東京2020 DAY10|日本の470級は男女ともメダルレースへ

2021.08.03

東京2020オリンピック・セーリング競技10日目。朝は雨が降ったものの、江の島の空もすぐに快晴になった。今日は、昨日実施できなかった男子470級と女子470級の第9、第10レースと、49er FX級と49er級のメダルレース、当初の予定通りフィン級、男女混合ナクラ17級のメダルレースを実施した。

 

逗子海面は南風8kt、12時予告信号で女子470級、10分後に男子470級を予定していた。女子470級の第9レースは、潮で多くの艇がピンエンドに寄せられてゼネラルリコールに。仕切り直して、吉田 愛/吉岡美帆は下寄りからスタート。U旗に引っ掛かったのはアルゼンチン、ギリシャ、アメリカの3艇。吉田/吉岡は5位で1上マークを回航し、少し順位を落として8位フィニッシュ(トップがアルゼンチンのため、修正で7位)。第10レースでも序盤の順位を維持できず8位に。3位との差が17点の総合7位(63点)となっている。

 


女子470級の吉田/吉岡

 

男子470級の岡田奎樹/外薗潤平は上寄りからスタート。上位艇との差を今日の2レースで縮めたいところだが、岡田/外薗は上マーク付近の潮に苦しめられ、15位と今大会ワーストを叩いてしまう。続く第10レースでも13位と失速。総合8位でメダルレースに進出したが、メダルの可能性は潰えた。「昨日まではメダルのチャンスも十分あって、どういう展開になるか予想して逆算して考えていたんですが、その中にブローでどこが1番伸びるのかということがすっぽり抜けていて。最後、左エンドに出るという目的だけが残りすぎて、中盤の場所取りという過程が抜けていました」と岡田。

 


上マークを回航する男子470級の岡田/外薗

 


全10レースを終えて金メダルを決めた、マシュー・ベルチャー/ウィル・ライアン(オーストラリア)

 

吉田/吉岡、岡田/外薗ともにメダルレースに進出した。明日、一つでも順位を上げることを期待したい。

 

さて、本日のメダルレースは4種目、これが最高に面白かった。予選終了時点のトップ3はそれぞれ下記の通り。

 

■49er FX級の予選終了時のトップ3
1位 70点 アネミック・ベッカリング/アネット・ドゥーツ(オランダ)
2位 70点 マルティーニ・グラエル/カヘナ・クンゼ(ブラジル)
3位 73点 ティナ・ラッツ/スザン・ボイケ(ドイツ)

 

グラエル/クンゼはリオ五輪の金メダリストで、ヘルムスマンはトーベン・グラエルの娘である。また、兄のマルコ・グラエルも49er級のヘルムスマンで出場し、総合16位だった。

上1からスタートして即タックしたブラジルだけが右海面を選択。ブラジルが3位で1上を回航し、ドイツ、オランダと続く熱い展開に。1下で混戦になり、オランダは9位に転落。フィニッシュはアルゼンチン、ノルウェー、ブラジル、デンマーク、ドイツと続き、オランダは挽回できず9位フィニッシュ。ブラジルが五輪2連覇を果たした。

ブラジルのグラエル/クンゼは、チームが待つ岸壁近くで沈させたためにマストを折り、父のトーベンが乗るRIBで曳航されてハーバーに戻った。

 


連覇達成のブラジル、グラエル/クンゼ
photo by Sailing Energy / World Sailing

 


49er FX級のメダリスト

 

■49er級の予選終了時のトップ3
1位 52点 ピーター・バーリング/ブレア・テューク(ニュージーランド)
2位 56点 ディラン・フレッチャー/スチュアート・ビセル(イギリス)
3位 56点 ディエゴ・ボティン/イアゴ・ロペス(スペイン)

 

49er級も混戦模様で、4位ドイツと5位デンマークも66点と、まだ金メダルを狙える位置につけている。ロンドン五輪で銀、リオ五輪で金、世界選手権では6回優勝しているバーリング/テュークは、予選第6レースでやっとトップフィニッシュするスロースタートとなった上に、トップはその1回きりだった。

メダルレースは、ニュージーランドとスペインがポートスタート。イギリスが1上をトップ回航し、2位はエリック・ハイル/トーマス・プレセル(ドイツ)、ニュージーランドは3位で回航。このままでは58点のタイで、イギリスが金メダルになる。ニュージーランドは2位に浮上したいところだ。一方のイギリスは、ニュージーランドとの間に1艇入れてフィニッシュしたい。1下に向けて、じわじわ差を詰めるニュージーランド。この2チームは左の下マークを選択し、2位のドイツは右を選択。

2上レグでは、イギリスがかぶせたかと思えば、ニュージーランドがタックを返す。回航順はドイツ、イギリス、ニュージーランド。ドイツも銅メダルのチャンスがあり、ここで気を抜くわけにはいかない。トップはイギリスかドイツか!?

