【水路を航く】#22/東京都・荒川

2022.10.14

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第22回は、『ボート倶楽部』2018年11月号に掲載された、荒川(東京都)の閘門施設、荒川ロックゲートの風景をお届けします。

(※本記事の取材は2017年12月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください。)


 

東京下町のパナマ運河!? 荒川ロックゲート

東京の東部、荒川と隅田川に囲まれた江東デルタと呼ばれる地域は、海抜が低いため周囲の河川からの水の流入が制限されている。そのため、東京湾の潮位や雨水の流入により水位が変化する荒川から、江東デルタ地帯を流れる旧中川へ行き来する場合、閘門(こうもん)を通行しなくてはならない。

閘門とは、水面の高さが違う川の間を船が通行できるようにするための施設で、川と川の間に水門をつくって水位を調節する、いわばフネのエレベーターのようなもの。

カリブ海と太平洋を通行するために造られたパナマ運河と同じ方式で、“ミニパナマ運河体験”ができる荒川ロックゲートは2005年完成。川幅の広い荒川から狭いゲートの中に入ると、進入してきた側の後ろのゲートが閉められる。

ボートからは見えない係員のスピーカーでの指示に従い、壁ぎわのチェーンにつかまっていると、ゲート内部の水位がみるみる下がっていく。 旧中川と同じ水位まで下がったあと、前のゲートをくぐるときには、まるで秘密の要塞から出航していくような気分が味わえる。プレジャーボートでも利用できるし何より楽しいので、都内リバークルーズのコースに組み込むことを強くおすすめしたい。


 

(トップ画像説明)
東京都江戸川区と江東区の区境にあるロックゲート。この写真は荒川側の水門から撮影したもので、外側の階段から上がることができる。写真奥の江東区側には集合住宅が立ち並ぶ。奥には、東京スカイツリーも


 


埼玉県から東京湾まで注ぐ一級河川の荒川は、川幅も広くボートの航行もしやすい。午前中は日の光で川面がキラキラと輝いていた

 


ロックゲート内部でボートの乗り降りをすることはできないが、見物する人とボートとの距離はかなり近い。ゲートは毎分10メートルという日本最高速度で開閉する。最大約3メートルの水位を調節することができ、通過に要する時間は20分程度。なお、ゲートからは水が滴り落ちてくるので、オープンボートの場合は傘があると便利

 


テニスコートやサッカー場、野球場などが整備されている荒川の河川敷では、複数のエリアでマラソン大会も頻繁に開催され、多くの愛好家が足を運ぶ(コロナ禍で一時中止となった大会も、最近は感染対策を講じたうえで開催されるようになってきた)。河川敷にはジョギングやサイクリングを楽しむ人の姿が見られる

 


ゲートの開閉は、施設を管理する国土交通省荒川下流河川事務所(TEL:03-3902-2379)の係員が行う。利用できる時間は8時45分から16時30分まで、年末年始と毎月第1日曜日は(9月のみ第2、第3日曜日も)通行不可日になっている(それ以外に修繕などで通行不可の期間が発生する場合もある) 

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 


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