絶景の座間味を伝統船が進む|サバニ帆漕レースが開催

2025.07.07

6月21日、22日に沖縄県・慶良間(けらま)諸島の一つ、“座間味ブルー”の絶景で名高い座間味島で「令和7年度 第14回マリリンカップ」「令和7年度 第26回サバニ帆漕レース」が開催されました。

琉球王国時代から伝わる沖縄伝統の帆船「サバニ」を用いたレースの模様と、座間味島で伝統文化としてサバニを継承していく取り組みを、現地を訪れた写真家の村山嘉昭(よしあき)さんのレポートと写真で舵オンラインで紹介します!(Kaziオンライン編集部)

 

◆タイトル写真|マリリンカップで安慶名敷島(あげなしくじま)付近を快走する帆かけサバニ

 


サバニ帆走レースレポート&写真集

沖縄地方では梅雨が明けると「カーチベー」と呼ばれる南から南西の季節風が昼夜問わず吹き続ける。今年は1951年の統計開始以降、2015年と並んで最も早い梅雨明けとなり、サバニ帆漕レース実行委員会の関係者や参加者を安堵させた。

サバニ帆漕レースは沖縄県の伝統的木造船であるサバニによる海洋レースで、カーチベーを用いて同県慶良間諸島の座間味島から、那覇港沖までの約35㎞を競い合うものだ。

 

サバニ帆漕レース前日のマリリンカップにチーム〈ざまみ丸ジュニア〉で出場した座間味島の小学生たち

 

26回を数える今大会からは、大会運営が座間味村役場内の実行委員会に一元化され、村や観光協会らが主体的に関わるようになった。

本大会にはマリン向けウエア「ヘリーハンセン」を展開するゴールドウインと、マリンスポーツ向けの捜索支援サービス「ココヘリマリン」を提供するオーセンティックジャパンの協賛を賜った。

 

本レース前日の6月21日に座間味島で催された約5.5㎞の島内レース「令和7年度 第14回マリリンカップ」では13チームが出場。

1位でフィニッシュしたのは〈海夢(シードリーム)〉で、タイムは37分18秒。続いて東京海洋大学の〈清和丸〉が2位、3位の〈源丸〉はトップと2分ほどの差でフィニッシュした。村の小学生によるチーム〈ざまみ丸ジュニア〉は8位だった。

 

マリリンカップ、風と漕ぎで競う合う参加者

 

翌22日の午前9時、サバニ帆漕レースに挑んだ26チームが座間味島の古座間味ビーチから2那覇沖を目指して一斉にスタート。好天と良い風に恵まれた絶好のレースコンディションで、各チームとも順調に海を渡り、24チームが完走した。

トップでフィニッシュしたのはニーサギ(アウトリガー付きのサバニ)クラスの〈海想〉で、タイムは唯一3時間を切る2時間57分50秒。続いて〈くいーんざまみ〉(ニーサギ)が3時間5分58秒で2位、3位の女性チーム〈女海想〉(ニーサギ)は3時間11分17秒でフィニッシュした。

 

古座間味ビーチをスタートした帆かけサバニ。正面に見えるのは渡嘉敷(とかしき)島

 

コース中盤手前から〈海想〉が単独でトップに躍り出て、〈くいーんざまみ〉が追う展開が続いた。

3位の〈女海想〉は4位の〈ざまみ丸〉との1分19秒差という接戦を制した。

 

3位でフィニッシュした女性だけのチーム〈女海想〉

 

サバニクラスで1位となった〈エイトマン〉は6位でフィニッシュし、サバニクラス2位の東京海洋大学は8位。島の中学生たちによるチーム〈海学校〉(ニーサギ)は大人顔負けの速さで5位となり、島を沸かせた。

 

アウトリガーのないサバニクラスで1位となった〈エイトマン〉

 

海上でクルー交代するチーム〈海学校〉。ルールでは1艇6人だが、ハンディキャップのため海学校は乗員8人となっている

 

ニーサギクラス1位のチーム〈海想〉

 

サバニクラス1位のチーム〈エイトマン〉

 

令和7年度 第14回マリリンカップ上位成績
2025.6.21 沖縄県・座間味島

●ニーサギクラス(参加9艇)
1位 海夢
2位 えすぷり
3位 女海想

●サバニクラス(参加4艇)
1位 清和丸
2位 源丸
3位 ゆがふぅ

 

令和7年度 第26回サバニ帆漕レース
2025.6.22 沖縄県・座間味島~那覇港

●ニーサギクラス(参加16艇)
1位 海想
2位 くいーんざまみ
3位 女海想

●サバニクラス(参加8艇)
1位 エイトマン
2位 東京海洋大学
3位 海夢

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サバニ文化を継承する取り組み

座間味村でサバニ帆漕レースの取り組みが始まってから今年で26年を迎え、県内の船大工に木造サバニを発注して参加する人たちも現れ始めている。

さらに座間味島や沖縄本島、八重山などでは、帆かけサバニの体験乗船ツアーなどが少しずつ広がり始め、伝統的なサバニが浮かぶ光景が甦りつつある。

船の材質が杉板からFRPに代わり、一時は〝絶滅〟が危惧された木造サバニ。県内の博物館などにはかつて現役で使われていた帆かけサバニが展示されているが、造船や操船の技術は使い続けることでしか残らない。

今ではレースをきっかけに帆かけサバニの魅力が再認され、沖縄ならではの観光資源にもなっている。座間味村では保護者の理解と協力により、島の小学生や中学生たちがレースに参加し、帆かけサバニがより身近に感じられる環境となった。

大会実行委員会の副会長を務める座間味村の宮里哲村長は、「サバニという沖縄の海洋文化を残していくためにも、今後もレースを続けていきたい」と話している。

 

大会実行委員会の会長を務める知念 覚・那覇市長(右)と副会長の宮里 哲・座間味村長

 

(文・写真=村山嘉昭)

 

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