 

フィニッシュライン手前でイギリスが先行。ニュージーランドは3位のままだ。ドイツより半艇身抜け出してフィニッシュしたのがイギリス、逆転で金メダルとなった。フィニッシュ直後、フレッチャーとビセルは喜びを爆発させた。ビセルは2012年ロンドン五輪で、男子470級のクルーとして銀メダルを獲得している。イギリス勢の49er級にとっては、2004年アテネ五輪の銅メダル以来のメダルだ。ドイツのハイル/プレセルは、リオ五輪と同じ銅メダル獲得となった。

 


金メダルのイギリス、フレッチャー/ビセル
photo by Sailing Energy / World Sailing

 


49er級のメダリスト

 

■フィン級の予選終了時のトップ3
1位 28点 ジャイルズ・スコット(イギリス)
2位 37点 ジョンボル・ベレツ(ハンガリー)
3位 39点 ホアン・カルドナ・メンデス(スペイン)

 

予選10レース中、6回トップのスコットは、メダルレースで5位以内であれば金メダル獲得となる。そのスコットはスタートでリコールし、解消してからレースに復帰。1上マーク手前まで下位にいたが、回航でルームを得て一気に4位までゲイン。フィニッシュはベレツがトップで銀メダル、スコットが4位で金メダル、メンデスが6位で銅メダル獲得となった。

スコットが34歳、ベレツが35歳に対して、メンデスは弱冠23歳。メンデスは2020年のeSailing世界選手権のチャンピオンで、「eSailingをやることで、他の選手より多くのレースを経験できました」と話した。フィン級は今大会をもって五輪から姿を消すため、この3人が最後のオリンピアンとなる。

 


最終マークでトップに立ったベレツ

 


メダルレースのフィニッシュ後、海に飛び込んだ後にスコット(中央)の船に乗り込んだメンデス(左)とベレツ(右)

 


フィン級のメダリスト

 

■男女混合ナクラ17級の予選終了時のトップ3
1位 23点 ルジェロ・ティタ/カテリナ・バンティ(イタリア)
2位 35点 ジョン・ジムソン/アナ・バーネット(イギリス)
3位 47点 パウル・コールホフ/アリカ・シュトゥーレマー(ドイツ)

 

メダルレースは、7位のサンティアゴ・ランゲ/セシリア・カランサ・サロリ(アルゼンチン)が見せた。1上でトップに躍り出ると、最後までフリートをリード。フィニッシュラインを切った直後、ランゲはサロリをねぎらうように肩を抱いた。まさに、リオ五輪金メダリストの執念の走りに見えた。ちなみにランゲは来月、60歳の誕生日を迎える。メダリストは上記のトップ3のままとなった。

 


トップフィニッシュを飾る、アルゼンチンのランゲ/サロリ

 


金メダルのイタリア、ティタ/バンティ

 


男女混合ナクラ17級のメダルセレモニー
photo by Sailing Energy / World Sailing

 

明日は男子470級、女子470級のメダルレースの予定だ。とうとう、この2種目をもって東京2020オリンピック・セーリング競技が幕を閉じる。

 

■男子470級岡田奎樹/外薗潤平
岡田「右からある程度いいプレッシャーを取って左に伸ばしていたんですけど、その過程で自分の風下側の風のほうが良くて、そこにいた人たちが伸びた形になった。これまでだいたい左のレイライン近くぐらいでいい風が入って伸びる傾向があって、今日も見え方はその通りだったので、そこを意識して最後に寄せたんですけど、潮がいつもと違って、潮に対して走ることになって止まっちゃって。上マークの潮は測れないので、予想と現実のギャップがかなりありました。明日は次につながるようなレース、3年後(2024年パリ五輪)で、しっかりと1番高いところに立てるようなレースを経験したいと思います」
外薗「おそらく最後なので、最後にいい成績を取って終わりたいなと思います。10艇だけなので、接戦で抜け出せるように」

 

■女子470級 吉田 愛/吉岡美帆
吉田「スタートからプラン通りの展開ができて、1上はいい順位で回れたんですけど、そこからちょっとずつ落としてしまった点が反省。自分が選んだコースを引けた結果なので納得はしています。明日は順位を上げることだけを考えて、思い切ったレースをしていきたいです」
吉岡「今まであまりうまくいかなかったスタートが、今日は2本ともまあまあできました。順位を落としたのは残念ですけど、これが私たちの全力かなという感じです」

 

DAY10 RESULTS(暫定)

■女子470級
 吉田 愛/吉岡美帆 総合7位/21艇(6-7-11-15-2-2-12-8-7-8)
■男子470級
 岡田奎樹/外薗潤平 総合8位/19艇(7-4-4-11-13-9-5-4-15-13)

 

最終成績

■49er FX級
1位 76点 マルティーニ・グラエル/カヘナ・クンゼ(ブラジル)
2位 83点 ティナ・ラッツ/スザン・ボイケ(ドイツ)
3位 88点 アネミック・ベッカリング/アネット・ドゥーツ(オランダ)
■49er級
1位 58点 ディラン・フレッチャー/スチュアート・ビセル(イギリス)
2位 58点 ピーター・バーリング/ブレア・テューク(ニュージーランド)
3位 70点 エリック・ハイル/トーマス・プレセル(ドイツ)
■フィン級
1位 36点 ジャイルズ・スコット(イギリス)
2位 39点 ジョンボル・ベレツ(ハンガリー)
3位 51点 ホアン・カルドナ・メンデス(スペイン)
■男女混合ナクラ17級
1位 35点 ルジェロ・ティタ/カテリナ・バンティ(イタリア)
2位 45点 ジョン・ジムソン/アナ・バーネット(イギリス)
3位 63点 パウル・コールホフ/アリカ・シュトゥーレマー(ドイツ)

 

DAY11(8月4日) スタート予告信号(予定)

■男子470級 江の島 14:30 メダルレース
 出場:岡田奎樹/外薗潤平
■女子470級 江の島 15:30 メダルレース
 出場:吉田 愛/吉岡美帆

 

●成績表
https://tokyo2020.sailing.org/results-centre/

●トラッキング(日本セーリング連盟 オリンピック応援サイト内)
https://www.jsaf.or.jp/tokyo2020/

●東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイト
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/

 

(レポート=Kazi編集部/森口史奈 写真=矢部洋一)

 



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