100km/hで駆け抜ける、世界最速サーキット、SailGP。全8チームが死力を尽くし戦い続けたシーズン2は、この第8戦(最終戦)サンフランシスコ大会でグランドファイナルを迎えた。
(タイトル写真=photo by Thomas Lovelock for SailGP:ゴールデンゲートブリッジの前を走る日本チーム)
SailGPの賞金は100万ドル。SailGPでは、この1億円超の賞金を、なんとたったの1レース、グランドファイナルで行う3艇による決勝レースで奪い合う。1年間を戦い、グランドファイナルに進んだのはオーストラリアチーム、日本チーム、アメリカチームの3チーム。ここまでどう戦ってきたかは一切考慮されない。
このグランドファイナルで勝った者が100万ドルを手にする。
アメリカチームのドライバー、ジミー・スピットヒルが言った名言がある。
「SailGPは、強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」
ここで、このSailGPという特殊なサーキットについて、いまいちどそのフォーマットを説明したい。シーズン2では、8チームが各国全8戦で競った。各イベントはフリートレースでファイナルに進出する3チームを決め、ファイナルの勝者がそのイベントの勝者となる。そして8戦目、今回のサンフランシスコでは、全8戦のフリートレースの各最終順位ポイント、7戦までのファイナルのポイントを加算した上位3チームによるグランドファイナルによって、シーズンの勝者を決定する。
ここが重要な点。SailGPは 、シリーズ全レースの総合得点で勝者を決めるのではなく、最後に残った3チームによる、たった1回のグランドファイナルレース、それこそわずか10~15分程度の1レースによって年間の勝者が決定してしまう、ということなのだ。
「親の総取り」という言葉が適切かどうかわからないが、グランドファイナルで勝ちさえすれば、SailGPの最終勝者になれるのである。そのグランドファイナルの所要時間はなんと、たったの9分37秒。オーストラリアチームが、見事100万ドルを手にした。日本は遅れること46秒・・・。
わずか46秒の差で100万円を逃した。1億円超に届かなかった時間が1分足らずとは・・・。そのレースを振り返ってみよう。
photo by Simon Bruty for SailGP
8チームが参加したうえ、コースが傾きゲートは片方だけが圧倒的な有利な状態になった。当然、8艇はすべて同じマークを回ることになり、このような危険な混戦があちこちで見られた
photo by Bob Martin for SailGP
イギリスチームは前回まで使用した真っ赤なカラーリングのハルをやめ、新たなカラーリングで参戦し、目を引いた
photo by Simon Bruty for SailGP
2日目第4レース風下ゲートで、オーバーラップしていないアメリカチーム(左)に強引な割り込みを仕掛けたスペインチーム。両艇のラダーが引っ掛かり大事故寸前に。スペインチームのドライバーは今大会からジョルディ・シャマルが担当。暴れん坊ドライバー、フィル・ロバートソンはシーズン3からチームを離れる予定が、少し早まったようだ
photo by Simon Bruty for SailGP
ポートサイドのラダーカウルを破損したアメリカチーム。ハル自体は無事だった様子。しかしながら、このダメージはかなり尾を引いたもよう
photo by Bob Martin for SailGP
グランドファイナルを制し、シーズン2優勝を果たしたオーストラリアチーム。全8戦中5回ファイナルを制した実力が、最終結果でも証明された
photo by Ricardo Pinto for SailGP
重要なポジションであるフライトコントローラーを務めた高橋レオ(右端)。ダガーフォイル(水中翼)のトリム(調整)は、最もデリケートかつ正確性が求められる。彼の活躍で、日本チームは他を圧倒する艇速を披露した
photo by Ricardo Pinto for SailGP
ドライバーのネイサン・アウタリッジ(左端)率いる日本チームの艇上。スタートからマーク1までの加速は、今回8チーム中一番の輝きを見せた
photo by Ricardo Pinto for SailGP
時速100kmの世界最速サーキットSailGP。シーズン3の日本チームに期待
グランドファイナルは、風が落ち、風向が一気に変わった。そして1度目のスタートを切った直後、クジラの出現によりレースは延期に。仕切りなおした2度目のコースは、想定されたものから90度も違うものだった。西からの強風が吹くことで知られるサンフランシスコ湾の風は90度変わり、コースは左右ではなく縦に設置。距離が短いうえ、少しの風向の変化でタッキング、ジャイビングのない1本コースになってしまう。
予想通り風は振れ、コースはまるで競馬のような1本道、直線コースを往復するだけのものに。レースの駆け引きが生まれにくい、ただのスピード勝負となった。スタートに成功したのはオーストラリアチーム。そのアドバンテージを最後まで維持してフィニッシュした。スタートに出遅れた日本チームは3位を走ったが、その後挽回。3位のアメリカチームはトップから1,700m離されるなか、日本チームは400m台まで迫るも届くことはなかった。オーストラリアチームは実に強かったが、平均艇速では日本チームが上回っていた。
シーズン3こそ、日本チームの持ち味を最大限に発揮した走りで、100万ドルを取り返してほしい。
(文=Kazi編集部/中村剛司)
※月刊『Kazi』6月号に詳細記事&SAILFASTの後藤浩紀さんによる、SailGPシーズン2総括記事を掲載予定。ぜひご覧ください。バックナンバーおよび電子版をぜひ
レース観戦方法 SAILGP サンフランシスコ大会
J-SPORTS(日本語解説あり)
https://www.jsports.co.jp/pickup/sailing/
https://jod.jsports.co.jp/pickup/sailing
その他
SailGP アプリ: https://sailgp.com/about/sailgpapp/
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AILGP 2022 第8戦 最終戦 動画はコチラ(英語版)
↓↓↓
SEASON 3 CALENDAR(レース日程)
1 BERMUDA SGP 14-15 May 2022
2 UNITED STATES SGP 18-19 Jun 2022
3 GREAT BRITAIN SGP 30-31 July 2022
4 DENMARK SGP 19-20 Aug 2022
5 FRANCE SGP 10-11 Sep 2022
6 SPAIN SGP 24-25 Sep 2021
7 DUBAI SGP 12-13 Nov 2022
8 coming soon
9 NEW ZEALAND SGP 18-19 Mar 2023
10 UNITED STATES SGP 6-7 May 2023
第8戦フリートレース結果
グランドファイナル結果 ↑
シーズン2最終結果 ↑
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