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ヨットレース
アメリカズカップ予選決勝/プラダカップ初戦はイタリア勝利!

2021.02.14

第36回アメリカズカップの挑戦者決定シリーズ、プラダカップが大詰めを迎えている。

防衛者エミレーツ・チームニュージーランドへの挑戦権を得るために、ルナロッサ・プラダ・ピレリ(イタリア)、イネオス・チームUK(イギリス)、アメリカンマジック(アメリカ)の3チームがしのぎを削ったプラダカップ。 総当たりを2回行ったダブルラウンドロビンの勝者は、ベン・エインズリー率いるイネオス・チームUK(以下、イネオス)。

セミファイナルでは、ルナロッサ・プラダ・ピレリ(以下、ルナロッサ)とアメリカンマジックが戦い、プラダカップファイナルへコマを進めたのは、フランチェスコ・ブルーニとジミー・スピットヒルのダブルヘルムスマンで挑むルナロッサとなった。

ここで、名門ニューヨーク・ヨットクラブから参戦したアメリカンマジックは、第36回大会の敗退が決定した。ヘルムスマンのディーン・バーカーの雄姿がもう見られないのは残念だ。大きな事故を乗り越えて戦ったアメリカチームに賛辞を贈りたい。

そして開催されたプラダカップ決勝。ニュージーランド・オークランドで、2月13日(土)現地時間16時にレースはスタートした! 決勝は全13戦、7戦先勝したチームが第36回アメリカズカップ(本戦)の参加権を得る。

では、ライブ中継された動画をもとに、プラダカップ決勝初日を振り返ってみよう。

 

 

© www.youtube.com/americascup

コースはスタートライン(風下ゲート兼用)と風上ゲートを回るソーセージコース6レグで行われる。バウンダリーと呼ばれる境界線内でレースは行われ、このラインを越えるとペナルティーが課せられる。ジャッジは、高精度GPSによるオンザウオータージャッジだ 。

 

© www.youtube.com/americascup

■スタート前、イネオス痛恨のタッチダウン

通常のマッチレース同様、レースはそれぞれのサイドからエントリーする。第1レース(R1)は、ルナロッサがポートエントリー(左マーク)、イネオスがスターボードエントリー(右マーク)。一般的に不利とされるポートマークエントリーが先にラインを切る。
事件はスタート1分30秒前。30ktでフォイリングしていたイネオスが突然のタッチダウン(着水)! 艇速は一気に7ktまで落ち、タッチダウンしたままタッキングしたことで、さらに4ktまで落ちた(スタート40秒前)。このときの風速は8kt。フォイリング状態に戻れずスタート時間を迎えた…… 。

 

© www.youtube.com/americascup

スタートで痛恨のミスをしたイネオスは、1,000m以上のゲインをゆるし、初戦を落とした。周囲は故障などなんらかのトラブルを予想したが、レース後の会見の質疑では、特にトラブルはなかったようだ。ただ、風域にジブのサイズが合っていなかったことをベン・エインズリーが説明していた。特にルナロッサは軽風を読み、スモールジブを選択していた。

 

© www.youtube.com/americascup

第1レースのデータ。イネオスはタッキング、ジャイビングともにルナロッサよりも少なく最短のコースを引いたが、スタート時のアクシデントを挽回するに至らなかった。ルナロッサは終始すばらしいフォイリングを見せ、圧倒的な走りで初戦を勝利した。 

 

© www.youtube.com/americascup

ちょっと閑話を。ダブルタフセールのフットはどのチームもデッキスイーパーを採用し(写真の黄色ライン)、デッキとフットの間が密着している。では、タッキングやジャイビング時に、アフターガードはどこを通って反対舷へいくのか……。
それは単純にメインセールのリーチ側を通って(笑)。ちょうどアウトホールの上あたりにフックがあり(写真黄色円)、これをつかんで移動する。メインセールが返っていないときは、ちょっと強めに操作しているシーンもあった。 

 

■ルナロッサの走りに死角なし

第2レース(R2)のスタートでは、ポートエントリーのイネオスが終始ルナロッサをコントロールし、見事なリーバウ(風下受け)のポジションからスタートしたが、素人目にはいつものエインズリーの厳しいアタックがなかったように見えた。スタートラインから追い出せそうなシーンもあったがそれを許し、スタート後もタイトなラフィングも選択しなかった。 

 

© www.youtube.com/americascup

レース中は、艇速や風速風向だけでなく、選手の鼓動や体温といったバイタルデータも表示される。ルナロッサの艇上では……ブルーニの心拍数は122なのに、スピットヒルは77(笑)。あの状況で軽いウオーキング程度のハートビートとは、恐れ入った。

 

 

© www.youtube.com/americascup

第2レースのデータ。良いスタートを切ったイネオスは、先にタッキングしたルナロッサのセパレートを許し、そのままゲインされたリードを戻すことなく、第2レースも落とした。艇速はアップウインドではルナロッサよりも勝っていた。エインズリーは、記者会見でコース選択が悪かったと発言。実走距離も長く、データでもそれが表れていた。 

 

photo by COR 36 / Studio Borlenghi

見事初日に2連勝したルナロッサ。会見に登壇したフランチェスコ・ブルーニは、笑顔ではあったものの両チームの差は僅差であるとし、さらにプラダカップ決勝は長期戦(13戦)であることから、1日1日の取り組みが大切だと、勝って兜の緒を締める、見事な発言をした 。

 

photo by COR 36 / Studio Borlenghi

記者会見に登壇したベン・エインズリー(左)と、フランチェスコ・ブルーニ(右)。記者から厳しい質問が飛ぶなか終始笑顔で答えたエインズリーだが、その瞳には激しい闘志を宿していた。 

 

photo by ACEA

プラダカップの日程表。2/13~22まで、レース日は1日2レース行われる。予備日は2/24まで。7戦先勝するのはどちらのチームか!

 

タイムトライアルではなく、上下のレース中に50ktオーバーをたたき出すモンスター・モノハル・フォイラー、AC75による最新世代のアメリカズカップ。 予選シリーズも終盤になり、いよいよ盛り上がってきた。

防衛者エミレーツ・チームニュージーランドも、この間どんな秘密兵器を用意して挑戦者を迎え撃つのか。 レースは、youtubeおよび、DAZNでもライブ中継あり。オークランドと日本の時差はマイナス4時間。中継はだいたい昼間になるので、寝不足にならないですむ(笑)。

世紀の決戦を見逃すな!

 

(文=Kazi編集部/中村剛司)

 


※関連記事は月刊『Kazi』2021年4月号にも掲載予定。バックナンバーおよび電子版をぜひ 

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