【水路を航く】#24/山口県宇部市・興産大橋

2022.12.15

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。
舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。



第24回は、『ボート倶楽部』2021年3月号に掲載された興産大橋(山口県)の風景をお届けします。

(※本記事の取材は2020年11月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください。) 

 

 瀬戸内海に架かる“日本最大級の私道”を望む 

 

北は風光明媚な山々が連なり、南は瀬戸内海に面している山口県南西部の宇部市。

雨が少ない瀬戸内式気候で、山の幸にも海の幸にも恵まれた土地である同市は、明治時代より石炭産業で栄え、現在も臨海部には、多くの工場が立ち並ぶ。巨大な人工物を見るのを楽しみにしているボーターも少なくない。

宇部港では、隣接する山口宇部空港を発着する飛行機や臨海部に立ち並ぶ工場の景色が近くで見られる。 中でも興産大橋は見ものだ。

内陸の美祢市で産出した石灰岩を、海際にある工場まで運ぶために造られた日本最大の私道、「宇部興産専用道路」の一部として建造された橋梁で、海の上を巨大な車両が通行していく。

ボートで航けば、橋を真下から眺めることができる。

自然豊かな瀬戸内の海に、ここでしか見られない巨大人工物がつくり出す珍しい景色があった。 


 

(トップ画像説明)
興産大橋は全長31キロに及ぶ「宇部興産専用道路」の一部。橋の全長も1キロを超え日本最大級の私道の橋。完全に隔離された私有地を結ぶ橋のため、一般の車両は通行できない 


 


興産大橋の北側にある栄川運河。両岸は埋め立てられた工場用地。フラットな海面に、ボートの曳き波が美しい波紋を作り出していた

 


栄川運河の奥、漁船が数隻舫われている藤曲浦(ふじまがりうら)の漁港。奥に見えている斜張橋は宇部湾岸道路の一部、栄川運河橋 

 


興産大橋では一般道路では見ることのない、2両に連結された大型のトラックが頻繁に通行している。 大型船の航行を可能にするため、橋は36メートルもの高さがある 

 


宇部市の東部にある遠浅の浜、キワ・ラ・ビーチ。夜が明ける直前、空には濃紺の雲が垂れ込め、水平線にはオレンジ色の光の帯が差し込んでいた。自然がつくり出した美しい風景 

 


撮影・取材で大変お世話になったUBEマリーナ。撮影終了時には、マリーナのクレーンと陸置きしてあるフネが夕日に美しく映えていた
UBEマリーナ 
TEL:0836-32-0656

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 



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