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ヨットレース
ヨットレース用「自走式マークブイ」という、新発想!

2020.12.20

多くのヨットレース、特にインショアレースでは、アンカー(錨)とロープを付けたマークブイを水面に打って、それを回航して順位を競う。本部船とアウターマーク(兼、フィニッシュマーク)をスタートラインとして、風上マーク、風下マークと、三つのマークブイを使用するのがミニマムか。 

さらには、サイドマーク、ショルダーマーク、フィニッシュマークやら、トラぺゾイド(平行四辺形)コースなら、風上マーク1、風上マーク2なんて、どんどんマークの数は増えていく。何が言いたいかといいますと、レースを運営する際、このマークブイを風に合わせて打ち、風が振れればそのたびに打ち直す作業は、多くのマークボートと、それにかかわる人員(つまり経費)が多数必要である、ということ。

 

この大変なレース運営を画期的に楽ちんにするアイテム、「自走式マークブイ」が各社から登場し話題を呼んでいる。ドローンによってマークを遠隔操作することで、レース運営にかかるマークボートと人員の数は大幅に削減される。 

すばらしい点はそれだけではない。これまでのマークは、海底にアンカーを落としてマークブイの位置が動かないように固定していた。したがって、あまりに水深が深い海域では、この方法は使えない、ということ。
例えば、関東の相模湾はレース海面としては割と深く50mほど水深がある。マークを打つなら100~150mほどのアンカーロープが必要で、これはとても大変な作業だ。
しかし、この自走式マークブイにはアンカーはいらない。つまり、水深が100mどころか、1,000mあったってレースコースを作ることができるのだ! 

まじですごい!  

そんな「まじですごい」自走式マークブイを二つ、紹介します。 

 


マークセットボット

MARK SET BOT 

J/70クラスのレースに使用されたマークセットボット

 

日本代理店もある自走式マークブイ

日本にいち早く情報が入ってきた、自走式マークブイ「マークセットボット」。全長2.1mのインフレータブルカタマランをベースに、360度回転式の電動モーターを装備。スマートフォンによる操作で、マリーナから自立自走して出航し、マークに内蔵したGPSによって指示した対地位置を自立保持する。

すでに、SailGPや、ワールドセーリング・パラ世界選手権ほか、多くのレースに導入され実績も残している。 25ノット、波高2mの海況でも動作確認済み。メーカー推奨は瞬間最大風速30ノットまでとなっている。実直で忠実なこのロボットが自らトコトコとレース海面に向かう姿は「健気」のひとことだ! 

50ahバージョンなら風速10ノットで10~12時間、風速20ノットで8~10時間の連続駆動可能とのこと。

(問い合わせ)
コンパスコース(日本代理店)

https://compasscourse.jp/ 

アンカー式のマークは風によって振れ回るが、GPSで位置を保持するマークセットボットは、ほぼ動かない点もポイント

Mark Set Botの動画はコチラ

↓↓↓

 

 

 


ロボマーク

ROBO MARK 

OP級のレースで活躍するロボマーク

 

スイスの美しい湖で生まれたロボマーク

こちらは、スイス出身のプロセーラー、クリス・ラストと、マティアス・レンカ―博士が開発したロボマーク。2017年ごろから、スイスの美しい湖、トゥーン湖の湖岸で実験を繰り返し、完成させたものだ。2019年には第2フェーズのプロトタイプのテストに成功。改良に改良をかさね、ブラッシュアップされてきた。

先のマークセットボット同様、スマートフォンのアプリによる直観的操作で、マークを操ることが可能。カタマラン(双胴艇)様のインフレータブルボートに自動操舵システムとGPS通信システムを搭載し、自力で最大30ノットの速度で航行することができる。上部構造物は風の影響を受けにくいパイプ型で、視認性が高い。なかなかのアイデアです。

連続航行時間は、風速25ノットで5時間、風速15ノットで15時間。

(問い合わせ)
SPS / SWISS PERFORMANCE SAILING

https://spsailing.ch/robomark/

スマートフォンで簡単に操作できるのも魅力

 

ロボマークを開発した、クリス・ラスト(右)と、マティアス・レンカ―博士

ROBO MARKの動画はコチラ

↓↓↓

 

 


これら、電動モーターによる自走式マークブイの目下の問題は、バッテリーと連続駆動時間。両メーカーとも5~15時間程度の連続航行時間を発表しているが、風速が増せばやはりその時間は短くなる。マークを打ちたい場所をマップにセットすれば、マリーナの桟橋から自力で航行してレース海面まで向かうすばらしい機能があるが……。

はっきりいえば、このマリーナから海面へ向かうときの電力はもったいない。レース海面までは、1艇のマークボートで各自走式マークブイを曳航して、レース海面についてから各ポジションに移動させれば、この問題は解消される。

電気自動車も自動運転の時代。

レース用マークブイも、完全自動移動、自立位置保持の時代がやってきました♪

 

(文=Kazi編集部/中村剛司)


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