2022年度(第31回)セーリング・チャレンジカップ IN 浜名湖

2023.04.15

 

70名のジュニアセーラーが早春の風の中で腕試し

2023年3月18日から21日にかけて、静岡県浜松市の三ヶ日青年の家を会場に「2022年度(第31回)セーリング・チャレンジカップ IN 浜名湖」が開催されました。

1993年に第1回大会が開催されたセーリング・チャレンジカップ IN 浜名湖ですが、2020年初頭にはじまった世界的なパンデミックにより同年の第28回大会から2022年の第30回は中止となりました(大会が中止となったのは東日本大震災が発生した2011年の第19回大会以来)。本大会は小・中・高校生を対象にしたレガッタであるため、3年間の中止はこの大会を目標にしていた選手たちにとって非常に大きな影響を与えてしまったことは想像に難くありません。「今年こそ開催されるのか」と心待ちにしていたジュニア・ユース世代のセーラーたちの期待にこたえる形となりました。

 

軽風コンディションとなった今年の浜名湖

4年ぶりの開催となるレガッタには、全国から70名(66艇)のセーラーたちが集まり、早春の浜名湖で腕を競い合いました。大会はOP初級(参加5艇)、OP上級(参加20艇)、ILCA4級(参加18艇)、ILCA6級(参加19艇)、420級(参加4艇)の全5クラスで行われました。

 

 

大会初日と2日目は、比較的安定した南寄りの軽風(3~5m/s)という、すべてのレベルの選手が気持ち良く走れるコンディションとなり、それぞれ3レースずつ行われ、予定された全7レース中6レースが最終日を前に消化されました。大会3日目となる最終日は、あいにく無風に近い微風となったため全クラスの最終レースがキャンセルとなり、前日までの順位が最終成績となりました。

例年であれば、3日間のうち1日は10m/s前後の強風が吹く本大会なので、強風を楽しみにしていた選手にとってはちょっと物足りないコンディションだったかもしれませんが、上位入賞者には実力者の名前が並んでいることからもわかるように、充実したいいレガッタであったことは間違いありません。

 

 

 

伸び伸びとした春のレガッタ

3年連続で大会が中止となったこともあり、参加艇数は例年と比べると減少した今大会でしたが、ILCA4とILCA6の両クラスにおいては、2023年のユース選考ランキングの対象大会となっていることもあり、それぞれ20艇近くがエントリーし、レベルの高いフリートレースが実現しました。

インターハイや国体少年種目のクラス変更にあわせて採用種目を替えてきた本大会ですが、本来のレガッタの趣旨は本格的なセーリングシーズンの幕開けを、いい風の吹く春の浜名湖で、レベルの高い運営スタッフのもと、同世代の選手たちと切磋琢磨することで心身ともにセーラーとして成長することにあります。

これまでにも、数多くのオリンピックセーラーを輩出してきた本大会ですが、順位のみに一喜一憂せず、伸び伸びとした雰囲気の中で「セーリングが好きになる」ような経験ができるレガッタとして親しまれてきました。来年もまた、多くのジュニア・ユース世代のセーラーたちが浜名湖に集まることを期待しています。

 

 

 

【各クラス優勝者の顔ぶれ】

 

 

OP初級 優勝
日下部悠丞(B&G高松海陽クラブ〉
亀阜小学校5年(146cm/36.9kg)

香川県の硬式テニスのジュニア大会で1位になったこともあるという日下部選手。テニスで足を傷めたのを期に、昨年の4月からOP級に乗り始めた。お兄さんが先にヨットをやっていたが最初は「サメが怖くてやりたくなかった」という。今は「テニスよりヨットの方が好き」と言い切るだけあって、持ち前の運動神経を発揮しメキメキと上達中の選手。

 

 

OP上級 優勝
岩波将吾〈江の島ヨットクラブジュニア〉
ドルトン東京学園中等部1年(165cm/48kg)

お父さんもOP乗りだったということもあり、小学校1年生からOP級に乗り始めたという若きベテラン。今回の優勝の理由を「中三の選手がいなくなったから」とジョーク混じりに答える余裕も。ボートスピードを生かして前に出るレースが得意で、風の読み方がわかってきた最近は集中力も途切れなくなったという。

 

 

ILCA4級 優勝
中島 拓海〈江の島ヨットクラブジュニア〉
永谷高校1年(171cm/64kg)

小2のときに横浜ジュニアでOP級に乗りはじめ、高校生になってILCA級に乗り換えてから江の島ジュニアに移籍。今大会に出場するのはOP級から数えると3回目。「浜名湖はシフトが多いので苦手な海面ですが、今回はボートスピードでカバーすることができました」。ダウンウィンドを克服して、狙うはインターハイ優勝。

 

 

ILCA6級 優勝
太田 薫〈清水ヨットスポーツ少年団〉
静岡高校2年(175cm/67kg)

サッカーに夢中だった小4のとき父親といっしょにヨット教室に行ったのがきっかけでOP級に乗り始め、今はセーリング一筋。中3でILCA4級に乗り換え、高校進学後はILCA6級に乗ってインターハイに出場。1年のときは6位、2年のときは5位。「今年は4位じゃなくて優勝を目指します」。今大会は得意な4~5m/sのコンディションだったのが勝因だと分析。課題は体力をつけること。

 

 

420級 優勝
ヘルムスマン:窪田 啓汰 三鷹中等教育学校3年(175cm/53kg)
クルー:重田 空希 湘南工科大学附属高校3年(173cm/53kg)
〈江の島ヨットクラブジュニア〉

2人とも小2のときに江の島ジュニアでOP級に乗り始める。普段はそれぞれ別のチームで活動しているが、今回はパートナーのスケジュールが合わず、急造チームで出場。2人ともセッティングやチューニングで工夫することが好きらしく、セールメーカーのセッティングガイドを基本に自分なりのセッティングを探すのが楽しいという。

 

(文・写真:ヤマハ発動機スポーツ振興財団)

 

問い合わせ

公益財団法人 ヤマハ発動機スポーツ振興財団

〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500番地
TEL:0538-32-9827

https://www.ymfs.jp/

 


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