日付変更線。また、同サイトのバージョンアップが実施されており、大阪からサンディエゴまでのルートの概算走破距離(直線距離の場合。現在27.7%走破)、ゴールまでの距離、進路、船速などが、一般の方にもわかりやすく表示されるようになっている。

 

さて、今回の太平洋横断は、ご存じの通り、辛坊さんにとっては2度目のチャレンジとなる。
前回の挑戦は2013年のこと。全盲のセーラー・岩本光弘さん(ヒロさん)をパートナーに、福島県いわき市の小名浜港からスタート。しかし、出航からわずか6日目に、二人が乗るヨットはクジラに衝突し沈没。なんとかライフラフト(救命いかだ)に乗り移った2人は、海上自衛隊によって救助された。

 

出航からわずか6日目の事故。海上自衛隊の救難飛行艇に救助されたのち、都内で記者会見に臨んだ辛坊さん(右)とヒロさん(左)。そんな2人に対しては、当時、「無謀な挑戦だ」などというネガティブな声も少なくなかった。

 

2013年6月16日に福島県の小名浜を出航した直後の二人が乗るヨット、〈エオラス〉(ブリストルチャネルカッター28)。オーナーの比企啓之さんと間 寛平さんのコンビで、太平洋と大西洋を渡った実績もあるヨットだ。

 

ヨット〈エオラス〉の艇体放棄のあと、2人が乗り移ったライフラフト(救命いかだ)。この小さく狭い空間のなかで生死の境をさまよいながら、救出を信じ、待った。
写真提供=海上自衛隊

 

それから6年後の2019年。ヒロさんは、ダグラス・スミスさんと二人で、アメリカ・サンディエゴから福島県・小名浜を目指し、再び太平洋横断に挑戦。

ヨットはベテランでも目が見えない日本人であるヒロさんと、ヨットは初心者でも目が見えるアメリカ人のダグラスさんという、まるで正反対のコンビ。二人は力を合わせ、見事に太平洋横断という夢をかなえた。その航海が、多くの人たちに勇気を与えたことはいうまでもない。

 

小名浜に到着した直後のヒロさん(左)とダグさん。互いの足りない部分を補い合ってヨットを走らせ、太平洋横断という夢を成し遂げた。

 

ヒロさんとダグラスさんが乗ったヨット〈ドリームウィーバー〉。小名浜到着直前、厳しいコンディションの中を進む。

 

さて、そんな辛坊さんの航海の成功を、誰よりも強く願い、応援しているのは、ほかならぬヒロさんだと思う。

そこでヒロさんに、太平洋の上で格闘中の辛坊さんに送るメッセージという意味で、話を伺った。
※インタビューは、4月30日にZOOM(WEB会議サービス)にて実施した。

 


●辛坊さんの挑戦については、事前に相談など受けていたのですか?

ヒロ:
辛坊さんが、2021年に太平洋横断にチャレンジすると発表される数日前に、メールをいただきました。それを知ったときには、まずなんといってもうれしかったですね。

 

●前回の挑戦で失敗し、漂流中のライフラフトの中で、すでに次のチャレンジのことを話していたと、辛坊さんがおっしゃっていました(関連記事はコチラ

ヒロ:
そうですね。今度はどんなフネでやろうか、今度はいつやろうかなどと、2人で話していました。そういう話をしていたからこそ、ライフラフトで漂流するという危機的な状況でも希望を持つことができたし、なんとかもったんだと思います。

 

●辛坊さんは出航直後から悪天候に苦労しているようです

ヒロ:
もちろん、辛坊さんの様子はしっかりチェックしています。風速60ノット(約32.4m/s)とか80ノット(約43.2m/s)とか・・・すごいですよね。私が太平洋を渡ったときには、最大で45ノット(約24.3m/s)くらいでしたが、それでも散々な思いをしましたから、ちょっと想像できないくらいの壮絶な状況です。

2013年の航海のときには、出航から6日目に事故が起きるまでの間、天気も悪かったし、2人ともやることが多すぎて、洋上生活に体が慣れる間もありませんでした。辛坊さんも出航からずっと船酔いされていました。それを考えると、いまはラジオの声なんかを聴いていてもかなり元気そうですし、安心しています。

 

●2013年の挑戦時の因縁のポイントも超えたし、航海の日数も20日を超えました

ヒロ:
そうですね。私は2019年にダグ(ダグラス・スミスさん)と太平洋横断することができましたが、やっぱり心の底から喜べないというか、どこかで気持ちのなかにひっかかりがありました。それって、やっぱり辛坊さんのことがあるんですよね。一緒に乗った戦友として。
だから、辛坊さんが太平洋横断に成功したら、自分自身の航海も含めて、私自身も心の底から喜べるんだろうなと思います。

 

●辛坊さんに何かメッセージをお願いします

ヒロ:
季節外れの台風なんかもあって、これまでは相当苦労されたと思います。でも、これから先は天気も安定してくるでしょうから、あとはもう太平洋でのセーリングを存分に楽しんでください。最後にアメリカ大陸に近づくと、カリフォルニアあたりには大型船の航路もあって船の数も増えてきますので、そこには注意して進んでいってもらえればと思います。
サンディエゴ(ヒロさんが暮らしている)では、仲間のヨットにお願いして、私も海の上で出迎えるつもりです。無事に着かれて、元気な姿でお会いできることを楽しみにしています!

ヒロさんは現在、熊本県の実家に帰郷中。というのも、5月5日には天草で聖火ランナーの大役を務めることになっているためだ。太平洋横断のパートナーでもあるダグラスさんとともに故郷を走る。

「5月中旬には私もサンディエゴに戻ります。辛坊さん、待ってますよ!」(ヒロさん)

 

(文・写真=舵社/安藤 健)

 

辛坊治郎さんの太平洋横断チャレンジを応援しよう!
古野電気の特設ウェブサイト

https://www.furuno.com/special/jp/shinbo-challenge/

 

 

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