88歳での単独無寄港太平洋横断

2022年、世界最高齢(83歳当時)で単独無寄港太平洋横断を達成したヨットマン堀江健一さんが、新たな挑戦を発表した。

なんと、2027年3月、新造するセーリングクルーザー〈サントリーマーメイドⅣ〉によって再び、単独無寄港太平洋横断に挑戦するというのだ! 新造艇の設計はもちろん、日本を代表するボートデザイナー、横山一郎さん。前回の挑戦と同じくタッグを組む。コースは、ザ・サンフランシスコヨットクラブ(マリーナ地区:サンフランシスコ)から出航し、新西宮ヨットハーバー(兵庫県西宮市西宮浜)を目指す約4,500マイル。航程は約2カ月を予定している(前回は69日間、約4,590マイル)。堀江さんが成功すれば88歳での完走となり、これはもちろん世界最高齢記録を自ら更新する形となる。

前回の作品。〈サントリーマーメイドIII〉により、2022年に達成した83歳世界最高齢での単独無寄港太平洋横断のフィニッシュシーン。米サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを通過
新造艇〈サントリーマーメイドⅣ号〉の解説をする、日本を代表するボートデザイナー、横山一郎さん(右)

堀江さんの次なる“作品”への情熱

思い起こせば2023年に開催されたジャパンインターナショナルボートショー2026。2022年に達成した83歳世界最高齢での太平洋横断を称えMJC(マリンジャーナリスト会議)マリン賞(現在の日本マリン賞)受賞し、メインステージに登壇した堀江さんはこんな言葉を会場に集まったセーラー・ボーターに宣言した。

「これが最後の作品ではありません。また必ず再挑戦します!」

会場のどよめきはすさまじいものであったことを記憶している。堀江さんは自身の挑戦を「冒険」と表現されることに違和感を感じ、自身の挑戦を「作品」と表現する。

次回の作品は来年。88歳の堀江健一さんが描く作品、米寿の物語に宿る、静謐(せいひつ)な情熱の揺らぎとは。興奮冷めやらぬこの新たな“作品”が楽しみでならない。

堀江健一さんの航海スケジュール(予定)

  • 2026年9月8日 /「堀江謙一 サントリーマーメイドⅣ号 単独無寄港太平洋横断」発表
  • 2026年11月/進水式(広島県尾道市 ツネイシクラフト&ファシリティーズ株式会社)
  • 2026 年12 月/セーリングテスト&調整期間(新西宮ヨットハーバー)
  • 2027年(未定)/〈サントリーマーメイドⅣ〉をサンフランシスコへ輸送
  • 2027 年3 月(予定)/ 「出航(ザ・サンフランシスコヨットクラブ)」
  • 2027 年5月末(予定) /「終航(新西宮ヨットハーバー)」
建造中の〈サントリーマーメイドⅣ〉。ハルは耐食アルミ板製。堀江さん(左から2人目)が溶接部をチェック。横山一郎さん(右から2人目)もビルダーと綿密な打ち合わせを重ねている
倒立状態のハル。美しいハルラインが特徴だ

〈サントリーマーメイドⅣ〉諸元

ヨットデザイナー 横山一郎さんの公式コメント 

「安全に航海を完結させられること、快適にセーリングを楽しめること、そしてできるだけ早く目的地に到達できるセールボートでありたいと願いながら設計を進めてきた。

船型的には風や波で翻弄されても変な癖の出にくく操船しやすい形を常々追い求めてきた。セール、キール、ラダーなどの“翼”の形と最良の配置を探し続けてきた。

これにはできるだけ自分自身で海に学びに行かないと知ることはできない。優秀なセーラーや科学者に学ぶことも多く、そのようなことが設計の背景になった。

それらをセールボートの使用目的に合わせて調整していくのが“キモ”になる。堀江さんのチャレンジを前回同様に陸上からサポートすることを楽しみにしている」

設計者の横山一郎さん(左)と堀江さん

堀江謙一さん/Kenichi Horie

1938 年、大阪府生まれ。関西大学第一高等学校ヨット部に入部してヨットに出合う。1962 年、当時23歳のとき、世界初のヨットによる単独無寄港太平洋横断航海を達成。その後もさまざまな冒険に挑み、成功させている。2022年6月世界最高齢での単独無寄港太平洋横断に成功。

〈サントリーマーメイドIII〉から手を振る堀江さん。次なる作品は来年だ!

月刊『Kazi』11月号(10/5発売)に詳報掲載予定!

(文=中村剛司/舵オンライン編集部、写真=堀江謙一)