全国から752点が集結

公益社団法人燈光会が主催する「灯台絵画コンテスト2026~灯台のある風景~」の受賞作品が決定した。全国から寄せられた応募作品は752点、子どもたちがそれぞれの視点で捉えた灯台の姿が集まった。

審査の結果「海上保安庁特別賞」およびカテゴリーごとに金・銀・銅賞が与えられたほか、点灯から150周年を迎えた尻屋埼灯台(青森県)と金華山灯台(宮城県)を対象とする「周年灯台賞」も実施された。

同コンテストは、灯台のある風景を描くことを通じて、航路標識への親しみや関心を深め、灯台が海上交通の安全に寄与していることを知ってもらうのが目的。11月1日の「灯台記念日」に関連する行事として、毎年開催されている。

海上保安庁特別賞

海上保安庁特別賞 小学生低学年の部:「おまえさきとうだいにのぼったよ!」静岡市立安東小学校(静岡県)1年、脇玲依紗(わき れいさ)さん
海上保安庁特別賞 小学生高学年の部:「夏の夜の野間埼灯台」越谷市立東越谷小学校(埼玉県)5年、中山如水(なかやま じょすい)さん
海上保安庁特別賞 中学生の部:「納沙布岬灯台と海」釧路市立鳥取西中学校(北海道)2年、盛合結愛(もりあい ゆうあ)さん

金賞

金賞 小学生低学年の部:「とうだいでけっこんしきステキな二人」半田市立雁宿小学校(愛知県)2年、森絢里樹(もり ありす)さん
金賞 小学生高学年の部:「おばあちゃんと釣りをした津居山灯台」西宮市立上ケ原小学校(兵庫県)6年、中井梨容子(なかい りよこ)さん
金賞 中学生の部:「城ヶ島灯台」西宮市立鳴尾中学校(兵庫県)1年の赤木瑞(あかぎ みずき)さん

受賞作品には、灯台そのものの姿だけでなく、海や空、夕景、船、家族との思い出など、灯台を取り巻く風景や体験が表現されている。

灯台への敬意や実体験が作品の説得力に

審査員をつとめた灯台マニアの不動まゆうさんは、今回の審査を振り返り、作品の多彩さと、実際に灯台を訪れた体験が絵に与える力についてコメントした。

「750点に及ぶ作品は、緻密な描写から自由奔放なタッチまで画風も多岐にわたり、審査で採点する難しさもありました。しかし、灯台への敬意や現地を訪れた際の高揚感がダイレクトに伝わってくる作品、また『家族で訪れた』『灯台にのぼった』『フェリーから眺めた』といった実体験に基づく絵には確かな説得力があり、審査員一致で高い評価となりました。

審査をする我々にとっても、子どもたちの瑞々しい絵筆を通して日本中の灯台を一気にめぐったかのような、贅沢で胸が熱くなる時間でした」

燈光会の事務局で、752作品すべてに目を通し、2日間にわたって行なわれた審査会の模様

同じく審査員をつとめた灯台写真家の三野富士雄さんは、

「一枚の絵が、審査会の空気を変えることがあります。見事な力作に審査員から「お〜」という声が上がり、『どの場所から描いたのだろう』『インターネット上の写真を参考にしたのだろうか』と、検索したり、推理したりすることもありました。時には、前衛的な作品をめぐって芸術論にまで発展しそうになることも。そんなライブ感に満ちた絵画コンテストを裏で支える事務局の皆さんも、思わず一枚の絵に見入ってしまうほど、子どもたちの作品には大きなパワーがありました。

最後に、私のおすすめ灯台を一つ紹介します。三浦半島の『諸磯埼灯台』です。ヨットと灯台が絵になる場所に立っているので、ぜひ来年のコンテストに応募される作品の中で、この灯台を描いた絵にお目にかかりたいと思います」

点灯150周年の灯台にも注目

今年の「周年灯台賞」は、いずれも1876(明治9)年に点灯を開始し、2026年に150周年を迎えた尻屋埼灯台と金華山灯台が対象となった。

尻屋埼灯台150周年賞:「とう台の後ろにかもめがとんでいるよ(尻屋埼灯台)」東通村立東通小学校(青森県)3年、澤頭じゅん(さわがしら じゅん)さん

ほか、調布市立富士見台小学校5年の町田彩季(まちだ あき)さん、東通村立東通中学校3年の西山海里(にしやま かいり)さんが選ばれた。

金華山灯台150周年賞:「おめでとう150周年の金華山灯台」石巻市立向陽小学校(宮城県)1年、大橋奏太朗(おおはし そうたろう)さん

ほか、石巻市立向陽小学校(宮城県)6年の菊田真由子(きくた まゆこ)さん、石巻市立蛇田中学校(宮城県)3年の三浦香蓮(みうら かれん)さんが受賞した。

長い年月にわたり海を見守ってきた灯台が、子どもたちの絵を通して新たな形で表現された。今回のコンテストは、灯台の歴史や役割を知るきっかけであると同時に、実際に灯台を訪れ、海からその姿を眺める体験の大切さを伝える機会にもなった。

燈光会は今後も、灯台のある風景を描く取り組みを通じて、次世代が灯台に親しみ、海上交通の安全を支える役割への理解を深めることを目指している。

(文=田久保雅己/『Sea Dream』編集長)