【フネのDIY術】/磨き④ ガラス研磨のポイントって?

2021.08.23

月刊『ボート倶楽部』では、2019年から「フネのDIY術」という記事を連載し、東京ボート(埼玉県八潮市)のベテランスタッフの協力のもと、ボートに関するDIYの技術や船体に対する情報をお伝え中。今回は、2019年12月号に掲載した、「磨き④ ガラス磨きのポイントって?」から内容を抜粋して、フネの磨きに関する情報をお届けします。

<CAUTION>
研磨することで、表面に傷がついたり、塗装がはがれるなどの損傷が生じる場合があります。リスクをしっかりと認識して、自己責任で行ってください。


 

実際に磨く

今回は、実際にガラスを磨いていきながら、磨きの注意点や効果について確認したい。ちょうどガラスを磨くことができるボートがなかったので、クルマのフロントウインドーで代用したが、基本的にはボートを磨くときと同じだ。今回も、東京ボートのサービス部長である、伊藤幸洋さんに解説していただく。

 

「わかりやすいように、マスキングテープで養生して、磨く範囲を決めてやっていきましょう。実際の作業のときでも、磨く必要のない箇所を磨かないように、養生したほうがいいでしょうね」(伊藤さん、以下同)

養生が済んだら、研磨剤をガラスに塗り付けていく。水で希釈するタイプの研磨剤は、水分量に注意する必要がある。水分量が少ないと、想定以上に削りすぎてしまう可能性があるのだ。

作業中も、みるみるうちに乾いていくので、霧吹きなどで水分を絶やさないようにする。しかし、乾くか乾かないかくらいの状態が最も磨き効率がよく、サクサクと“ウロコ”(水に含まれるミネラルや不純物が乾燥して結晶となったもの。水あか)を落としていくことができるため、単に水を足し続ければいいというものでもない。慣れないうちは水を多めにし、慣れたら少しずつ量を減らしていって、いいあんばいを見つけるといいだろう。

 

ガラスやアクリルの表面を磨かずに放置しておくと、このような状態になる

 

「それでは、マスキングテープで囲んだ範囲を磨いていきましょう。乾いた状態だと、なかなか写真で伝わらないと思いますが、頑張って撮影してください(笑)。水をかけると、少しわかりやすくなりますかね。水で濡れているのが、クルマだと雨の日で、ボートだとスプレーを浴びた状態です。夜間航行中に他艇の航海灯などが見えづらいのはもちろんですが、昼間でも視界不良となるため、このままだと大変危険です。研磨剤を塗布し、ダブルアクションのポリッシャーで磨いていきます」

今回は液状の研磨剤を使用したが、液状であっても、水分はどんどん失われていくため、霧吹きで水を足しながら、ゆっくりとていねいに、そして一箇所で止めないように、バフがけしよう。

 

作業場の隅に置いてあったアクリル板を、ガラス用の粒子の細かい研磨剤で磨く。アクリルは柔らかいため、手作業でもすぐに削れてしまう

 

ガラス磨きのポイント

40センチ四方の範囲を2分ほどかけて磨いていくと、ほとんどのウロコを落とすことができた。水を吹きかけると、さきほどまでウロコがあった部分は白く曇ったようになっていたが、それもなくなり、向こう側がよく見える。まだ撥水加工を施していないので、水がガラスの表面に広がっているような状態だ。このままでも十分に視界は確保できるし、ワイパーを使えば、水をきれいに取り除くこともできるだろう。

 

黄色いマスキングテープで囲んでいるところを磨いた。若干落としきれていないウロコがあるが、視界の良好さは一目瞭然だ

 

「ウロコが完全に落ちたかどうかは、柔らかいタオルなどで拭いて表面を乾かしてから確認します。ウロコを落としきったら、撥水剤などを使って撥水加工をしていくのですが、実は、薄いウロコであれば、撥水剤を塗布するだけで、目立たなくすることができるんです。磨くのが大変って人は、一度試してみてください。もちろん、頑固なウロコは、きれいに落としてからでないと意味がないので、その点は注意してください」

また、ボートもクルマも、ウインドーにはワイパーが当たる部分と当たらない部分がある。当然、ワイパーが当たる部分よりも、当たらない部分のほうがウロコが付きやすいため、そこを重点的に磨くのがポイントだ。

「それと、僕のイメージですが、ウロコは水滴が乾いてできたものなので、窓のような、垂直あるいは傾斜のある面にできた場合、水滴の下側のほうが水あかは濃くなるはずです。水あかはガラスの表面にできた盛り上がった部分なので、どういう方向でパッドを回転させて研磨剤を当てるかによって、削れ方が大きく変わってくると思います。そういうことを意識してバフがけをしていくと、効率よく磨くことができるんじゃないでしょうか」

愛艇をきれいに磨けば気分もリフレッシュするし、きれいなフネだとよりボートライフが楽しくなるはず。ぜひみなさんも、本テーマで学んだ知識を用いて、愛艇を磨いてみてください。もちろん、磨きにはリスクが伴うことも忘れずに。

 

少しわかりづらいが、天井の照明が反射した白い丸の周辺に線(傷)が入っている。これは、磨いたときについたものではなく、もとから入っていた傷。ガラスの場合、この傷をきれいにするのは難しい

 

撥水加工を施したガラスに、霧吹きで水を吹きかけてみた。水が広がらず、球状になっているのがわかるだろうか。続けて水を吹き付けるか、風が吹くかすれば、水はスルスルと滑り落ちていく

 

(文・写真=BoatCLUB編集部)

 

※本記事は『BoatCLUB』2019年12月号から抜粋したものです。バックナンバーおよび最新刊もぜひご覧ください。

 

東京ボート
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