江の島の木造43フィートケッチ〈やまゆり〉がセールボートで3例目の「ふね遺産」に認定

2025.10.18

神奈川県江の島ヨットハーバーにて「帆船やまゆり保存会」が管理、運行をする木造43フィートセーリングクルーザー〈やまゆり〉(横山 晃さん設計)が、日本船舶海洋工学会から「第9回 ふね遺産」に認定された

「ふね遺産」は日本の船舶工学と海洋工学史において、歴史的で学術的・技術的に価値のある「ふね」や関連設備を社会に広く知らせ、文化的遺産として保存し、後世に残す取り組み。

 


神奈川県・江の島に向かって帆走する43フィートの木造ケッチ〈やまゆり〉。建造から60年以上が経過した今も状態を保ちながら運航を続け、セールボートとしては3件目となる「ふね遺産」に認定された

 

〈やまゆり〉は全体では54件目、セールボートとしては堀江謙一さんの〈マーメイド〉(キングフィッシャー19)、今給黎教子さんの〈海連〉(バルティック35)に次ぐ3件目のふね遺産登録となった。

認定理由として、国内で運航を続ける大型木造セーリングクルーザーの貴重性と、ヨットや海の素晴らしさを普及してきた歴史が挙げられ、日本のヨット史における貴重な文化であるとされた。

 

〈やまゆり〉は、1964年に江の島ヨットハーバーで開催された東京オリンピックのヨット競技(当時)の来賓用クルーザーとして神奈川県が建造し、警備艇としても活躍。

以降は江の島ヨットクラブ、 1993年からは江の島ヨットクラブの外郭団体として設立された「やまゆり倶楽部」、2013年からは「帆船やまゆり保存会」が管理している。

 


1964年の東京オリンピックのセーリング競技で、来賓用の観覧艇として活躍した当時の〈やまゆり〉(写真提供:江の島ヨットクラブ)

 

〈やまゆり〉は本来の用途に供せられる「動態保存」にこだわり、 有志の手によって保全活動を行いながら、現在に至るまで定期的に運行を続けている。

〈やまゆり〉が今後も海を走りながら、末永く日本のセーリング文化を見守り続けていくことを願いたい。

帆船やまゆり保存会が主催する、各種乗船イベントもぜひ。

 

(問い合わせ)日本船舶海洋工学会
TEL: 03-3438-2014 

 

(文=川野純平/Kazi編集部 写真=山岸重彦/本誌)

 


 

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