【フネのDIY術】/内装と外装① 内装と外装の違いって?

2021.09.12

月刊『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。今回は、2020年1月号に掲載した、「内装と外装① 内装と外装の違いって?」から内容を抜粋して、フネの磨きに関する情報をお届けします。

 


自分の使用シーンを想像する

今回のテーマは、「内装と外装」。ひと口に内装、外装といっても、人によってどこを指すのかはなかなか曖昧で、こうであるとは言い切れない部分も多いので、ひとまず、「フネの装飾や設備の配置に関するもの」とざっくり定義して、話を先に進めていく。

まずは、内装と外装の大きな違いとは何か、から。今回も、東京ボートのサービス部長、伊藤幸洋さんに教えていただく。

 

風雨にさらされる外装においては、防水加工は必須。写真の木造のベンチシートも、ニスが厚く塗られている

 

室内用のシートやクッション類に関しては、水に濡れないのであれば、防水加工は不要で、家庭用のものを流用することもできる

 

「一番大きな違いは、素材です。外装は雨や風、波しぶきなどにさらされるため、それらに耐えうる素材を使わないといけません。でも、内装はそこまで考えなくていいわけです。例えば、外に設置するシートクッションは、“あんこ”をそのまま表面の生地で包むわけではなく、一度あんこをビニールなどで包んでから、表面の生地で覆っていきます。そうしないと、クッションの中身はすぐに雨などでダメになってしまいますよね。でも、内装に関しては、その手間を省いてもいいわけです」(伊藤さん:以下同)

パッと見ではわからないが、水しぶきや雨が当たる位置にあるクッション類の内側はそのようになっているのだ。とはいえ、そう簡単に割り切れるものでもない。

「もちろん、ハウスの中に濡れた体で入る可能性があるなら、内装のクッションのあんこもなにかで包むか、表面をネオプレーン生地などにする必要が出てきます。釣りをする人であれば、汚れてもすぐに拭き取れるように、クッションや生地はいっさい使わず、FRPがむき出しのままがいい、ということもあり得ます」

ここで大切なのは、使用するシーンに合わせて、素材や設置場所などを決めていく、ということだ。そのためには、実際に自分がどのようなスタイルで操船するのか、どの位置で釣りをするのか、誰をフネに招くのか、といったことを考えて、シミュレーションする必要があるのだが、このあたりは、非常に重要なため、次回以降に詳しく説明することにする。

 

BEFORE

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

AFTER

まだ途中の段階だが、劣化していた操船席周りを一新。見た目だけでなく、計器類の配置も使いやすいように変更することも可能だ

 

汚い部分を見えなくする

さて、内装に関するイメージとしては、見た目をよくすることが考えられるが、そのあたりはどうなのだろうか。

「よく、パイロットハウスなどの天井や側壁の内側が、柔らかいクロスやシートで覆われているのを見たことはありませんか? あれを取り付けることで、たしかに見た目が華やかになりますし、航走中に頭をぶつけても痛くないようにという意図もありますが、もともとは、FRPの裏側を見えなくするためでもあるんです。以前、当連載のFRPの回で見たと思いますが、FRP単板の、ゲルコートを塗っていない面はガラス繊維がむき出しでしたよね。あの面を見えなくしているわけです」

 

パイロットハウスの内壁に張られたクロス。下のコードは配線で、パイプ内を通っており、パイプの外側にも生地が張られている。安全性や見た目など、さまざまな意図がある

 

場合によっては、見た目をよくすることは、余計な手間やコストを省くことにもつながる。

「最近、おしゃれなお店で、天井がなくて、エアコンや配管をあえて見せているところがあるじゃないですか。配管もきれいに並んでいて、直角に曲がっていたりして。一般的に天井裏の配線は、見えない部分なので、結構ぐちゃぐちゃだったりします。配線も、最短距離で届くようになっていたり。でも、それでも機能としては問題ないんです。ただ、見せるとなると、センスが必要です。コンクリート打ちっぱなしの部屋などもそうですが、ごまかしが利かないぶん、難しくなります。素材をそのまま見せられるようにしなくてはいけないからです。FRPも同じで、両面をきれいにする工法で積層したり、あとからトップコートを塗るなどすれば、きれいにすることはできますが、そのぶん手間やコストがかかってしまいます」

おしゃれにするにはセンスが求められるが、とりあえず、“汚い面を見えなくする”だけでも、見た目に高級感を持たせる、ということが可能だ。こうした考え方は、DIYにおいては必須といえるかもしれない。

 

上は電動リール用の電源で、下はデッキ洗浄用のウオッシュダウンのアウトレット部分。もしこれらを上下反対に取り付けてしまったら、漏電の危険性がある。また、両方とも内側に掘り込んでいるため、歩行時にも邪魔にならない。取り付け前のシミュレーションが大切だ

 

操船席の土台部分に取り付けられた、振動を減衰させるショックアブソーバー。トラック用のパーツを流用したものとのこと

 

オーナーの使い勝手のいいように配置されたシフトレバーやスイッチ類。どのようなスタイルで操船するのかをしっかりとイメージした結果だ

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

※本記事は『BoatCLUB』2020年1月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

 

東京ボート
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