ヴァンデ実況/女性トップ艇がリタイア/白石は奮闘

2021.01.11

■女性トップの〈MACSF〉が無念のリタイア

単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」は、スタートから64日が経過(1月10日)。レース前半でリタイアした6艇を除く27艇で順調な航海を続けていたレース艇団だったが、1月9日に大きなニュースが入ってきた。

女性スキッパーで唯一のフォイリング艇〈MACSF〉を駆り、ヴァンデ・グローブ初参戦ながら9日時点で11位と健闘していたイザベル・ヨシュクが、キールのカンティング機構(バルブキールを傾ける装置の油圧シリンダー)の深刻なトラブルによってリタイアを表明。ここまで2万マイル以上を走り、フィニッシュまで残り6,000マイルという状況で無念の離脱となった。

1月10日までに、26艇となったレース艇団のうち半分の13艇が、南アメリカ大陸最南端に位置するケープホーン(ホーン岬)を通過。ついにスタートした大西洋へ戻り、赤道に向けて北上している。トップは変わらず〈Maître CoQ IV〉のヤニック・ベスタで、フィニッシュまでは約5,000マイルだ。

 

ヴァンデ・グローブ初参戦ながら、昨年末の時点では8位まで順位を上げていた〈MACSF〉のイザベル・ヨシュク。世界一周全航程の4分の3を走った時点で戦線離脱。本大会7艇目のリタイアとなった。
photo by Isabelle Joschke / MACSF

 

現在2位の〈APIVIA〉のシャルリー・ダランは1月5日、無風域につかまったところでマストトップに登って整備。マスト最上部の白いボックスは「OSCAR」という装置で、赤外線カメラで前方の海面に浮かぶ障害物を検知して警告するというもの。
photo by Charlie Dalin / Apivia

 

ダミアン・セギャンの〈GROUPE APICIL〉はフォイル(水中翼)なしの艇で先頭に立ち、トマ・ルイヤンの〈LinkedOut〉と3位を争っている。
photo by Damien Seguin / Groupe APICIL

 

■白石康次郎も確実に前進中

白石康次郎の乗る〈DMG Mori Global One〉は、現在26艇中20位でケープホーンを目指している。過去のレースと比較して荒れていなかったサザンオーシャンだが、ここ3~4日は荒れ模様で、白石も40kt以上の風に遭遇している。

前半に大破して大掛かりな修理をしたことで常に縮帆状態となっているメインセール、補修したバウスプリット、全体的に伸びてきているヘッドセールなどに不安を抱える〈DMG Mori Global One〉で何とか完走すべく、スピードを抑えながらの奮闘が続いているようで、1月8日に艇上から配信された動画レポートで、白石は以下のように話している。

「今日は大変荒れています。これから12時間くらいはもっと荒れると思います。だいたい今(風速は)35~40kt、波高は5~6mありますね。メインセールもけっこう疲れてきて伸び伸びです。セールを温存して(フィニッシュまで)もたせないといけません。とにかく小さめのセールで走っていきたいと思います。今はあまりスピードを上げていません。セールを大切にして、ホーン岬(ケープホーン)をかわしたいと思います」

 

photos by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One

 

白石はこれまでに世界一周全航程の約3分の2を走破したところで、フィニッシュまではおよそ8,000マイル。奮闘は続く。

 

(文=Kazi編集部/中島 淳)

 

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